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「なぜ君は総理大臣になれないのか」 野党の一議員とその家族のドキュメンタリー

菅首相の突然の退陣表明をみて、最近Netflixで観た映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」('20)を思い出した。

ネットでは、菅首相のことを「なぜ君は総理大臣になったのか」と揶揄されているようだが(笑)

1971年 香川県で生まれ、高松高校から東京大学へ進学した小川淳也。卒業後自治省(現総務省)へ入省するが、日本の将来を憂い地元から立候補し、2005年民主党候補として初当選する。

そこから小川淳也議員が、理想と現実のギャップの中、悩みながらも前に進んでいく姿を、17年間に渡って撮影したドキュメンタリー。

監督の大島新の奥さんが、小川議員と同級生という仲からこの撮影が始まった。

小川議員は、痛みを伴う改革をしなければ、日本は立ち行かなくなるという危機感から政治家に「ならなきゃ」と思い、32歳で政治家を志した。

その理想と志たるやよし。このドキュメンタリーを見て、自分の選挙区ならばこの候補者を応援してあげたくなる。

応援してあげたくなる理由の一つは、お父さんのために頑張る奥さんや娘たちの姿。両親の複雑な思いも描かれているからだ。

同じ選挙区、香川一区には自民党の平井卓也がいる。現在のデジタル大臣。四国新聞社一族で、西日本放送の社長であった人物だ。地盤、看板、カバン全て持った強敵である。
だから選挙区ではなかなか勝てない。現在5期目だが、無所属になってしまっている。

意外に思ったのは、安倍政権時代から自民党の応援団としての印象が強いジャーナリスト田崎史郎が、小川議員と懇意なことだった。これを見て、自分の中での田崎史郎の印象がよくなったから不思議だ(笑)

Reference YouTube

民主党が民進党になり、希望の党との合併で、小川議員の歯車は狂ってしまう。2017年衆議院選挙のため、当時の前原代表は都民ファーストで勢いづく小池百合子にすり寄る。だが小池代表は「全員を受け入れる気はさらさらない」「排除します」と言い放つ。それがゆえ左派は立憲民主党を立ち上げ、民進党は分裂してしまう。

ほんの数日で無所属で行くのか、希望の党から立候補するのか、悩みに悩んだ末、希望の党から出馬する。無所属だと政策も実行できないと思ったからだ。

選挙活動中に、商店街でかけられる心ない厳しい言葉。選挙で勝たなければならないこと、自身の心の奥底にある「こうあるべき」という信念。そのせめぎ合いの中での苦渋の決断が、彼を選挙中も悩ませる。

この選挙戦での、本人もそうだが、家族の頑張りがおっさんのぼくの胸を打つ。子供たち二人は、お父さんのために「娘です」とタスキをつけて街を走り回り、必死で頭を下げる。

葛藤の中で、希望の党で、小選挙区で(僅差で)負けたこと。比例復活で当選したことの後悔。こんなことなら無所属で出馬した方が悔いがなかったと思う日々...

高松市の自宅は、家賃47,000円のアパートだ。そこで娘たちも大きくなった。夕食に油揚げをレンジでチンしたものにネギをかけて夫婦で食べる。

こんなピュアな、理想主義の、清潔で真面目で、かつ優秀な政治家もいるのだ。

なぜ彼は総理大臣になれないのか?それは「欲」がなさすぎるから。政治家の殆どは「強欲」である。日本の選挙制度や、自民党(ほぼ)一党支配の構図がそうさせるのもわかっている。だが、いつかそんな彼を必要とする時代がくるかもしれない。

この(ある意味)プロパガンダかもしれない映像を眺めながら、そんなことを考えた。

だけど、こういう候補者のいる香川一区の有権者がうらやましいなぁ、と思う。

てなことで。


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