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アルカンシェル観てきたよー

ご覧になって下さった方々こんにちは。こんばんは。DDのミュージカル観劇日記、今回はやっとアルカンシェルを観ることができました!!花組トップスターの柚香光さんとトップ娘役星風まどかさんの退団公演でした。今回はなんと8列目とかなり前方席だったため、細かい表情や動きまで見ることができました。今回も男子大学生が独自目線でミュージカルを観た感想をつらつら書いていきます。是非読んでいってくださいませ〜。


そもそもの経緯と思い入れ

今回本当は宝塚大劇場でアルカンシェルを3回観ることが出来る予定でした。しかし、コロナによる中断で2回分公演が飛んでしまったのです。こればっかりは仕方のないことですが、より今回にかける思いは自分の中で強くなりました。そして、トップスターの柚香光さん。自分が宝塚を初めて観た花組公演ポーの一族にアラン役で出演されていました。その時はまだ2番手になったばかりで、まだ歌に力はなく、儚い感じがアラン・トワイライトにピッタリでした。そして時が経ち、トップスターになった柚香さんを観たのは巡礼の年のリスト役でした。もはやアランの時の2番手の面影はなく、ダンスだけでなく歌も演技もレベルが上がっており、感動しました。その後もうたかたの恋や鴛鴦歌合戦も欠かさず観劇し、頻繁に観るようになっていました。そして、ついに来てしまった退団公演。もういなくなるんだなーとしみじみしながら席に向かいました。

完璧な退団公演では??

アルカンシェルを観終わって最初に感じたことは、2人の退団公演として完璧であることです。一言で言うと、柚香光と星風まどかを全面に押し出しながら、次期トップコンビへの継承ができた演目だったと思います。個人的にも、今まで観てきたミュージカルの中で本当に上位に食い込む作品となりました。まず、マルセルとカトリーヌの関係性が非常に良かったと思います。マルセルは最初、自分の目指すべきスタイルに固執し、意見を曲げない頑固者でした。同時に、カトリーヌも、急に責任者となり動揺しながらもマルセルと意見が中々あいません。しかし、共にアルカンシェルを守りたいという思いが一致し、関係性が変化していきます。仕事のパートナーというだけではなく、愛する存在に。2人がマルセルの家でコーヒーを出す場面は見てる観客側がほっこりする瞬間だったと思います。どんな困難があっても2人が支え合い、信頼する相手になっていく流れは素晴らしかったと思います。今回同時に良かったのは、永久輝せあの役どころです。フリッツはナチスにいながら演劇やジャズを愛し、アルカンシェルにジャズ版の上演を頼むと共にアネットに恋します。しかし、彼はフランス解放で連行されたため、アネットは待ち続けるしかなくなるという、こちらはある意味バットエンドなのです。マルセルとカトリーヌは結ばれたが、フリッツとアネットは結ばれない。ここに物語の深みが生まれ、より感動する要素になってました。ただ、2人が結ばれる話はよくありますが、今回はそこの明暗が生まれたことで、人々の現実と夢が織り交ざったパリ解放を表現していたのかなと感じました。もし、フリッツの方が主人公として描いた作品だったなら、全く違う感じ方をしたのかもしれません。そして、もうひとつ。柚香さんはダンスが非常に素晴らしいため、ダンサー役は完璧にマッチしていました。柚香さんの長所をふんだんに使いながら、話を破綻させずに展開するのは素直に凄いなと思いましたね。さすが、小池修一郎。ルパンではふざけすぎたのを反省したんですかね(笑)。

曲も演出もよきよき

今のとこいいとこしか見つかってませんが、曲も非常によかったです。特にたゆたえども沈まずはよかったですね。マルセルがパリを守り抜くという決意をパリ市の標語とかけて歌い上げるのは気持ちが非常にこもっていてテーマソングとしても最高だったと思います。目の前で柚香さんが歌っている姿は完全にトップスターのオーラを纏っていました。個人的に面白かった点はフリッツのアビアントですね。アネットとアビアント、どんどん引きになっていくパリの風景。どっかで見たことがあるような要素しか無かったかと(笑)。今回はリボンに乗ってパリを飛んではいませんが、あの演目を思い出した人もいたと思います。小池修一郎は帝劇で少し前自分が演出した演目の要素を入れたりしますよね(笑)。前のボンドのエリザも然り(笑)。真面目な話に戻ると、今回は場面転換がはっきりしていた所も良かったと感じました。ぬるっと場面が変わると変化を感じにくく、個人的には好みではありません。しかし、ショーのパート、物語のパートとしっかり分かれていてハッキリしていて好きでした。この話は柚香さんと星風まどかさんのコンビでしか上演出来なそうな演目ではありますが、唯一無二の演目ではないでしょうか。

ストーリーの重大さ

今回のアルカンシェルは、ショーと物語が絡み合った構成であり、中々物語として成立させるのは困難な演目だったと思います。その中今回着目したのは、想像以上にアルカンシェルが取り扱っている内容自体は重いものであるということです。これがあるからこそ、ストーリー性も充実したのではないでしょうか。ナチス占領期のパリというかなり歴史的にも様々な事象が起きた時代です。ナチスによりパリの芸術は規制され、当然ユダヤ人は収容所送り、夜中の外出までも制限されるという中々酷な規制だったと思います。当時の劇場は、その中でもパリの人々や、ドイツ兵に向けて自分たちの存続と娯楽を与えるために上演の形を模索したに違いありません。どんなときも一定レベルの安全性があるなら、芸術が途絶えることはありません。アルカンシェルはそのことを教えてくれたような気がします。個人的に凄いと思った点は、かなりナチスを直接的に表現していることでした。ヨーロッパでは未だにナチスを扱う演劇に忌避感を持つ人も多く、ナチスの旗と同じ形の物を使うことが出来ない国もあるほどです。その中でアルカンシェルは、ぺぺがナチス旗を踏みつけたり、最後はナチス旗を破ったり、1幕の途中にパリ市の旗からナチス旗に取り替えられたりなど、かなり露骨に表現していました。自分はこれくらいが好きですが、この作品を海外で上演したら(特にヨーロッパ)、また違う感想や意見が出てくるのではという気もします。ストーリーに深みを出しながらもダンスをふんだんに盛り込むのは改めて難しいことだと感じました。

なんだかんだ。。

今回は悪い点があまり見つからないほど、いい演目だったと思います。今まで宝塚を観てきた中でも本当に屈指の作品です。8列目かつ思い入れがある柚香さんの退団公演、そしてストーリーの良さにより、ほぼ初めてと言っていいほど感動して涙が止まりませんでしたね(笑)。自分は感動してもあまり涙が出るタイプではないのですが、今回はさすがに違いましたね。柚香さんの成長と星風まどかさんとのコンビ、次の花組が育っている連帯感をひっくるめて感動したのだと思います。もう少しで宝塚の柚香さんを見ることが出来なくなりますが、まだ観てない皆さんも、もう観た皆さんも最後まで応援しましょう。もっと書き足りない所がありますが、今回はここまでにしたいと思います。また次回に〜。


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