金はシビレ薬
a.k.a.にあるように、私は7年ほどやった自分の会社を廃業しました。無職になったものの還暦をすぎているので、普通に勤めることは難しいのですが、今は、知り合いの伝手からたまたま都会のキラキラした会社で、週一の通勤があるリモート契約社員として働いています。
自分の会社のスタートは、本当に何もなく、ある分野でベテランになったことで外から起業しないかと声かけてもらったこともあり、たまたま旧知に頼まれたある機器開発を欧州で設計製造できたらすごいなぁ〜と思って安易に始めました。退職も揉めることなく、幸運に勤めていた会社から退職後に技術アドバイザー料を貰えるというので、これ幸いと一人株式を登記しましたが、実際は取引契約するための看板料で、やってることは個人事業となんら変わらず、特に事業計画もなく、知り合いの税理士さんと経費はいくら使えるの?とか、四半期ごとの打ち合わせも楽しくワイワイやっていました。
便利屋としては使い勝手が良かったのでしょう。なんやかんや元会社から毎月順調にお金がもらえ、ついでに欧州での機器設計についても、まあ現地視察=遊覧旅行(笑)ですね。行くたびに航空会社のサービスがどれが良いか試してみようとか、本当に遊び半分ぐらいでした。
生まれて初めて、法人クレジットカードの請求が100万を超えたときは支払えるのか?と震えましたが、いざ顧問料とかが入って支払ってしまえば、”喉元過ぎれば熱さを忘れる”で、さらにクレジットカード会社からグレードをあげる、特別な電話がかかってきたら、つまらん自尊心がロケットのように打ち上がってしまって、利用限度額がなくなったようになってからは、毎月100万を超えるようになってしまいました。
そう。ここまで書いてきて自分でも改めて思いますが、なんでそんなことをするようになってしまったんでしょうね。思い返すもなく、やはりお金はシビレ薬です。7年経営していて、まあ、決算はトントンの黒字が多かったのでしたが、思えば経費バランスは決して良くありませんでした。一人株式会社は、自分が商品であり、経費であり、経営者でもありますが、それぞれでバランスを取る必要があるのですが、顧問料が契約プロジェクトに依存するため、月によっては数百万のお金が入ったりしていると、本当はいくら出ていったかを適正に判断するのが一番大事なのですが、そういったまともな思考が麻痺してしまうんだと思います。
今、キラキラの会社には二周りも年下の役員がいますが、彼を見ていると本当に大変そうです。まるで会社経営者の時の自分のように、24時間土日もなく、朝から晩まで何かに追われてる感じがします。そんな彼を支えているのは、色々あると思いますが、私の経験からすると、高額な報酬と特別待遇であり、本当はやばいと思っていても、脳がシビレているんじゃないかと思います。しかもひとり株の私とは違って、秘書がついて予定は管理されて、出張の手配から、接待の予約まで、周りが全部面倒見てくれる。
一番大事なことは、年に二回業績ボーナスとして、一般社員では絶対にもらえないウン千万円の現金もしくはストックオプション!が出ます。一度間違って私の携帯に、不動産投資の会社から電話がかかってきましたが、私の時のクレジットカード会社のグレードどころじゃない、もうすごい盛り上がりかたです(話を聞いているだけで、1億円のマンション1フロア買とか、一般常識では理解不能な営業電話になります(笑))
でも、会社の業績や、ライバル企業との競争、いろんな部下のやらかしちゃったことの後始末とか、現役である彼が休まることはないでしょうね。だからこその、お金はシビレ薬なんだと思います。私は1年もしないうちに会社を去りますが、彼が健康で次のステージに行くことを切に願っています。