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「価値観の多様化」に困惑しないための、相手を理解するコミュニケーション技術 Part3

※このPart3の前に、ぜひPart1およびPart2をお読みくださいね。


1.ここまでの振り返り

 Part1では、他者を理解するための質問技術の基本技術『具体性の追求』を共有しました。
 これは、相手の発話の背景や意図を具体的に質問する技術で、
「❶-1:非特定」と「❶-2:特定」の2つの方法があります。
 「❶-1:非特定」は、「具体的にはどういうことですか?」「と、言うと」「と、おっしゃいますと」などと質問する方法です。
 「❶-2:特定」は、5W3Hで質問する方法で、注意点として、5W3Hの中のWhy、つまり、「なぜ」という質問は相手に問い詰める形になることがあるので、適切に使い分けることが大切です。
 Part2では、他者を理解するための質問技術の基本技術『網羅性の追求』を共有しました。
『網羅性の追求質問』は、あるテーマについての相手の発話に対して、その発話以外の内容を網羅的に引き出す質問技術です。
 フレーズの例としては、
ということについて、他にはどのようなこと/ものが、
➤起きてるのですか?
➤起こったのですが?
➤ありますか?
➤あったのですか? など 

2.質問の応用技術

今回は「質問の応用技術」です。

 特に理解しておきたい「質問の応用技術」は3つあります。
 それは、
 ❶事例提示喚起質問
 ❷言い換え質問
 ❸展開質問 です。
 この中でも、対話の際に知っておくと便利な『❶事例提示喚起質問』を中心に説明しますね。

3.無口なのび太

 質問の基本技術の『具体性の追求質問』『網羅性の追求質問』は、ともに相手の発話・発言に対して活用する質問技術です。
 しかし、相手の発話・発言がない場合にどうするか? という問題が出てきます。
 「静香ちゃんが最近僕に冷たいんだよ、どらえもん、何とかして!」と、のび太から相談があった場合、どらえもんは質問の基本技術の『具体性の追求質問』『網羅性の追求質問』を活用できます。
 ➤冷たいってどういうこと?・・・具体性の追求-非特定
 ➤いつから冷たいの?・・・具体性の追求-特定
 ➤学校で声をかけてくれないの他に、どんなことがあるの?・・・網羅性の追求
 では、どらえもんに相談せずに元気がない無口なのび太に対しては、どらえもんはどのように対応すべきでしょうか?

 どらえもん「元気がないね、のび太君。何かあった?」
 のび太「別に…」
 ありがちな会話ですよね。
 実はこれは最近話題になっている「ヤングケアラー問題」においても発生していることなのです。
 

 先生が元気がないように見える「太郎」くんに声を掛けます。
 先生「太郎君、元気なさそうだね…何かあった?」
    太郎「別に…大丈夫ですよ、先生」

 「ヤングケアラー」とは法令上の定義はありませんが、一般に、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもとされています。
 ヤングケアラーの子供たちの多くは、自分の今の状況を当たり前のことと思い込み、周囲に対して、不満や悩みを伝えないことが多いのです。
 では、我々は無口なのび太やこの太郎くんにどのような質問をしたらよいでしょう?
    これに役立つのが「質問の応用技術」『❶事例提示喚起質問』です。

4.「質問の応用技術」『❶事例提示喚起質問』とは

『❶事例提示喚起質問』は、こちらから相手に発言を求める、つまり、会話の口火を切る際に使う質問技術です。
※対話中に、相手が無口になったり、「分からない」などの返答があった場合にも使えます。
 フレーズは、上記図👆にあるように、

となります。
 Aには、
 ●よくある事例、事象
 ●あなたの考え、意見
 を入れます。
 例としては、
例)最近、様々な部署において、仕事で手順の不順守でミスが多発しているということを聞くのだけれど、君はどのように感じますか?
例)打合せの時はメモをとることが大事と僕は考えるのだけれど、君はどのように思いますか?

 先ほどの太郎くんのケースでは、先生は上記図👆のように『❶事例提示喚起質問』を使うべきだったのです。
 先生「最近、家事や家族の世話などを日常的に行っている子供が多くて、部活や友だちと遊べない、勉強する時間が確保できないという声を聞くのだけれど、太郎君はどのように思いますか?
 太郎「僕もそうです…」
 先生「具体的に聴かせてくれないかなぁ...」・・・具体性の追求-非特定

 事例や事象、または自分の考え提示し、相手の問題意識を喚起するのです。これが『❶事例提示喚起質問』です。

 対話中に、相手が無口になったり、「分からない」などの返答があった場合にも使えますよ。

5.「質問の応用技術」『❷言い換え質問』と『❸展開質問』について

 「質問の応用技術」には、『❶事例提示喚起質問』の他に『❷言い換え質問』と『❸展開質問』があります。
 この2つは、「質問の基本技術(具体性の追求/網羅性の追求)」と応用技術『❶事例提示喚起質問』慣れてきたら試してみてくださいね。

6.『❷言い換え質問』とは

質問の応用技術『❷言い換え質問』は、相手の発言について、自分の解釈を交えて言い換ることにより、相手の反応を見る質問技法です。
基本フレーズは下記となります👇。

例としては、
例)手順の不順守をしてしまうということは、手順を守らなくても大丈夫という思い込みがあるということですか?

例)事前準備不足が多いということは、仕事に慣れてきて「大丈夫だろう」という油断があるということですか?

7.『❸展開質問』とは

『❸展開質問』とは、相手の発言について、その発言を材料に、新しい話題に展開していく質問技法です。
 基本フレーズは下記となります👇。

例としては、
例)手順の不順守をしてしまうということは、不注意も多いということも考えられませんか?

 この『❸展開質問』を使う際には、本来の会話テーマから逸脱しないように留意する必要あります。展開しすぎると、今何について会話しているんだっけ!?となるので気をつけましょう。

8.次回について

Part1~Part3で「質問技術」を共有しました。
次回は、「質問技術」を駆使しながら、相手に好印象を与えるためめの『共感技術』を共有します。

(つづく)


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