「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」に見るフレンチ・コメディの系譜。 これは現代の「クレイジー・ボーイ」シリーズだ!
フランス製「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」Nicky Larson et le Parfum de Cupidon(19年)。これは懐かしいテイストのフレンチ・コメディだった。
ぼくら昭和のおっさん世代で、地方で暮らしてる者は、映画館で映画を見る時に二本立てが当たり前だった。
70年代、何か観に行って、併映作品でフランス製のコメディ「クレイジー・ボーイ」シリーズをよく観た。
これが意外に面白く、一緒に観た映画は忘れても、クレイジー・ボーイは今でも思い出すのだから笑ってしまう。
「シティハンター THE MOVIE」には、その「クレイジー・ボーイ」のおバカな精神があるのだ。だから昭和のおっさんにオススメである(笑)
「クレイジー・ボーイ」シリーズ
フランスで当時人気があった4人組のグループ、レ・シャルロが出演した映画シリーズ。全5作が日本でも公開された。
監督は4作がクロード・ジディ(「香港より愛をこめて」はイヴァン・シフレ)。音楽はレ・シャルロが担当している。
「クレイジー・ボーイ/突撃大作戦」Les Bidasses en Folie(71)
「クレイジー・ボーイ/金メダル大作戦」Les fous du Stade(72)
「クレージー4人組/スーパーマーケット珍作戦」Le grand bazar(73)
「クレイジー・ボーイ/ミサイル珍作戦」Les Bidasses s'en vont en guerre(74)
「クレージー・ボーイ/香港より愛をこめて」Bons raises de Hong Kong(76)
Reference YouTube「クレイジー・ボーイ/ミサイル珍作戦」予告編
このポスター見ただけでも、ふざけてるのがわかるだろう(笑)。
血圧測ったら、手がふくらんだり、軍服着た女性のスカートを(たしか踏んで)脱がせる。
つまり今回の「シティハンター」実写版にある、おバカなお色気コメディは、フランス製喜劇の王道なのである。アニメ「シティハンター」が、フランスでウケたのもそういう理由かもしれない。
ルイ・ド・フュネス(1914 - 1983)
それから、映画内のセリフで、フランスの喜劇王、ルイ・ド・フュネスの名前も登場する。
20世期後半、フランスでは大統領より有名と言われたフランスの喜劇俳優。約140本の映画に出演。
ド・フュネスは、低い身長で、その卓越したパントマイムと、しかめ面で笑わせてくれた。
60年代には「ファントマ」シリーズに出演、「大進撃」(66年)、「大乱戦」(71年)、「ニューヨーク・パリ大冒険」(73年)など、日本でも公開された。往年の映画ファンには懐かしいと思う。この名前を出すことが、ド・フュネスへのリスペクトと感じた。
「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション 」
監督&主演のフィリップ・ラショーは、撮影当時39歳だったという。80年代の日本のアニメシリーズ「シティハンター」を見て育った彼は、いつかこのアニメを映画化したいと考えていた。そして自ら北条司の事務所へプロットを送り、映画化の許可を得たという。その思い入れの強さが、画面からよく伝わってくる。
あらすじは、探偵のニッキー・ラーソン(フィリップ・ラショー)が、その匂いをかけば誰でも好きになってしまうという香水を、悪の手から守ってほしいと依頼され、相棒のローラ(エロディ・フォンタン)と共に大活躍するというもの。
Reference YouTube
次から次へとギャグがあり、"もっこり"するお色気もあるので、楽しんで見れる。頭を使わなくていいので、コロナで心が疲れた身には、観るタイミングもよかったと思う。
久しぶりのフレンチ・コメディの王道。そして懐かしいクレイジー・ボーイやルイ・ド・フュネスのことも思い出した。DVD化されていない「クレイジー・ボーイ」シリーズを、もう一度観たいなと思った。
てなことで。
(Image Credit)
クレイジーボーイ/ミサイル珍作戦 : https://movies.yahoo.co.jp/movie/6543/
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!