知っておきたい設計事務所の疑問
今回は設計事務所え依頼を考えている人が知っておきたいことについてお話します。
設計事務所については知らない事もたくさんあると思います。
お施主さんから聞かれた質問についてもいくつか回答していきます。
好評でしたら続けていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
1:設計事務所ってどんなところ?
設計事務所が行う業務は多岐にわたるので、大まかに説明すると
設計事務所とは建築の 設計のみ を行うところです。
事務所のスタイルによりますが、土地探しの段階から相談に乗る事務所もあります。
設計中は施主と打ち合わせを重ね、図面を書き上げていきます。
また、行政への申請 なども代理人として行います。
工事見積に必要な図面が出来上がったら工務店へ見積を発注、
後に見積が出てきたら内容を精査し、
施主に代わって工務店と 工事費の交渉 を行います。
(工事見積の査定は経験がないと難しい作業です。)
無事に工事費の着地点が決まり工事が始まってからは
工事監理業務 を行います。
工事監理とは1週~2週に一度現場に行き、
図面通りに工事が進んでいるや、想定の寸法・塗装などで良いか
等を確認します。
簡単に言うと現場監督を監督する仕事です。
これらの業務を行いながら「引き渡しまで施主と伴走する」
ことが設計事務所です。
確かに「設計」が設計事務所が行うメインの業務ですが
それ以外にも様々な業務を行っています。
実は設計事務所へ依頼しない場合、
施主がしなければならない事は意外と多いのです。
2:工事は誰がするの?
ハウスメーカーの場合はすべてがパッケージ化されているので
工事は誰がするか について考える必要すらありません。
工務店に依頼した場合、目の前にいる工務店が工事を請け負うため
こちらも考える必要がありません。
設計事務所に依頼をした場合、施工者を探す必要がります。
もちろん家を建てる敷地に近い工務店が良いですが、近ければいいというわけではありません。
正直、ハウスメーカーの工事と比べると、設計事務所が設計した住宅の工事は格段に難しいです。
そんな工事をやってもらえる工務店を一般の人が探し出すことは大変ですので、こちらもある程度は設計事務所の方で選定を行います。
その中からお施主さんが自分の感覚にあい、金額的にも折り合う工務店に依頼をすることになります。
3:設計事務所に依頼をするメリットは?
それでは、設計事務所に依頼をするメリットはあるのでしょうか?
記事が長くなりすぎるので2つほど紹介していきます。
・ハウスメーカーや工務店では手が回らない、詳細な設計が行える。
大手ハウスメーカーや工務店は全ての工程を素早く進めるために
工法や使用する素材を会社としてある程度絞って提案を行うことが一般的
です。
また、自社で製品を開発していることもあるので、そういった物を優先的
に使うことで施工難易度をコントロールしています。
一方、設計事務所はその土地に対し、施主のライフスタイルに合わせた設計を行います。どんな構造(木造・RC造・鉄骨造・混構造…)、どんな間取り、どんな素材など資金とのバランスを取りながら進めていきます。
なのでお金さえ許せば世界中のあらゆる素材を使うことが可能です。
これが世界に二つとない自分の家を手に入れることが出来ます。
・代理人を持つことが出来る
実は、自分の感性にあった設計で進めていくことが出来ることと同じくらい重要なことが、「建築のプロが代理人になる」ということです。
普段関わりのない建築工事に関して、いきなり施工者と話をするのはか大変です。
設計段階で自分が想像していることを伝えたり、施工が間違っている箇所を指摘するなどかなり難易度が高いと思います。
さらに、工事が始まってから「やっぱりこうしたい」と思っても現場に対していきなり要望を伝えることもかなりの難易度です。
その点、設計段階から伴走をしている設計者ならば、施主の思いを図面という形で現場へ伝えることもできますし、図面と違う箇所があれば指摘もできます。
現場も重要な局面では設計者に判断を求めてから進めるので、間違いも起こりにくく、かかった費用以上にクオリティーの高い物ができあがります。
4:設計事務所への依頼料は?
