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ニューブレイカー2024〜坂本裕哉〜

 今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第七回は、現役ドラフト候補から中継ぎの柱へと評価を引き上げたDeNAのサウスポーです。

名前:坂本裕哉(さかもとゆうや)

 こちらが坂本裕哉選手です。坂本選手は左投左打の投手で、福岡県福岡市出身、1997年7月28日生まれの27歳です。
 中学までは軟式野球をやっており、中学生時代には九州大会での優勝も経験した坂本選手は、地元の強豪校・福岡大大濠高校へ進学。在学中には甲子園への出場はならなかったものの、二年秋からエースナンバーを背負うなど活躍していました。立命館大学へ進学後は、四年春にMVPを獲得するなど高い奪三振能力で相手打者を唸らせ、侍ジャパン大学代表選考合宿にも招集経験があります。
 そして、左腕から放たれる角度あるストレートとチェンジアップが大きく評価され、2019年ドラフトでDeNAから2位指名を受け入団します。
 入団から2年間は先発として起用され、2020年、21年で8勝7敗と楽しみな成績を残します。しかし、その時点で防御率は5点代中盤。22、23年も防御率6.19、5.76と改善させることができずなかなか一軍に定着できませんでした。
 そんな中迎えた今年は中継ぎとして大成。ストレートの最速を151キロまで伸ばし、チェンジアップを使った緩急のある投球で9月21日時点で44試合に登板、防御率も2.31とキャリアハイを記録。間違いなく、DeNA上位猛追のキーマンの1人です。

強み:低めへの投げ込み

 今季の坂本選手躍進の要因として1つ挙げられるのが、低めへの投げ込み方です。

 上の画像は、坂本選手の今季のコース別被打率ですが、明らかに低めのボールゾーンでの被打率が低くなっています。とくにストライクゾーンの真下にあるボールゾーンでの奪三振率の高さが顕著に出ており、これは、速いストレートをストライクゾーンに散らしてから最後は低めのストライクからボールになるチェンジアップで空振りを取る、というピッチングスタイルが確立できている何よりの証拠です。
 今季の球種配分はストレート5割にチェンジアップ3割、カウント球のカットボールが2割弱というようになっており、低めへ投げることができればどの球種も一級品です。
 一方で、高めの被打率が高いのはプロ入り当初から変わっておらず、防御率が改善されたのは低めに投げることができるようになったから、というのが最大の理由でしょう。

課題:ストライクを取り急ぐこと

 ここまでかなり良い成績でシーズンを過ごしている坂本選手ですが、カウント別の被打率を見てみると気になる箇所が複数あります。
 特に0ストライクの場面。ボールカウント問わず0ストライクでの被打率を計算すると、なんと32打数12被安打で.375。さらにボールが先行しているカウントだけを見てみると36打数15被安打で.417。この数字だけをみると、カウントを有利にしようと思い、若干甘く入ってしまったボールを痛打される、というケースが多いように見えますね。
 特にストレートとカットボールは被打率3割を超えているので、安易にストライクを取りに行こうとしたところを狙われているのかもしれません。

得意打者

 ヤクルト・宮本丈選手サンタナ選手とは4打席の対戦で4打数無安打2三振と好相性を発揮しています。
 また阪神・佐藤輝明選手も4打数無安打1三振に抑えているなど、強打者にも臆することなく勝負しにいっていることがわかりますね。

苦手打者

 一方で、阪神・近本光司選手には5打席の対戦で4打数3安打とカモにされており、阪神・渡邉諒選手巨人・丸佳浩選手にはそれぞれホームランを1本ずつ食らっています。
 得意にしろ苦手にしろ右打者左打者関係なく名前が上がっているので、良い意味でも悪い意味でも右左による抑え方の差が少ないというのも坂本選手の特徴ですね。

坂本選手のプレー動画

 右打者がインコースに投げられるカットボールにだいぶ苦戦しているようですね。阪神・髙橋遥人選手と似たような球質なのでしょうか。また、左打者に対しては徹底的に外角をついてからチェンジアップを振らせており、速い球に対する意識づけをしっかりしているように感じました。
 クロスファイヤーに決まった時のストレートの威力もあります。やはり低めに投げ切ることができれば、相手打者はかなり苦戦することになるでしょう。

一口情報:東

 坂本選手が在籍していた立命館大学には、2つ年上の先輩として現在でもチームメートの東克樹選手がおり、一時期は選手寮で東選手と同部屋で生活していたこともあるそうです。
 入団1年目にメンタル面などで東選手から助言を受けていたという坂本選手。立命館大学ホームページの「在校生の声」というブースでは

 DeNAには、同じ立命館大学文学部出身で2歳上の東克樹投手も在籍しています。東さんの背中を見て、プロに行こうと改めて決意したほど、存在が大きい人。一緒のチームでプレーできることをうれしく思っています。2月にはキャンプが始まります。1年目は即戦力として活躍できるようにがんばります。そして日本を代表する左投手をめざします。

立命館大学 在校生の声 2019年度日本史研究学域より一部抜粋。

 と語っており、いかに自分の中で東選手の存在が大きいかということを話していました。

まとめ

 今回はDeNA・坂本裕哉選手について紹介しました。本人が中継ぎに適正を見出してくれて本当に良かったですね。東選手とも、現在は活躍している役割こそ違えど共に勝利を目指す仲間。立命館大リレーで完封勝利なんかも見てみたいですね。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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