私が「IPv4 over IPv6」を DS-LiteからMAP-Eに変更した理由
この記事では、IPv6 IPoEプランにおける「IPv4 over IPv6」 機能である
MAP-EとDS-Liteの違いについてご紹介します。
IPv4 over IPv6とは何かについては、以前アップした以下の動画で説明していますが、
簡単におさらいしておくと、IPoEのIPv6の通信を利用しつつ、IPv4インターネットへの通信も可能にする技術のことです。
IPv4 over IPv6には、いくつか方式があり、
代表的なものとして、MAP-E、DS-Liteがあります。
共通点として、契約プランが固定IPプランでない限り、1つのグローバルIPv4アドレスを複数の契約者で共有して利用しています。
グローバルIPアドレスとは、インターネット上での通信が可能なIPアドレスのことです。
下図が、DS-Liteの接続イメージです。
グローバルIPv4アドレスが契約者のルーターに割り振られるのではなく、
事業者側にあり、そこでＮＡＴ（アドレス変換）されています。
それにたいして、MAP-Eでは、
グローバルIPv4アドレスが契約者側のルーターに割り当てられて利用されます。
複数の契約者で同一のIPアドレスを利用している関係で、ポート番号を分け合って利用できるポート番号の制限を受けての利用になります。
DS-LiteとMAP-Eの大きな違いは、NATアドレス変換が行われている箇所が、
事業者側にあるのか契約者のルーター側にあるのかになってきます。
私は、当初、自宅のインターネット環境をIPoEにした時、
IIJのIPoEプランを契約したのですが、そのIPv4 over IPv6の方式はDS-Liteでした。
現在は、OCNのIPoEプランに契約しています。OCNはMAP-Eです。
なぜ、私がIIJからOCNのIPoEプランに変えたか
つまりは、DS-LiteからMAP-E方式に変えたかなのですが、少し長くなりますが、順を追って説明していきます。
両方式とも、IPv4のグローバルIPアドレスを複数の契約者で共有して利用しているためNATセッション数というものを独占して利用できない制限をうけることになります。
NATセッション数とは、webサイトを参照する時に消費されるもので、
Webサイトのある1画面を開く場合でも、サイトによっては、１００セッションを超えるほど消費する場合もあります。
あるお客様に、DS-Liteのプランを導入したことがあるのですが、結構なヘビーユーザーでセッション不足が発生したことが原因と推測できる状況で、Web参照が滞るという現象がおきました。
DS-Lite では、アドレス変換が事業者側で行われているので、どうしてみようもありませんでした。
そこで、その対策として、MAP-EのIPoEプランに変更しました。
MAP-Eに変更することにより、NATセッションが発生するのが
契約者のルーター側となります。
そのルーターをヤマハルーターにして、ヤマハルーターのもつ
ポートセービングIPマスカレード機能
によりセッション不足が起こることを避けることができました。
ポートセービングIPマスカレード機能とは、
使用するポート番号の個数を節約でき、使用するポート番号の個数より多くのセッションを処理することができる機能です。
また、社内や自宅に設置したネットワークカメラへ外部からアクセスするのにポートフォワーディング機能というものを使うケースがありますが、
その場合も、グローバルIPアドレスが契約者のルーター側にないとどうしてみようもありません。
MAP-Eでは、利用できるポート番号は制限されますが、
適切に設定することで、外部からネットワークカメラへのアクセスを可能にできます。
このことについては以下の記事にて説明していますので、ご興味のある方は、そちらの記事もご覧ください。実際のヤマハルーターのconfigのサンプルも掲載しています。
以上のことから、DS-Liteでは、問題解決が困難と考えられることをMAP-Eでは対処方法があったので、私はDS-liteプランからMAP-Eのプランへと変更をしました。
私が考えるDS-Liteの方が、良いかもしれない点は、ヤマハルーターのNVR500でも対応可能なことです。
MAP-Eには、NVR500は対応していないですが、DS-Liteには対応しています。手持ちのNVR500で、とりあえずIPoEプランのインターネットを利用したいという場合で、そんなにヘビーユーザじゃないし、外部からのネットワークカメラ等へのアクセスも考えていないという場合にはDS-Liteは良いのかなと思います。
この記事を動画にしたものはコチラ