依頼料はかなり気になるところだと思います。
これについて詳しい説明をすると、とてもこの記事だけでは収まらないので
簡単なせつめいをします。
一般の方は聞いたことが無いかもしれませんが、国土交通省が
「設計、工事監理等に係る業務報酬基準」というガイドラインを出しています。
ただ、このガイドラインの通りに設計・監理料を計算している設計事務所は多くないと思います(庁舎などの公共建築は別です)。
それは何故かというと 「金額が高くなるから」 です。
設計事務所側は、多く設計料がもらえるほうが嬉しいはずなのに何を言っているんだ?という感じだと思います 笑
ガイドラインの通りに設計料の請求ができるに越したことはありませんが、
建築に限らず設計という行為には膨大な時間と手間がかかります。
それをガイドラインに沿って計算すると
設計料の支払いで予算をかなり圧迫してしまうためです。
建てる規模や構造にもよるのでかなり幅はありますが、実際の設計料の目安は工事費の15~25%程度、設計の難易度が上がれば設計料も上がっていきます。
ここで例として工事予算 3000万 の住宅を設計した場合、
15%で計算するとだと設計料は 450万 ということになります。
これだけ聞くとかなり高額に聞こえますが、設計事務所の業務での
工務店との工事費の交渉を行うと、工事費が3000~4000万規模の住宅でも
工務店との見積交渉では 300~400万の圧縮はザラに起こります。
(すでに設計費が出ちゃいました 笑)
過去には800万円ほどの圧縮を行ったこともあります。
これは何一つ設計を変更しないうえでの交渉です。
一般の建て主さんではなかなか難しいことだと思います。
ここまでの話でも設計事務所へ支払う設計料のハードルは決して高くないと思いませんか?
(むしろスタッフの給料を自給換算すると最低賃金を下回ったり…
半分ボランティア見たいです 笑)
お金に関する話は奥が深いのでまた別の機会にお話しできればと思います。
ただ一つ断言出来ることは、施主には設計料を支払う以上の利益がもたらされるはずです。
5:設計事務所はどうやって調べる?
意外と知られていないですが、設計事務所は皆さんの住んでいる場所のすぐ近くにもあったりします。
ただ、バンバン広告を出している設計事務所はあまりないので気づかれません 笑
そんな設計事務所を探す方法ですが、
・TV番組に取り上げられている事務所を調べる
・雑誌を買って調べる
・建築家マッチングサービスを利用する
・ネットでHPを検索して回る
・Instagramで探す
などで探すことになると思います。
まずTVですが、老舗だと「渡辺篤史の建もの探訪」
最近だと「となりのスゴイ家」などでしょうか。
番組ごとに取り上げられる設計事務所のキャラクターがかなり違うので
見比べると面白いと思います。
雑誌については、最近はかなり数が減ってきました。
「Casa BRUTUS」「LiVES」「MODERN LIVING」
あたりあは比較的手に入りやすと思います。
建築をやっている人間は「新建築住宅特集」や「GA HOUSES」などをよく読みます。
これもやはり雑誌ごとに掲載する事例がかなり癖があるので見比べることをお勧めします。
建築家マッチングサービスもかなり数を減らしていますが、
「LIVING DESIGN CENTER OZONE」「Houzz」などは現在でもサービスを行っています。
このサービスをつかうと、いくつかの設計事務所から、
コンペ形式で提案を受けることも可能ですがその分費用が掛かります。
現在は自分で情報を集める手段がたくさんあるので、このサービスを利用する人はかなり減ってきています。
現在、主流な探し方はやはりInstagramの利用だと思います。
ビジュアル的に設計事務所の考えが反映されやすい媒体なので
InstagramからHPへ飛ぶというのが間違いないように思います。
InstagramやHPを見る時ですが、これまでの仕事を見ることはとても大事ですが、更新頻度もチェックした方がいいと思います。
さすがに毎日更新している事務所はそう多くはありませんが、1年以上お知らせやブログなども更新が無い場合、めんどくさがりなのかもしれません 笑
仕事に関する更新については、一つのプロジェクトで2・3年かかることはあるのでそこを加味しながら見ることをお勧めします。
終わりに
設計事務所の疑問についてお話しましたが、疑問はまだまだたくさんあると思いますし、今回取り上げた内容ももっと深いお話もあります。
個別でお話しした方が良い内容については、さらに別の記事としてまとめていきたいと思います。
今回の記事が少しでも皆さんの参考になればうれしいです。
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