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医師と僧侶のカケコミ相談室 第12回 「自分に納得」できたら後悔しない

脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
カケコミをはじめた経緯、無料公開のQ&Aはこちらです!

8月も後半、お盆休みも終わり、夏の予定がひと段落ついたところでしょうか。私は、親子で参加できる「ワーケーションプラン」を利用して、和歌山へ行ってきました。1週間の滞在中、子どもたちは海、山、川の自然体験を満喫。親はWi-Fi完備の環境で仕事をするもよし、子どもたちとアクティビティに参加するもよし。夏休み、子どもに充実した体験をしてもらいたいけれど、親は仕事を休み続けるわけにもいかない…というジレンマを解消してくれる、素晴らしいプランでした!

和歌山、太地町のシロイルカさん

私も子どもたちといくつかのアクティビティに参加。イルカと遊んだり狩猟体験をしたり、五感をフル稼働。そこにサポートスタッフとして数名の若者が参加していたのですが、彼らの生き方が面白い!

Aさん……大学卒業後、就職活動はせず無料で借りられる空き家(地方には探せばあるようです)を友達とシェアして暮らし、リモートでできるウェブデザインの仕事や単発のアルバイトをしながら生計を立てている。「野菜や魚は近所の方から頂けることが多いし、遊ぶのも海や山なので、そもそも生きるのにお金がかかりません。よく、今は忙しくて無理だけど、老後は海のそばで釣りでもしながら好きに暮らしたい…とか聞くけれど、なんで老後なの?と思っていて。やりたい暮らしを今すぐすればいいですよね」

Bさん…大学の観光学科を卒業後、やはり就職活動はせず地域おこし協力隊に参加。そこでできた人脈から大阪のまちづくり協議会にスタッフとして参加し、和歌山の旅行会社でも働くというダブルワーク。地元大阪と大好きな和歌山の2拠点生活中。「子どもの頃から電車が大好きなので、好きな場所を電車移動しながら暮らせる今、すごく幸せです。電車のことと和歌山のおすすめ観光スポットのことなら、何でも聞いてください!」

ほかにも、東京から狩猟に興味を持って移住してきて、わな猟免許を取得してジビエソーセージを作っていた(今は旅行会社勤務)というキュートな女性、高校生のときに1人で東京から移住、シーカヤックや釣りのガイドをしているという屈強男子など、面白い若者がわんさか。彼らの共通点は、とても幸せそう。はじける笑顔や自分のことをイキイキと語る様子がまぶしい。

今週のQ&Aでは、「死ぬのが怖くなる」という相談に対して、将太郎さんが「本当に好きなことをして生きる」「日々を納得して生きる」というお話をしています。好きなことに真っすぐ、心からの笑顔でキラキラ生きている若者たちは、後悔や迷いとは縁遠く見えます。もちろん悩んだり息詰まることもあると思いますが、軽やかに乗り越えていきそうです。

InTrip代表の成瀬勇輝も、大学在学中「新しい生き方をはじめたい」と旅に出た面白い青年でした。そんな彼が起業家になるまでの旅のエピソードをまとめたので、こちらの記事もぜひ読んでみてください。

それでは、今週もQ&Aを4つお楽しみください!


Q1 電話の問い合わせ、スーパーの支払い、レストランの注文など、あらゆることが無人化、機械化されています。便利でスピード感がアップしている一方、ちょっとした交流が減り寂しい気持ちです。テクノロジーの進展はよいことですが、このままでいいのでしょうか? 殺伐とした未来にならないように私たちにできることは何でしょうか。

Q2 3人の孫のおばあちゃんです。娘夫婦は共働きで多忙、孫の送迎や預かり、家事手伝いで忙しく、どっと疲れて朝起き上がれないことも。元気で頼りになるおばあちゃんでいたいという気持ちも強く、つい気張ってしまいますが心身の衰えは隠せません。何かお言葉を頂きたいです。

Q3 いつか死ぬと思うと無性に怖くなるときがあります。どうせ死ぬのに、なぜ生まれたのだろうと虚しくなるときも。多くの人の死に立ち会っている医師として、死に恐ろしさや不安は感じますか? 死後人の意識はどうなるのかについても、何か考えがあれば教えてください。

Q4 3歳、1歳の二児の母です。子どもの発達や将来のために、今からしておいた方がいいことはなんでしょうか。早期教育はいいとか悪いとか、様々な説があってよく分かりません。脳の発達上、語学は早めに始めたほうがよいと言いますが、何歳くらいからスタートするのがベストですか?


Q1 
電話の問い合わせ、スーパーの支払い、レストランの注文など、あらゆることが無人化、機械化されています。便利でスピード感がアップしている一方、ちょっとした交流が減り寂しい気持ちです。テクノロジーの進展はよいことですが、このままでいいのでしょうか? 殺伐とした未来にならないように私たちにできることは何でしょうか。

A1
「新しいテクノロジーは、不安を募らせる前にまず使ってみる」東凌


過去を振り返ってみると、新しい技術が進展していく過渡期には、「この先どうなるのか」「人間性が失われる」など、殺伐とした未来を不安視する声が必ず挙がっています。先行きが見えないものに恐怖や不安を覚えるのは、人間の本能なのです。

グーグル検索が普及し出した頃は「辞書を使わないと脳がダメになる」。計算機が出始めた頃は「自分で計算できなくなる」。ゲームが流行り出すと「勉強できない、コミュニケーションできない人間になる」。遥か昔、徒歩だった移動手段が牛なったときは、「自分の足で歩かないとダメになる」と言われていたかもしれませんし、牛から馬になったときは「馬なんて速すぎて落ち着かない人間になる。牛でないと!」と言われていたかもしれませんね。

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