
光男の枠下人生~代十一章~サイコロステーキ光男
6月某日、プライベートの光男はもはや何もやる気が無かった、会社の上司の御厚意で連れってもらったキャバクラもとにかく場違いな空間でしかなく、そんなにミニスカートでパンチラしてんならおしゃべりはどうでもいいからとにかく具を触りたいとしか頭に無く、隣のお嬢との会話も適当に受け流すだけであった、こういう場所はよく極道映画で出て来る場所だ(偏見が凄まじい光男)、そういうシーンではそれはそれは楽しそうに飲んでいるが、光男には正直何が楽しいのかが分からない、これだったらトルコの方が手っ取り早いし全然楽しい、ああ、パスポート更新しなきゃだなぁ、、(コンプライアンス)
そうやって女性をそういう目でしか見えない光男はとにかくアバンチュールな誘惑を望み、このあいだも早朝の特急に乗って平日の秋葉原に到着したものの、どうしてよいか分からずに富士そばでかき揚げうどんを食べて午前中に帰宅したという奇行を行ったばかりだった、具を触りたい、しかし誰のを?光男が出したその答えはひとつのフレーズを奏でたのであった、ということにしておいて欲しい、、
誰でもいいっちゃ誰でもいいいけど誰でもいいって訳じゃSay!
もう、このフレーズのみで1曲作りたいくらいだ、 (ちなみに「Say!」の意味は知らない)
ギャングオブフォー調にするか、ボサノバ調スピーディーシャッフルビートで渋めのすっとぼけ声なモノクロームセットをモチーフにするか、、そしてもういっそのこと全世界の女性からも忌み嫌われるようなバンドをやってみたい、だって、なにをどう頑張ったって忌み嫌われるのだからいい加減開き直ってしまおうか、しかし、51歳も過ぎて開き直る、いや、グレる、拗らすってある意味スゲーわ!っていうのも面白いかもしれない、かといってあんまり露骨だと「そんな僕達みたいなのも面白いでしょ?」みたいな明け透けなのも寒すぎる、だがしかしありのままで行くしかない、あんまり考え過ぎずに高尚ぶったことを歌わずにとりあえず「肉を食う」曲を作ろうと光男は閃いた、これならばまだそんなに居ない、あっても「ヨーデル食べ放題」位しか無いハズだ、光男の目が光った、そんな光男はザ・ピーズをまだ知らないでいた、、人間は知らなかったままの方がそれはそれで良いこともある、、、光男なりの肉を作ればいいサ、それが造形肉だろうがなんだろうが、世の中にはサイコロステーキという芸術的庶民価格の作品が有るではないか、そうだ、バンド名も「サイコロステーキ」にしようか、ちょっとカッコも付けて「PSYCHO LOW STEAK」とかにして、「僕たちちょっと頭がおかしくて自己肯定感も低いけどお安い造形肉みたいな、でも悪口とかも言っていてちょっとだけ危ないんだぜ?」みたいなはどうだろうか?
曲の冒頭「ンギャアアアアっ!」って、金切り音で叫んで何事か?ってビックリさせているドサクサに紛れてピッチ早目のエイトビートで緩急緩急やっていくような感じDA!(だ)割かしよくまとまっているにも関わらず、冒頭の「ンギャアアアア!」で曲が全て台無しみたいなのをやってみたい、呆れたメンバーから「それ、やんなくても良くね?」って言われてもやる、光男にとってはそれが面白いのだから仕方が無い、もしもこれが売れてカラオケになったとしたら全国各地で「ンギャアアアア」ブームが来るだろう、かの少子化問題にも一役買うかも分からない、、さぁ、気分が少し良くなったところで今日も小さな宴の始まりだ、光男は居もしない彼女にキャビンアテンダントの格好をさせ「アテンションプリーズ」と言わせながら変なマッサージをしたりされたりする妄想を描きながら発泡酒をかっ喰らいそのまま気絶するように眠りについた日曜日の午後4時、外は雨が降っていた