ニューブレイカー2024〜中川颯〜
今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第九回は、見惚れてしまう下手投げで再スタートを期すハマのサブマリンです。
名前:中川颯(なかがわはやて)
こちらが中川颯選手です。中川選手は右投左打の投手で、神奈川県横浜市出身、1998年10月10日生まれの25歳です。
地元ということで幼少期から横浜ベイスターズに憧れを抱いていた中川選手は、中学時代にアンダースローに転向。投手兼遊撃手として所属していたシニアチームを全国大会に導きました。神奈川の強豪・桐光学園高校に進学後はエースで4番という今では珍しい役職で秋には関東大会まで進出しました。
立教大学時代には一年時に全日本大学野球選手権大会で最優秀投手賞を受賞。しかしその後はなかなか成績がついて来ず、大学4年間で61試合に投げ10勝8敗という内容でした。しかし、アンダースローから放たれる130キロ台中盤の直球とスライダー、ツーシームなど種々の変化球が評価され2020年ドラフト4位でオリックスから指名を受け入団します。
入団1年目はルーキーながら開幕一軍入りを果たしたり、二軍で41試合に投げ防御率1.13を記録するなど順風満帆に見えたプロ生活でしたが2年目に登板過多が祟ったか肩の不調が発生。成績も振るわず育成契約にもなりました。
そして昨季オフに戦力外通告を受けオリックスを退団すると、DeNAが支配下としての獲得を発表します。念願だった地元球団への入団が叶うと、それに応えるようにオープン戦で好投。今永昇太選手、トレバー・バウアー選手の穴を埋める形で開幕ローテを勝ち取るなど一軍でその才能を開花させ、9月25日時点で26試合に登板、3勝0敗、防御率4.50となっています。
先発では打ち込まれてしまったものの、現在は中継ぎで火消し役を担当。何度もチームのピンチを救っています。
強み:低めへのスライダー
中川選手の持ち味はもちろん浮き上がるようなストレートですが、その直球があることによってスライダーが活きています。ツーシーム38%、ストレート31%、スライダー29%と3球種をバランスよく投げ込んでいる今季の中川選手ですが、スライダーは他2球種と同程度の被打数があるにも関わらず、66被打数11被安打で被打率は.167。
ストレートが61被打数26被安打で.426、ツーシームが82被打数23被安打で.280なので、スライダーの打たれづらさが分かるかと思います。
アンダースローのスライダーの軌道は一度浮き上がってから滑り落ちるというジェットコースターのようなものなので、打者からすれば厄介な球でしかないですよね。見ても慣れられないのか空振り率が14.34%を記録しており、これも高水準の数字です。
このスライダーを右打者でいうアウトローのコースにしっかりと投げ切ることができるので、打者を打ち取る1つの手段になっています。
課題:昼間のピッチング
一方で、状況別の被打率を見てみると明らかに差異がある数字がありました。それはデーゲームとナイトゲームの防御率。ここまでの中川選手はデーゲームは8試合の登板で防御率7.71、ナイトゲームは18試合の登板で2.45。昼間の試合で異様に打たれているんですよね。これはおそらくシーズン序盤での中川選手の起用法にしています。先述した通り中川選手は開幕ローテを勝ち取ったのですが、その時によく投げていたのが土日のハマスタでのゲーム。
5月11日の阪神戦、5月25日の広島戦とどちらも昼のハマスタで行われた試合ですが、この2試合だけで14失点を喫しており、そこからは中継ぎとして役割を全うしています。
投げる時に地面が近くなることから暑い試合が嫌なのか、地面に反射する日光が嫌なのか、真相が定かではありませんがもし来季もローテで回すなら平日のゲームにしたほうが良さそうですね。
得意打者
中日・大島洋平選手に対しては4タコ、阪神・木浪聖也選手に対しては7打数1安打とよく抑えており、他にも中日・木下拓哉選手など被打率が低い打者は少なくはありませんでした。
苦手打者
おそらく最も苦手としているのが阪神・前川右京選手。前川選手とは7打席の対戦で4打数3安打、さらに3与死球とぶつけまくって打たれまくっています。
前川選手をはじめとして阪神には中川選手が得意な打者が多くおり、球団としてみても53打数19安打、被打率が.358に1被本塁打と散々な成績になっています。
中川選手のプレー動画
アンダースローでワインドアップ。こんなの惚れない野球ファンがいませんよね。体型もすらっとしていて、本当に美しい投球フォームをしています。そこから打たせて取る投球をしており、スライダーで空振りも取れるのが中川選手です。
そして、中川選手は今季プロ初ホームランを放ったことでも話題になりましたね。野手ながらまるでアーチストかのようなフォロースルーでボールを振り抜いており、やはり桐光学園高校時代に強打でならしていただけあるなど思います。
一口情報:ブルペンキャッチャー
現在DeNAのブルペンキャッチャーには大坪亮介チームサポータープルペン捕手兼ファーム用具担当がいるのですが、実はこの大坪捕手は桐光学園高校時代に中川選手の女房役だった選手なんです。およそ8年ぶりのバッテリー結成となったそうですが、世界は狭いものですね。
中川選手のモチベーション向上にもなると思うので、いい効果が生まれるといいですね。
まとめ
今回は、DeNA・中川颯選手を紹介しました。オリックスから移籍してきた初年度からDeNAで活躍の場所を見つけていますが、スタッツなどをみてもまだまだ改善できるところはたくさんあります。ハマのサブマリンとして、これからどんどん白星を積み重ねていってほしいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
出典・画像引用元
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