香港でも高評価! 「ミッドナイト・スワン」 香港レズビアン・アンド・ゲイ・フィルム・フィスティバルのクロージングを飾る
第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、新人賞をはじめ、第23回ウディネ・ファーイースト映画祭 ゴールデン・マルベリー賞、第63回ブルーリボン賞 主演男優賞、第30回日本映画批評家大賞新人女優賞等々、数々の受賞に輝く「ミッドナイトスワン」”Midnight Swan” (2020)。
当地香港でも上映され高評価となっている。広東語題名「午夜天鵝」
香港レズビアン・アンド・ゲイ・フィルム・フェスティバルでは、クロージング作品として上映され(2021年9月25日)、チケットは早くから完売になっていた。
(香港レズビアン・アンド・ゲイ・フィルム・フェスティバル公式サイト)
http://www.hklgff.hk/film-guide/closing-film/
その後、10月7日から一般公開となり、著名な映画サイト「Hong Kong Movie 香港電影」では、「4.2」(5点満点中)と高評価であった。
この香港レズビアン・アンド・ゲイ・フィルム・フェスティバル(Hong Kong Lesbian & Gay Film Festival / 香港同志影展)の歴史は古く、1989年より毎年9月に開催されている。今年で32回目のアジアでは最も古いLGBT映画祭なのだ。さすがダイバーシティの香港である。
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あらすじ
トランスジェンダーの凪沙(草彅剛)は、東京・新宿のニューハーフショークラブで働いている。ある日、故郷・広島の親戚の娘一果(服部樹咲)を預かることになるが、叔父だと思っていた人が女装している姿を見て一果は戸惑う。
母親(水川あさみ)のネグレクトに耐えて暮らし、心を閉ざしていた一果だが、近所のバレエ教室の先生(真飛聖)との出会いから、その才能を開花させる。
その姿を見て、凪沙は一果のために、自分を犠牲にしてもバレエを続けさせてあげたいと思うのだった‥‥
豚の生姜焼きを食べた夜に観た「ミッドナイトスワン」(以下ちぃとネタバレあり)
母の葬儀があったため、ぼくはこの作品を、日本に一時帰国している時にWOWOWで鑑賞した。
その日、娘が晩ごはんに豚の生姜焼きを作ってくれた。夜、家人が寝静まったあと「ミッドナイトスワン」を一人見た。泣けた。
まさかその食事が映画の中で出てくるとは思わなかった。渚沙は、豚の生姜焼きではなく、ハニージンジャーポークソテーと言っていた。
一果に作ってあげるハニージンジャーポークソテー。二人の思い出の食事だ。
タイで性転換手術を受けて、寿命を縮めてしまった渚沙。その悲痛なオムツ姿を一果に見られ恥ずかしがる渚沙。
海が見たいという凪沙を一果は連れて行ってあげる。ここは、ヴィスコンティの「ベニスに死す」(1971)を連想させる。
見事なバレリーナになる一果。「リトル・ダンサー」(2000)は父とトランスジェンダーの息子の話だったが、これは母と娘の話。
母親になりたい凪沙を演じた草彅剛、暗い表情で辛い時に腕を噛む一果を演じた新人 服部樹咲。二人の評価が高いのもうなずける。
監督・脚本の内田英治は、シスジェンダーだが、LGBTの辛さと希望の物語をよくぞ作ったと思う。
日本でもこんな映画ができたのかということ。そして世間の評価も、興行的にも成功したことは、日本も多様性に少しは理解がある国になったのかな?と思った次第。
てなことで。
02-Nov-21 by nobu