医師と僧侶のカケコミ相談室 第21回 親子にも友人にも、「~すべき」は無い
脳神経外科医の道下将太郎と、京都「両足院」副住職の伊藤東凌が、みなさんからのお悩み・質問・疑問へ回答する「医師と僧侶のカケコミ相談室」。
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10月28日は七十二候の「霎時施(こさめときどきふる)」。小雨が降っては止み、晴れ間が差したらまた降ったりと、環境が変化しやすいときです。近年は、七十二候と現実の気候がかみ合わないと感じることが多いのですが、雨が降ってはまた止んで…というお天気はまさしく今の空模様と一致します(私が住んでいる地域では)。
いい天気だと気持ちが晴れ晴れしたり、雨が降り続くとどんよりしたり、低気圧頭痛という症状があったり、私たちは天気、自然の動きから様々な影響を受けています。私も以前は低気圧頭痛があったり、体がだるくなったりしていましたが、運動が習慣化してからそれがさっぱり無くなりました。自然から影響を受ける部分もあるけれど、自分で変えていくこともできるということですね。
今週配信のアプリ「InTrip」では、遺伝子から私たちが受ける影響と、環境や意思の力を使って自分で築いていく個性や特性、それらをどう捉えるかについてお伝えしているので、チェックしてみてください。
子ども達を見ていると、遺伝子って面白いと感じます。私は3人子どもがいますが、それぞれ個性、興味関心の方向が全く違う。身長は遺伝子の影響が大きいと聞きますが、中学生の長男はすでに父親の身長も日本男性の平均身長も超えてニョキニョキ伸びており(私は女性の平均身長より少し低いくらい)、「ママ、このまま伸び続けて2m超えたらどうしよう、日本だと暮らしづらそうだからもう伸びたくない」と不安に苛まれています(笑)。
小さい頃からなんでもモリモリ食べて(食費かかります)、太陽の下で飛び跳ねて走り回るのが大好き、平均睡眠時間は10時間という生活が功を奏したのでしょうか。人生は遺伝子だけが決めるのではなく環境要因、食生活なども大きく影響するのだと実感しています。
今週のQ&Aでは、親との関わりについて東凌さんが回答しています。親子だからこうしなくてはいけないという固定観念があるのも、血の繋がり、遺伝子の繋がりがあるからですが、そこから解き放たれて生きるのを選ぶこともできる。そんな回答をお楽しみください!
Q1 友人たちと話していると、親の介護の話が増えてきました。親の面倒は見て当たり前という風潮ですが、子どもの頃から両親と折り合いが悪く、年老いた親のケアをすると思うと苦痛です。距離を置いたままでいたいと思うのはわがままでしょうか。
Q2 1人目育児中の母です。よく動く子で、外食やショッピングも一苦労。「今だけの時間を楽しもう」と自分に言い聞かせても、大変さに押しつぶされそうです。心が晴れるような言葉、教訓などなんでもいいので一言頂きたいです。
Q3 友人から借金をお願いされました。大学のアメフト部で汗を流した仲間ですが、仕事が軌道に乗らず苦労しているよう。貸すなら返ってこないつもりで…とは思いますが、借金に応じるのは当人のためにもならいかもしれないと思い、対応に悩んでいます。
Q4 とても感じが良く、感謝の言葉もマメに伝えてくれるのですが、時間や仕事の期日を守らず、毎回「ごめんなさい!」で乗り切ろうとする人がいます。仕事相手なので疎遠になる訳にもいかず、どう対応したら仕事がスムーズにいくでしょうか。
Q1
友人たちと話していると、親の介護の話が増えてきました。親の面倒は見て当たり前という風潮ですが、子どもの頃から両親と折り合いが悪く、年老いた親のケアをすると思うと苦痛です。距離を置いたままでいたいと思うのはわがままでしょうか。
A1
「親の面倒は子が最後までみるべきというのはノスタルジーです」東凌
まずお伝えしたいのは、親と距離を置きたいと思うことは、わがままではありません。子どもの頃からご両親と折り合いが悪く、そばにいることに苦痛を感じるということは、そうなるだけの理由があったはずです。自分の考え方が悪い、子どもは親の面倒を見るべきなどと、思い詰める必要はありません。
老後の親との関わり方については、経済面から考えていきましょう。親に介護が必要になったとき、介護のプロにケアを任せたり、施設に入所するにはどれだけお金が必要か確認しておき、相談者さんにとって最適な距離を保てる対策を考えましょう。
「苦痛だけれど親の面倒を自分でみなければ」と考えるより、「お金が許す範囲で適度な距離感を保とう」と考えたほうが、お互い楽に過ごせるのではないでしょうか。
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脳神経外科医・道下将太郎&京都「両足院」副住職で「Newsweek」世界が尊敬する日本人100に選出された伊藤東凌が、みなさんからの質問・…
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