宝塚版RRRを観てきたよー①
ご覧になってくださった方こんにちは。こんばんわ。DDのミュージカル観劇日記第二回は宝塚歌劇団星組公演『RRR × TAKA"R"AZUKA ~√Bheem~(アールアールアール バイ タカラヅカ ~ルートビーム~)』とレビューシンドローム『VIOLETOPIA(ヴィオレトピア)』を東京宝塚劇場で観てまいりました。今回はRRRの感想のみでVIOLETOPIAは次回に回そうと思います。今回も男子大学生がミュージカルを観た感想をつらつらと独自目線で書いていくので是非お読みくださいませ~。
RRRを映画版と比較して観ると・・・
まず最初に断っておきたいのは、自分が宝塚版RRRを観ることが初めてではないということです。実は一月に兵庫の宝塚大劇場に二回、配信で一回すでに観ており、全く初見の感想ではないのです(笑)。その上で頑張ってチケットを入手し、東京での観劇に至りました。(チケ難に関しては本当にどうにか対策して欲しいですよね。。)そもそも自分とRRRの出会いは映画版RRRが最初であり、そこでRRRにドはまりしたことがきっかけでした。映画を見る前は三時間の作品なんて今まで見たこともないし、集中力が持つか不安でしたが、圧倒的なアクションと世界観、ビームとラーマの友情に引き込まれ、三時間がたったとは思えないほど素晴らしい映画でした。そのミュージカル版、まして宝塚でRRRをすると一体どのようなものになるのだろう。しかも一本物じゃないというので最初はびっくりしていました。宝塚版のRRRでのハイライトも言わずもがな、もちろんナートゥだと思います。ですが個人的にこの作品で注目したい点を一言でいうと、映画版RRRの良さ(リスペクト)を維持しながら時間を半分に短縮し、主人公をラーマからビームに変えても違和感がないようになっていることだと思います。このことについてまとめていきたいと思います。
時間が半分になると
映画版RRRが三時間なのに対して宝塚版は90分とほぼ半分の時間しかありません。その中で物語を原作へのリスペクトを失わずに、どのように成立させるかが課題だったと思います。今回の宝塚版は完成形の一つであり、宝塚がRRRをやるとこんな感じになるよねというものを体現しているように感じました。まず物語の前半後半に分けると、後半の要素はどうしても削られている点が多かったです。ビームが鞭打ちの刑に処されている場面でラーマはビームを逃しているし、ビームがラーマを救いに行く場面ももっと映画版では深堀りされていました。前半の場面を省略すると、RRRの象徴であるビームとラーマの出会いやナートゥまでの流れが不自然になり、原作へのリスペクトが薄れてしまうため、この判断は正しいと自分は考えます。正直映画版RRRに削る場面などほとんど存在せず、削ったら物語の展開が不自然になるのではないかと考えていました。これを解決する方法かつ、宝塚らしさを出すために加えられた大きな変更が、主人公をビームに変えることです。この変更により、時間を90分に短縮することが容易になりました。
ビームが主人公になって
映画版RRRの主人公はビームではなくラーマです。そこを変更すると普通は大きく脚本の方向性を変えなければならないでしょう。しかしRRRの主眼は友か使命かに他の作品に比べより強く強くあるため、ストーリー展開がある程度共通していれば、物語が成立することができたのです。ビームが主人公になったおかげで、映画版であったラーマの登場シーンを省略し、ラーマの過去もダイジェストで示しても、観ていて違和感がなくなったのです。もし、ラーマが主人公のままだと、ビームがマッリを救いに行く話で時間がとられすぎてしまい、とても90分でラーマの話も組み込むことはできません。しかしビームを主人公に据え、前半はマッリを救うことを前面に押すことで物語を美しく成立させることの成功したのでしょう。個人的には変更は非常に良かったし、ビームが主人公のRRRもいいなぁと思えました。これは、演出家の谷貴矢さんの力量が素晴らしいです。
演出の匠、谷貴矢
宝塚版RRRの演出を務めたのは谷貴矢さんです。今回は宝塚の長所である豪華なセットに留まらず、プロジェクションマッピングを多用して、映画版RRRの世界観を巧みに表現していたように感じます。FIREとWATERの表現をダンスとプロジェクションマッピングを駆使して表すのは、まさにRRRだ!と思える演出です。先ほども述べた映画版RRRへのリスペクトを失わないことを成し遂げたのは、谷さんの力量があってこそだと思います。個人的に印象的だったシーンはスコット提督との最終決戦のシーンです。エドワードがラーマの矢に打たれる瞬間は見事の一言でした。ぶら下げられたライトを上手く使い、矢の動きを表現する。ライトという昔からある技術と現代技術のプロジェクションマッピングが融合して、的確に場面を表現できている点は今回のハイライトになっているでしょう。ミュージカルにおける演出家の重要性を認識した回になりました。
トップの実力に言葉を失う
次は演技面の感想を。トップスターの礼真琴さんは演技、ダンス、歌唱力に関してはもはや言及するまでもないほどの方だと思います。自分がミュージカル観劇に目覚めたきっかけの人でもあり、過去作では『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』や『1789 -バスティーユの恋人たち-』は現地で観劇し、Blu-rayで『ロミオとジュリエット』を観たことがあります。内容の大きなネタバレにならないために具体的な言及は避けますが、礼真琴さんが演じるビームが登場した時の迫力、歌唱力には鳥肌が止まりませんでした。映画版のビームはがっしりした体形で、礼さんのビームだと迫力負けするのではないかと考えていましたが、全くの杞憂でした。こんなビームもありだよねとさせてくれるのは、礼さんの実力があってこそだと思います。前回の1789に続きRRRもかなり負担が大きい演目です。特にナートゥは映画版だともちろんカットが入っているのであのレベルを維持できているのでしょう。しかし、ミュージカルだとそうもいきません。前後の演技を含めて舞台上でカットは存在しないため、ナートゥを踊った後に演技を続けられるのはすごいの一言ですね。拍手があんなに長く続くのは礼さんを休ませるためかもしれません。もはや、礼さんにできない演目はないのではないか。そう思わせてくれる役者はなかなかいないでしょう。
まとめ
まだまだいろいろな感想がありますがまとまりがなくなってしまうため、今回はここまでにしたいと思います。RRRを観た皆さんも、観ることができなかった皆さんも是非RRRを一回は観てみてください。では次回に~。
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