見出し画像

プロ野球ブレーカーズ2023〜日本ハム、中日編〜

 今シーズンブレークを果たし、チームの新たな柱となっている"ブレーカーズ"を紹介する「プロ野球ブレーカーズ2023」。
 最終回となる第六回は、日本ハム、中日のブレーカーズを紹介していきます。

日本ハム:ガラスの右腕が北の大地で覚醒!田中正義選手

 日本ハムにて今季花開いたのは、ソフトバンクから移籍し、新庄監督の元でクローザーへと昇り詰めた田中正義選手です。
 創価高校、創価大学の頃から抜群の威力を誇るストレートを投げており、大学日本代表にも選出されていた田中正選手。2016年ドラフトで5球団競合の結果見事ソフトバンクに1位指名されますが、怪我しがちな体質に苦しみなかなか一軍で成績を残せずにいました。

 しかし、FAで日本ハムから移籍してきた近藤健介選手の人的補償として日本ハムに移籍することになると、春のキャンプとオープン戦を完走。オープン戦中に怪我してからシーズンを棒に振るというケースが多かった田中正選手でしたが、この時点で明らかにいつもとは違う雰囲気がありました。
 また、移籍時も先発を希望していた田中正選手ですが、オープン戦中に中継ぎへ配置転換。

 「(救援への配置転換を通達されたのは)3日前ぐらいですね。先発はいいピッチャーが多いですし、自分も(先発では)パッとする投球ができていなかったので。何とか開幕1軍に残るためには与えられたところで自分の球を投げること。もう(開幕1、2軍の)振り分けの時期なので、『絶対に残る』という強い気持ちでやっている」

サンスポ 2023年3月11日 18:46配信の記事より一部抜粋。

 と、この時点でいつもよりも気合が入っているのが分かります。

 そしていざシーズンが明けると、4月から本格的にクローザー起用が始まります。
 160キロ近い、威力抜群のストレートに加えスライダー、フォークを投げ込むピッチングはまさに「力強さ」を体現したような迫力を感じさせます。プロ野球ファンなら誰もが活躍を願っていた田中正選手の覚醒。里崎智也氏もABEMAのテレビに出演した際、

 「田中投手は、ソフトバンクにいた頃から、怪我がなければ…っていう投手。昨年もいい感じでオープン戦を終えて、シーズン入って怪我しちゃったっていうところもあるんで。怪我がなければこれぐらいの成績を出すことは想像の範疇」

バズ!パ・リーグ 2023年5月27日 12:00配信の記事より一部抜粋。

 と評価していました。

 また、田中正選手がここまで怪我無くシーズンを過ごしていられる要因の1つとして挙げられるのが、新庄監督の指令。それは、「にこにこ笑いながら投げること」。

 「ビシビシきてたね。田中君には『笑顔で投げなさい』と言ってある。その方が力が抜けるでしょ」

中日スポーツ 2023年3月21日 19:20配信の記事より一部抜粋。

 と、田中正選手が緊張から力みながら投げていることを見抜いた新庄監督。テレビでもよく笑顔を見せるので、新庄監督の思惑は当たっていたようですね。
 笑顔のクローザーが、9回で「ジャスティス」を宣言します。

田中正選手のここまでの成績(7月終了時点)

 32試合 0先発 2勝 2敗 7H   15S
 31回 8失点(自責点8) 防御率2.32
 32奪三振 12与四死球 被安打19
 WHIP1.00

日本ハム・田中正選手。

中日:ロマン砲は一気に未来の三冠王候補へ!細川成也選手

 12人目、最後のブレーカーズは現役ドラフトから大躍進を見せた中日・細川成也選手です。
 茨城の強豪・明秀学園日立高校の出身で、2016年ドラフト5位でDeNAに入団した細川成選手。溢れるパワーからは豪快な打球が飛ばされ、大きな弾道を描くホームランが特徴のバッターですが、課題はそのコンタクト力。DeNA時代にはなかなか上達せず、キャリアハイだった2021年も37試合の出場で打率.154に終わっています。

 しかし、22年のオフに初めて開催された現役ドラフトにて中日に指名を受け、移籍が決定しました(筆者の1番の推しの選手であるため、当時はとても複雑な気分でした)。
 そして、中日のユニフォームを着て初めて迎えた春のキャンプ。細川成選手のミート力を鍛えるため、和田一浩コーチが導入したのはテニスラケットでの練習。的外れだと思う方もいるかもしれませんが、

 「軸足のタメの作り方や手の使い方の感覚を思い出すために、テニスの練習をした時のイメージを思い出しています。そういうイメージ作りができたのはよかったです。全然まだまだですが、少しずつキャンプでやっていることが自分でも理解できるようになってきています。悪い時もコーチと話してしっかり修正できています。

NHK名古屋放送局 2023年7月25日配信の記事より一部抜粋。

 と、軸足を意識する練習になっており、今でもバッティングに活きているようですね。

 すると、いざシーズンに入ってみれば「4番・ライト」でスタメン固定。結果が出なくてもしばらくは使うというチームの余裕が細川成選手にも伝わったのか、ついに打撃が覚醒します。
 持ち前のセンター方向へのホームランだけでなく、シングルヒットなど繋ぐバッティングも披露するようになり、打率は3割を切ることなく安定して結果を残すようになりました。
 この好調の要因について、元大洋の高木豊氏は

 「横浜スタジアムとバンテリンドームでは(意識が)違うんだよ。横浜スタジアムは.250でも40本を打ってくれる打者が貴重になってくる。でも(球場が広い)バンテリンドームで40発打つとなると、打率は.200になる。細川は逆に、広い球場に行って思考が変わって良くなったという選手だよね。(行き先が中日で)大正解だった」

CoCoKARA 2023年6月15日 16:24配信の記事より一部抜粋。

 と、球場が逆に広くなったことでホームランではなく単打などを狙うようになったこともあると語っていました。
 そして、5月には打率.360、5本塁打の成績を残し、自身初の月間MVPを獲得します。夏場に入ってからは初めて一年一軍に帯同するということから疲れが出てきており、若干の成績下降は見えるものの、チームの数少ないホームランを打てる選手として奮闘しています。

 そんな細川成選手、チーム内では「たかし」というニックネームを付けられているそう。名付け親は立浪監督で、その由来は歌手である細川たかし氏から来ているそうです。
 7月5日の巨人戦の後には、この日6打数1安打4三振の結果に終わった細川成選手に対し、立浪監督は

 「たかし、忘れるなよ。いくら空振りしたってかまわない。オレは1軍で使い続けるから。その代わり、仕留められる球を一球で仕留められるよう、思い切って振ってくれ」

中日スポーツ 2023年7月6日 10:05配信の記事より一部抜粋。

 と諭しました。7月は打率.220に終わったものの、8月には打率.250とまた復調傾向。8月4日の自身の誕生日にはマルチホームランを記録するなど、まだまだ終わっていません。
 一時期は"ロマン砲"と呼ばれた長距離砲が、確実性を携え中日を昇り竜へと変貌させます。

細川成選手のここまでの成績(7月終了時点)

 89試合 330打数 94安打 13本塁打 
 53打点 0盗塁 打率.285
 出塁率.353 長打率.482 OPS.835

中日・細川成選手。

出典・画像引用元

いいなと思ったら応援しよう!