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プロ野球によく起こる怪我について解説〜有鉤骨骨折〜
今シーズンの試合の無い日などに更新する「プロ野球によく起こる怪我について解説」シリーズ。
様々な怪我の名前の指す部位や完治までの期間を調べ、選手の怪我についての記事が出た時に名前だけですぐ分かるような記事作りが出来ればと思っています。
第二回は、野手に起こることが多い有鉤骨骨折について解説します。
有鉤骨とは?
有鉤骨とは、手のひらの小指の付け根あたりにある骨で、手首の関節を構成する、8つの手根骨の中の1つです。
手首の安定性と動きをサポートする部位であり、手首の捻りや手首への衝撃を吸収する重要な部位でもあります。
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また、この有鉤骨には有鉤骨鉤と呼ばれる突起があり、そこが折れることで有鉤骨鉤突起骨折という怪我になります。
怪我をした際に病院を受診しても、怪我をしている部分が小さく、見づらい場所にあるためレントゲンを撮っても見逃してしまうケースもあるようです。
なぜ有鉤骨を骨折してしまうのか?
この有鉤骨、普通にしていればあまり怪我をしなさそうな部分ですが、なぜ骨折してしまうのでしょうか。
手首に強い力がかかってしまうから
主に日常生活で、転倒した時が当てはまります。
歩いている時などに転ぶと大怪我を防ぐために手を着きますよね。その時に手首に強い力がかかってしまい、骨折してしまいます。
グリップがちょうどこの位置に当たるから
これは野球やテニスなど、グリップを握る時が多く当てはまります。
バットやラケットを握ると、手のひらの有鉤骨あたりにグリップが当たります。
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この状態で素振りなどを繰り返すことによって有鉤骨鉤にストレスが溜まっていき、疲労骨折してしまうケースがあります。
そのため、基本的には右打者は左手の有鉤骨、左打者は右手の有鉤骨と利き手ではない方の手の骨を骨折することが多いです。ただ、野球では右投左打か左投右打でないかぎりバッティングだけでなく捕球にも影響が出るので深刻な怪我になります。
発症したらどうなる?
主な症状
①痛み
手の小指側が痛むことが多く、痛みゆえに手を握ることや、小指を逸らすことが普段よりも困難になります。
②痺れ
骨折により有鉤骨の近くを通っている尺骨神経を損傷すると、手を強く握った時に響くような痺れが出る時があります。
③腫れ
骨折による炎症で手の小指側が腫れることがあります。
④引っかかり
薬指・小指を曲げる屈筋腱の滑車の役割を持つ有鉤骨を骨折することで、指に引っかかった感じができます。
治療の方法と完治までの期間
①保存療法
1つ目の治療法は保存療法です。ただし、これは骨折後すぐに診断され、ズレがほとんどないという場合に限られます。
怪我をした部位にギプスを巻き、手首を固定して安静に保ち、骨が完全に癒合することを狙います。
この場合は4〜6週間、ギプスだけでなく装具も含めると12週間ほど固定することになりますが、それでも完全にくっつかない場合もあるようです。
②有鉤骨骨片摘出術
早期復帰を目指すプロスポーツ選手はこの方法を多く取ります。スポーツプレイヤーに限らず、発見が遅れた場合や骨折の仕方が複雑で安定しない場合にもこの方法を選択することが多いです。
折れた有鉤骨鉤の骨片を手術によって切除し、安静にすることで競技に復帰できるようにします。この場合の復帰までの期間はおよそ6週間。1ヶ月半がめどのようです。
手術の際にかかる時間はおよそ1時間弱。基本的には片腕麻酔をして行います。
ただ、この方法では後に握力低下、神経や腱の損傷など後遺症が残るリスクもあるため、特に急ぐ必要のない方は保存療法をするのがベタですね。
③スクリュー固定術
折れた有鉤骨鉤を摘出するのではなく、スクリュー(ネジのようなもの)で有鉤骨を固定してしまう手術法もあります。
まとめ
有鉤骨骨折は野球においては野手に多くある怪我で、グリップを強く握り込んだりすることで小指の付け根あたりの骨が折れてしまうことがあります。
発症すると骨片を手術で摘出し、スポーツに復帰できるのは早くても2ヶ月くらい、それ以上かかることもざらにあります。
ただ、この部分は強い力がかかることによって骨折するので、有鉤骨骨折はより力の込められる強打者の証とも言われています。それでも発症すると後に打撃面で大きく影響が出てくる場合があるため、何より骨折しないのが一番ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。