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ニューブレイカー2024〜京山将弥〜

 今シーズン新たに殻を破った選手を紹介する企画、「ニューブレイカー2024」。第六回は、投げられなかった時期を乗り越えたハマの剛腕ピッチャーです。

名前:京山将弥(きょうやままさや)

 こちらが、京山将弥選手です。京山選手は右投右打の投手で、滋賀県大津市出身、1998年7月4日生まれの26歳です。
 滋賀の競合・近江高校で1年夏からベンチ入りを果たしていた京山選手は、二年春のセンバツにおいて2回戦で登板。早くも全国大会での経験を得ます。さらに三年夏の県大会では4試合を投げ抜き、26イニング連続無失点など他を寄せ付けないピッチングを見せました。甲子園には出場できたものの、現ロッテ・鈴木昭汰選手擁する常総学院高校に打ち込まれ敗戦。
 しかし、高卒ながら140キロ中盤まで出せるストレートの出力と低めへの制球力が評価され、2016年ドラフトでDeNAから4位指名を受け入団します。
 その後、2年目のプロデビュー年からいきなり12試合に先発し、6勝6敗をマーク。高卒2年目での6勝ということでファンからの期待値も一層高まりましたが、その後は尻すぼみのような成績に。先発すると打ち込まれる試合が多く、なかなか白星を積み上げられません。
 一時期はイップスになり思うようにボールを投げられない時期もありましたが、今季はそれを乗り越え中継ぎとして開花。9月19日時点で23試合に登板すると、これまで4点台は当たり前だった防御率が2.01に。ビハインドや回跨ぎでの登板が目立ちますが、傷口を広げない投球でブルペンに厚みを持たせています。

強み:糸を引くような直球

 京山選手の武器はストレート。入団時には145キロほどだった最高時速は現在155キロにまで更新されており、180センチ超えの高身長から放たれるボールには重みがあります。自身の投球割合の4分の3を占めるストレートにはやはり自信を持っているようで、今のところはカウント球にも決め球にも使っている印象です。
 具体的な回転数が開示されているわけではありませんがかなり手元で伸びてくるらしく、低めのドンピシャのコースに決まると並大抵の打者では手が出ず見逃し三振に終わっていますね。本当に調子がいいとストレートが糸を引いているように見えます。

課題:決め球欠乏症

 一方で、ストレートはいいもののそれを活かせる決め球に欠けているのも事実。今シーズンの投球割合はストレート75%、スプリット21%とほとんどこの2球種で勝負している京山選手、いくらストレートが良いとはいえ張られるとメッタ打ちになる可能性も捨てきれません。
 もちろん、中継ぎになったからこの2球種で十分なんだという主張も分かりますが、ならばスプリットの落下量を増やしたり、不規則な横回転をかけるなど、もう少し工夫していきたいですね。タイミングを外すチェンジアップなどの球種があるとより直球、変化球ともに活きてくるかもしれません。

得意打者

 ここまで3打席以上対戦した打者が2人しかいない京山選手ですが、ヤクルト・宮本丈選手とは2打席の対戦で2三振。どちらの対決も三振で決着をつけており、ここまで宮本選手に対しては優勢に立っているようです。
 他にも、2打数無安打で抑えている打者は各球団に複数人ずついましたね。

苦手打者

 広島・秋山翔吾選手とは、3打席の対戦で3打数2安打と打たれています。しかし、打たれたヒットの内容はどちらもシングルヒットで、長打ではないあたり京山選手の力で押している部分を感じますね。
 この他にも広島に対しては被打率.375と、若干苦手意識を持っているようです。

京山選手のプレー動画

 躍動感のあるフォームから常時150キロ超えのストレートを投げ込む姿がかっこいいですね。やはりハイライトを見ていても基本ストレートかスプリットの2択で投げ込んでいますが、相手打者はストレートを打ち上げ、スプリットに空振るというシーンが多かったように感じます。

一口情報:イップス

 先述した通り、京山選手は過去にイップスに陥ったことがあります。それは昨季のこと。シーズンを通して一軍に呼んでもらえることがなく、二軍でリリーフとして39試合に投げた23年の京山選手。防御率も2点台に限りなく近く来季はチャンスがあるのではないかと思えるスタッツでしたが、与四死球は44、暴投も10。低めへの制球力が生命線だった京山選手は自分のフォームがどんどんわからなくなり、

 「昨年は投げる感覚が上手くつかめずに、めちゃくちゃボールが抜けてしまったり……野球があまり楽しくないなって」

NumberWeb  2024年8月12日 11:01配信の記事より一部抜粋。

 と、好きだった投げることが楽しくなくなっていったそうです。
 しかし、そこに手を差し伸べたのが入来祐作二軍投手コーチ。今季からDeNAに入団した入来コーチに指導を受けたのは"反復作業"。投球の仕組みだけ初めに教えて、あとはひたすらシャドーや投げ込みだったそうです。

 「彼の投球結果については何も指摘しなかった。打たれようが抑えようが。右足がでれば左足が出る。自転車に乗るときだって、足の動きは何も考えない。単純に、12球団トップクラスの能力を持つ彼の力をつくりなおした」。

スポニチアネックス 2024年6月3日 20:00配信の記事より一部抜粋。

 と語る入来コーチ。自身もイップスの経験があるだけに、元に戻してあげたかったのでしょう。そして京山選手の地道な努力も実り、今季の交流戦中に一軍初合流。入来コーチの教えを胸に、無駄なことを考えず京山選手は今日もひたすら腕を振っています。

まとめ

 今回は京山選手について紹介しました。京山選手は、筆者もキャンプでサインをいただいたご縁もあり前々から応援していましたが、今季から一軍でまた活躍してくれて嬉しいです。いずれは勝利の方程式として7回を任されるような、そんな投手になってほしいですね。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元

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