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ニューブレイカー2024〜中川虎大〜

 今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第十回は、威力のある真っ直ぐとフォークで相手をねじ伏せるDeNA期待のパワーピッチャーです。

名前:中川虎大(なかがわこお)

 こちらが中川虎大選手です。中川選手は右投右打の投手で、和歌山県和歌山市出身、1999年10月2日生まれの24歳です。
 小学生時代に野球チームで全国準優勝を経験していた中川選手ですが、中学では二年時に遊びたいという理由でシニアチームを退団。しかし、中三の夏に高校野球和歌山県大会決勝を観戦したことで野球熱が再燃し、名門・箕島高校に進学後二年秋にエースとキャプテンの座を射止めます。
 そしてこの頃のトレーニングが結実し最速149キロをマークするなどプロチームからの注目されることになりますが、投球に安定感を欠き三年夏は背番号10を背負いリリーフとして登板。結局在学中に甲子園に行くことは叶いませんでしたが、高校から投手に転向したにも関わらずの球速と変化球の完成度が評価され、2017年育成ドラフト1位でDeNAから指名を受け入団します。
 プロ入り後しばらくは先発としての起用が続きます。2019年にはファームで規定到達を達成、イ・リーグ唯一の2桁となる11勝をマークして支配下昇格するなど先発としての活躍が期待されましたが、いざ一軍へ上がると制球難・被安打の多さが顕著に現れなかなか一軍に定着できません。
 中継ぎに転向後も2桁登板を達成できないまま6年が経過しましたが、7年目の今季に覚醒。4月下旬に一軍へ上がると6月にはプロ初勝利を記録し、一時期は中継ぎエースの座にも座るなどボロボロのブルペンを埋めました。
 しかし、8月中旬に肘の違和感を訴え抹消されると、そのまま右肘のクリーニング手術を受けることになりほぼ今季絶望。9月30日時点で31試合に登板し1勝3敗、10ホールド、防御率3.19という内容でした。ここまでブルペンに厚みを持たせる存在になりかけていただけに来季はシーズン通して活躍してほしいですね。

強み:フォークのキレ

 もちろん中川選手最大の強みは最速157キロの威力のあるストレートと言っても過言ではないのですが、筆者はそれ以上に鋭いフォークを推したいです。中川選手は二段モーションの後真上から叩きつけるような投球フォームで投げ込んでおり、ストレートにもフォークにも角度がつきます。
 さらにフォークにはスプリット系の回転がかかっていることで打者から見ると直球か変化球か分かりづらく低めにくると振らされてしまいます。実際に空振り率は29.95%を記録しており、これは現ニューヨーク・メッツの千賀滉大選手のフォークに匹敵します。
 お化けフォークに肩を並べるほどのフォークにストレートが加わることほど、「鬼に金棒」という言葉が似合うものはありませんね。

課題:隅への投球

 上の画像は今季の中川選手のコース別被打率ですが、ストライクゾーンの四隅(三隅)の被打率が異様に高くなっています。なぜこんなにも隅のコースが打たれているのでしょうか。本来なら被打率が下がっていて然るべきです。
 これはあくまでも筆者の推測ですが、コースギリギリを突こうとして少し甘く入ったところを捉えられているのではないでしょうか。
 だとしたら、もっと大胆に投げ込んでもいいのではないでしょうか。真ん中高めだろうがベルト高だろうが打たれる確率は低くなっているので、際どいコースばかり狙うのではなく「ストライクゾーンに入ればいいや」くらいのマインドでいけばもっと被打率が改善できそうです。

得意打者

 広島・野間峻祥選手阪神・大山悠輔選手はそれぞれ4打数、3打数の対戦でノーヒットに押さえ込んでおり、好相性と言えるでしょう。
 球団単位で言えば中日には6打席ノーヒット、阪神にも17打数2安打で打率.118と自慢のボールを見せつけています。

苦手打者

 中川選手はヤクルト・J.オスナ選手天敵としており、今季打たれた2本のホームランはどちらも彼に献上しており、打率も4打数3安打で.750となっています。
 他にも巨人・岸田行倫選手には4打席の対戦で長短打を浴びるなど苦手意識がありそうです。

中川選手のプレー動画

 やはり映像を見ていてもストレートとフォークの組み合わせが強いですね。フォークもピッチトンネルを抜けてからストンと落ちるタイプではなくカーブのように弧を描きながら落ちていくタイプですが、低めによく制球されているため打者はことごとく空振りをしています。本当にシーズン途中で離脱してしまったのがもったいなくて感じる逸材です。

一口情報:虎

 中川選手の下の名前は「虎大」ですが、これは野球好きの両親に由来します。中川選手のお母さんは元西武・工藤公康氏のファンだったことから「こう」と名づけ、阪神ファンだったお父さんが「虎」という字を当てはめたそう。
 しかし、姓名判断で「こう」とした時に当てはめるもう一つの漢字が見つからなかったそうで、結果的に読みを「こお」に変えることになったんだとか。やはり名前がついた時点で野球を始めるのは運命だったのでしょうか。

まとめ

 今回はDeNA・中川虎大選手について紹介しました。8月上旬で30登板をクリアしていることから、シーズンを完走していれば今頃45登板も見えてきていたことでしょう。
 同点など競っている展開での被打率の高さなどまだ改善の余地がある部分はたくさんありますが、160キロも狙える快速球とフォークを持っている中川選手がブルペンに定着できれば、DeNAもかなり面白くなるでしょうね。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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