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【人間観察】自己チュウという虫が騒いでいた

今日、得意先へ向かうメトロの中で、面白い話しを拾った。

年の頃なら、四十そこそこのご婦人二人。
回りの乗客に憚らず、マスクが外れんばかりに、話していた。

「一番のお気に入りのスカートを穿こうとしたらウエストが、締まらないの!でね・・・クリーニング屋に電話してクレームつけなければっと思ったのよ」

「どうしてなの?」

「だって、クリーニング屋から引き取ってきたばかりなのよ!ビニール袋から出したら、いままでスウーッと穿けてたのに、穿けないのよ!縮かんでるんだから・・・それってクリーニング屋のセイだと思わない?」

「・・・」問われた、お連れさんは、応える言葉を失っていた。

<やまのぼ>も、同様にただ唖然とするばかりだったのだが・・・。

お二人の会話は、構わずどんどん続く。

「リモートワークか?なにか知らないが、家でロクに仕事もせずに、食っちゃ寝、食っちゃ寝してたから、おまえさんが、肥えただけだろうが!って旦那にいわれたのよ!」

「それで」

「ジムでダイエットしなきゃといわれたから・・・このご時世でしょ!やってるジムなんか、ないでしょ!と旦那にいってやったのよ」

「それで」

「旦那のセイで、やけ食いヨッ!で、この通りよ!」

<やまのぼ>は、チラッと、そのご婦人の体型を、再確認したかったのだが、自己チョウに何いわれるかもしれないので、得意の<狸寝入り>のまんま、腹を抱えて無言で笑っていた。


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