ニューブレイカー2024〜船迫大雅〜
今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第十四回は、サイドからとは思えない豪速球で相手をねじ伏せる即戦力右腕です。
名前:船迫大雅(ふなばさまひろまさ)
彼が船迫大雅選手です。初見ではなかなか読めませんね(笑)。船迫選手は右投左打の投手で、宮城県刈田郡蔵王町出身、1996年10月16日生まれの27歳ですが、あと一週間ほどで28歳の誕生日を迎えます。
小学校三年生の時から野球を始めた船迫選手は中学でも野球部に所属、高校は福島の強豪・聖光学院高校へ進学しました。野球部入部後はチームが二年春夏と甲子園出場を決める中自身はベンチ外。それでも腐らず練習を続けたことで、三年夏にはエースとして県大会から登板。1大会で3勝を挙げ、チームのベスト8進出に貢献しました。
大学は東日本国際大学に入学、一年春からベンチ入りするなど大学通算で44試合に登板しました。そして、卒業後は社会人・西濃運輸へ。3年目の2021年には150キロを計測するなどプロからの注目を集めます。
そして迎えた4年目、サイドから計測する150キロのストレートとスライダー、シンカーを中心とした変化球が評価され、2022年ドラフト4位で巨人から指名を受け入団します。
"即戦力ドラフト"とまで言われた2023年度ルーキーの中でも船迫選手は1年目から36試合に登板。防御率も2.70と球団からのニーズを果たしたとも言えるでしょう。しかし、今季はさらにその上をいく活躍。登板数を一気に51試合に伸ばし、防御率も2.37に改善。12球団の投手で唯一開幕からシーズン終了まで一軍に帯同し続けたことも大きく、間違いなく巨人優勝の原動力となりました。
強み:タフネス
やはり船迫選手最大の武器は50試合登板できるタフネス。51試合はリーグ19位タイの記録であり、例年よりも中継ぎ起用過多の気があった今季のセリーグの中でも上位に食い込んでいます。
そんな中でも最高球速はシーズン全体を見てみてもあまり推移はなく、初めから終わりまで140キロ台後半を維持していました。これは1試合の登板で1イニング投げ切らないワンポイントでの起用が多かったことも理由の1つに挙げられますが、単純に船迫選手にタフネスがあるからというのもあるでしょう。
また体力だけでなくストレートの力もあり、船迫選手の直球の回転数は最高水準で2700。これは「火の玉ストレート」と呼ばれていた元阪神・藤川球児氏と同程度の数値であり、どれだけストレートに力とノビがあるのか容易に分かるのではないでしょうか。
課題:シーズン終盤の粘り
先述した内容から一瞬で矛盾してしまうようにも感じてしまうのですが、船迫選手の今後の課題は9月以降、シーズン終盤戦での粘り強さだと思います。
月別防御率を見てみると、
と異様に終盤の数字だけ高くなっています。急に攻略され始めたというのも考えづらく、WHIPに関しても他の月よりも低くなっていることもあり、連打を食らっている、というわけでもなさそうです。なので、おそらく若干の制球力の低下によるものだろうと筆者は予想しています。
もちろんワンポイントという気持ちの準備が難しい場所での起用が多いというのもあるでしょうが、なんにせよチームの優勝がかかる時期にもっと貢献していきたいですね。
得意打者
DeNA・桑原将志選手やオースティン選手に対しては4タコ3タコ、ヤクルト・中村悠平選手に対しても6打数1安打に抑えるなどこれらの選手には相性がいいですね。
球団全体で見ると、DeNA相手に24打数3安打3四死球とよく抑えている印象を受けますね。
苦手打者
2打数以上の対戦で2安打以上を打たれたのはヤクルト・サンタナ選手と阪神・近本光司選手のみ(どちらも2安打)で、3安打以上打たれた選手はいませんでした。
苦手打者がいない投手というのもすごいですね。
船迫選手のプレー動画
サイドとは言ったものの、厳密に言えばスリークォーターよりのサイドですね。あと投げ終わった後の体勢が若干元ヤクルト・秋吉亮選手を思い出させるのは筆者だけでしょうか。
低めに投じたストレートは手前で伸び、スライダーは右打者を嘲笑うかのように逃げていきますね。見ていて気持ちのいいピッチングです。
ただ左打者を相手にすると被打率が高くなるためバルドナード選手に代えられてしまうこともしばしばありました。これがワンポイント起用の大きな理由の1つですが、来季は対左でも安心して任せられるような投手になってほしいです。
一口情報:ふなばさま
普段生活していてもなかなか見かけることのない名字「船迫」。やはり数字で見てみてもかなり少ないようで、名字由来netによるとその数なんと650人。地方球場に丸々招待できてしまいますね。
また船迫さんは鹿児島や宮城に多いらしく、その語源は岩手県や鹿児島県などで見える船形の窪地や谷間からだそう。海関係かと思いきや山関係なんですね(笑)。
まとめ
今回は巨人・船迫選手を紹介しました。船迫選手は昨年の投球回数から今季ギリギリで新人王資格を有しており、広島・黒原拓未選手と新人王争いをしている最中です。もし選出されると28歳での受賞となりこれもまた珍しいので、選出されるのが楽しみですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。