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見極めるひと。

宮城県気仙沼市に拠点を置く認定NPO法人底上げの、東北ターンLab.というコミュニティに参加している。法人のHPには「東北に関わる若者の学びとつながりをつくるオンラインプログラム」と銘打たれており、おもに10〜30代で東北に縁のある人が集まっていた。僕が参加している今回は、第5期。大学生や会社員、NPO職員、そして地域おこし協力隊など多種多様な参加者は5名前後のゼミに分かれ、それぞれで学びと交流を深めていく。

僕は「コーディネーターとは何なのか」というテーマのゼミを選んだ。協力隊として3年目のシーズンを過ごしている今、また任期を満了してからは地域に残ってコーディネートの活動に取り組む予定の今、その「これまで」と「これから」を問うてみたかったからだ。あるいは、講師がもともと知り合いで、彼のもとで学んでみたかった背景もある。

基本的にはオンラインで活動を進めていくのだが、先月末はキックオフ合宿として、県内の自然の家にてみんなで一泊二日の時間を過ごしてきた。その夜、二段ベッドが並ぶ各部屋ではさっそく対話が始まっていて、僕はゼミの講師と話をすることができた。特に印象的だったのは、地域で活動するコーディネーターにとって必要な能力のひとつ「見極め」である。

たとえば自分がコーディネーターだとして、地域で夏祭りなどのイベントを企画している人から「誰かおもしろい人紹介してよ」だなんて、助けを求められたとする。まあ実際よくあることで、僕たちも協力隊として「何かブース出店してよ」「ステージでパフォーマンスできる人を知らないかい」などと直接声をかけてもらうこともある。本業の傍ら、イベントを企画そして実施する地域の方のパワーを尊敬しながら、新しい人を迎え入れることに苦しんでいる印象である。

ただ、ここで「はいわかりました」と誰かの紹介へ即座に移ることを、今回は浅はかとさせてもらいたい。「イベントの目的は何なのか」「ゲストはどんな人がいいのか」「そもそもやる必要はあるのか」など、一旦ここでひとつ考えを巡らせることが、地域で生きるより多くの人を幸せにする選択肢なのだ。すなわち、これこそがコーディネーターに求められる「見極め」である。

根底に流れるのは、対話なのだと思う。地域の人はいったい何を求めているのか、またそれを受けて自分自身はどう考えるのか。どちらかが「やってあげる」だとか「やってもらう」の関係性ではなく、それぞれが当事者意識を持ってプロジェクトを進めるということにもつながる気がしている。

まずはひとつ、これまでの自分になかった「見極め」の意識を大切にして、地域でのアクションを重ねたい。そしてまだまだ始まったばかりの東北ターンLab.での活動を、楽しみにしたいと思う。

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大村 昇@宮城県美里町
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