ニューブレイカー2024〜井上温大〜
今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第十三回は、育成落ちから這い上がりなおも成長を続ける盟主の左腕エース候補です。
名前:井上温大(いのうえはると)
こちらが井上温大選手です。井上選手は左投左打の投手で、群馬県前橋市出身、2001年5月13日生まれの23歳です。
小学校一年生のころから野球を始めた井上選手は春夏合わせて9回甲子園出場の実績を持つ前橋商業高校で一年秋からベンチ入りし主力として活躍すると、三年春には県内屈指の強豪・健大高崎高校相手に5回無失点と好投しプロからの注目も集めます。三年夏には背番号1を背負って県大会に臨むと、同校9年ぶりの決勝進出を実現。前橋育英高校相手に8回途中3失点と粘りを見せましたが、あと一歩届かずチームも敗戦しました。
しかし、175センチとプロの投手では小柄な部類の身体から最速144キロの直球に多彩な変化球を投げ込む姿が将来性を感じさせ、2019年ドラフト4位で巨人から指名を受け入団します。
入団後は身体を作りつつ二軍戦に登板。ルーキーイヤーからファームで5試合に先発するなど期待されていましたが、翌2021年に左肘頭骨折と診断され育成落ちを経験します。
しかし22年には復帰すると、二軍でイニング以上の三振を奪ったことが評価され支配下再登録。さらに9月にはプロ初勝利も記録しました。昨季も二軍で7勝を挙げるなどいよいよ覚醒の日が近づいてきたと思われ、迎えた今季。直球の最速を153キロまで引き上げた井上選手は序盤を中継ぎでスタートさせながらも、夏場に先発へ配置転換。これが功を奏し、シーズン終了時点での成績は25試合の登板で8勝5敗、防御率2.76と全てキャリアハイの数字で終えました。
100イニングもしっかりとクリアしており、菅野智之選手が海外FAで退団するかもしれない今来季の大事なイニングイーターになってくるかもしれません。
強み:高い奪三振能力
井上選手の強みは奪三振能力の高さ。
上の画像から分かる通り井上選手はストレートを主体にスライダー、フォーク、ツーシームなどの変化球をバランスよく投げ込んでいるのですが、全ての変化球が一級のクオリティーです。
その根拠は数字にも表れています。特にスライダーで言うと、87被打数で被打率は.172。見逃し率も20%を超えており、左打者のクロスファイヤーにも右打者のバックドアにも上手く使えている証拠ですね。
他の変化球を見てもメッタうちにされている球種は特になく、全ての変化球を上手く使いこなしていることが今シーズン飛躍の要因かもしれません。
弱み:ベースカバー
一方で、前々から井上選手の課題として言われているのがベースカバー。特に一塁のベースカバーに入る際走るスピードを下げてしまうことが多いらしく、内野安打を増やして自らを苦しめることがあります。8月24日の中日戦では自身のベースカバーが遅れたことでランナーを出し、直後にホームランを打たれてしまい、これには阿部監督も
とおかんむり。しかし、これも最近は徐々に改善されてきているらしく、9月20日の広島戦で8勝目を挙げた際はきちんとベースカバーを行いました。やるべきことをできるようになっている左腕に対し阿部監督も、
と不敵な笑みを浮かべていました。
得意打者
DeNA・山本祐大選手に対しては10タコ、牧秀悟選手に関しては12打席の対戦ながら1死球のみの11タコと驚異的なまでに抑えています。
さらに中日・田中幹也選手にも9打数1安打、広島・野間峻祥選手も5タコと好相性を発揮する選手は多くいました。
苦手打者
一方でヤクルト・村上宗隆選手とは8打席の対戦で5打数2安打1本塁打3四球と苦手意識が出ているのか萎縮してしまっています。
ヤクルト・サンタナ選手にも3打数3安打と打たれており、もしかしたら球場的な相性も相まってヤクルトは苦手なのかもしれませんね。
井上選手のプレー動画
やはりストレートと変化球共にキレがすごいですね。左打者であれば最後にアウトローへ投げ込んでしまえば勝ちというような、そんな勝ち筋が見えています。
スライダーに限らず縦に落ちるフォークなども今季は冴え渡っていますね。左打者だけでなく右打者からもしっかりと空振り三振を取れているのもポイントが高いです。
一口情報:消防士
これは巨人の球団公式サイトでのプロフィールに載っていた一問一答なのですが、「プロ野球選手以外だったら何の仕事をしている?」という質問に井上選手は「消防士」と答えていました。
子供の頃に夢として持っていたのが消防士になることだったのでしょうか。プロ野球選手にしろ消防士にしろ、もしかしたら井上選手は火を消すことに憧れを持っているのかもしれませんね。
まとめ
今回は巨人・井上温大選手を紹介しました。一度怪我で育成落ちを経験しながらももう一度這い上がってきた井上選手、今季は惜しくも8勝と二桁に届きませんでしたが、菅野選手が抜ける来季こそ本当に重要な戦力となってきます。来季のさらなる飛躍に期待がかかりますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
出典・画像引用元
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