見出し画像

医師と僧侶のカケコミ相談室 第27回 どんな悩みも、矢印を向けるのは自分!

脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
カケコミをはじめた経緯、無料公開のQ&Aはこちらです!

12月に入りぐっと気温が下がってきました。お鍋がおいしい季節です。私はちゃんぽん鍋、カレー鍋のもとを常備していて、時間が無いときや週末の夕飯はもっぱらお鍋。体が温まり、野菜がもりもり食べられて、みんなで1つのお鍋を仲良くつつく雰囲気も大好きです。

先週のカケコミで、チームInTripのリアルミーティングについて書きましたが、ミーティングの後はみんなで水炊きを食べに行きました。京都の路地裏にあるクラシックな雰囲気のお店の和室は、おばあちゃんの家に来たような落ち着き感。地鶏の出汁でトロトロになった真っ白なスープが絶品、スープのおかわりを何回もしました!
集まる機会が少ないだけに、顔を見ながらコミュニケーションできる場は貴重。メンバーの持ち味や個性をぐっと身近に感じられて、距離感が縮まったように思います。

ワイワイつつく水炊き、おいしゅうございました

情報伝達手段が発達、多様化した現代では、コミュニケーションがオンラインや文字でのやりとりに終始してしまいがち。だからこそ、互いの空気感を感じて呼吸を合わせるためだけの時間が大切になったというお話を、今週のアプリ「InTrip」でお伝えしています。ポイントは、合わせるためだけということ。なぜ必要なのかと、具体的な提案もしていますので、ぜひアプリとインスタグラムも覗いてみてください!

Instagramでも毎日情報発信中です!

今週のQ&Aは、職場、友人、恋愛と人間関係についての悩みがありますが、回答の共通点は「自分」です。周囲の環境や人が気になるとき、矢印を向けるのは自分!ふと気付くと外にばかり意識が向いていることもありますが、気を引き締めつつゆったりと自分を眺めていきましょう。

そして、今回はQ1の回答を全文公開します。ダイバーシティ、女性と男性のライフスタイルの違い…女性にも男性にもぜひ読んで頂きたい内容です。


Q 1 女性が働きやすい職場環境の整備が進んでいますが、女性ファーストが行き過ぎているような気もして、男である自分は口出しできない雰囲気。フェミニズムに恐怖すら感じるのですが、私の感覚が古いのでしょうか。

Q 2 友人に裏切られたと感じる出来事があり、どう気持ちを切り換えたらいいのか分かりません。これまでの友人関係を帳消しにしてしまうのも寂しく感じます。

Q3 嫌なことがあったときやイライラしたとき、衝動的に食べたり、買い物をしたりしてしまいます。気持ちがスッキリしますが長く続かずまた繰り返します。悪循環を抜ける方法を知りたいです。

Q4 これまで付き合ってきた男性は女性にだらしないタイプが多く、なぜか似たようなタイプの人と付き合ってしまいます。今度こそ…と思うのに上手くいかないのは私に原因があるのでしょうか。



Q 1
女性が働きやすい職場環境の整備が進んでいますが、女性ファーストが行き過ぎているような気もして、男である自分は口出しできない雰囲気。フェミニズムに恐怖すら感じるのですが、私の感覚が古いのでしょうか。

A1
「恐怖を感じる今が、古い価値観を手放す絶好のチャンス」東凌

相談者さんは、女性ファーストの行き過ぎを感じているということですが、同時に「私の感覚が古いのでしょうか?」という問いも立てています。そう感じているならば、古い価値観をアップデートして進化するチャンスです。

女性が働きやすい職場環境の整備が進んでいるということは、これまでは女性にとって働きづらい環境が続いていたということ。過去を振り返ってみると、家父長制度があり、女性に参政権や学ぶ権利も無い男性主体の社会がありました。現代において当時の価値観や倫理観が通用しないのは誰もが理解していると思いますが、まだまだ男性優位な部分が多いのが現実です。

日本では企業の管理職や政府の要職の大半を男性が占めており、男女間で給与格差もあります。「女性は結婚や出産でどうせ仕事を辞めてしまうから大切な仕事を任せられない」などと言う男性もまだいます。そんな男性ファーストな状況を変えていくためには、男性が恐怖を感じるくらいの女性ファーストが必要だと私は思います。

そして、男女格差を無くすというのは、男性と女性を全く同じ条件にすることではありません。男女は体格、体力、身体性が異なり、生理があり妊娠出産ができるのは女性だけで、それらにともないライフスタイルも当然変化します。そんな違いを考慮せずに、女性に男性と同じ仕事量、仕事スタイルを求めるのは公平ではありません。にも関わらず、これまでの社会では男性的価値観を女性に強いて、男性と同じような働き方を女性に求めてきました。

相談者さんは、女性ファーストに恐怖すら感じるということですが、これまで女性たちは男性ファーストの恐怖やプレッシャーを感じながら生きてきました。女性たちが強いられてきた不公平や痛みにやっと気付けたならば、男性ファーストが当たり前だという古い感覚を手放す絶好のタイミングです。女性が社会の不公平に声を挙げることはもちろん大切ですが、それ以上に私たち男性が古い考えや従来通りのやり方を手放し、新しい社会を作り上げていくことが必要だと心得てください。

新しい価値観で社会を作り上げていくとき

Q 2 
友人に裏切られたと感じる出来事があり、どう気持ちを切り換えたらいいのか分かりません。これまでの友人関係を帳消しにしてしまうのも寂しく感じます。

A2
「裏切りではなく、条件と状況がそうさせたと考えてみる」東凌

相談者さんが裏切られたと感じた相手に、今どんな感情を持っていますか?「裏切り者で信用できない」「ひどいことをされた」など、悲しみや怒りがあるのでしょう。けれど、その相手は相談者さんを陥れたり、悪意があって傷つけようとしていたのでしょうか。

ここから先は

2,839字 / 3画像
医師と僧侶が、皆さんの人生相談、質問、疑問にお答えします!毎週月曜、月4回配信、新しい視点、価値観、ヒント、アイデアをお届け。人生を一緒に前進させていきましょう!

脳神経外科医・道下将太郎&京都「両足院」副住職で「Newsweek」世界が尊敬する日本人100に選出された伊藤東凌が、みなさんからの質問・…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?