双子の諸事情 第一話
◇正反対な双子
【Side 沙奈】
第一印象は「正反対な双子」だった。
「沙奈ー、学校」
「あ、そういえばそうだった!」
「時間感覚持とうね?」
双子の姉の加奈が怖い笑顔で言う。
時間感覚はあるはずなんだけどな…。あはは…。
制服に着替えて、リュックを背負う。
制服は可愛くてお気に入り。
着るとやっぱり、高校生感ある!
高校の制服は中学の制服よりおしゃれだ。
「そういえば席替えだね〜!」
「そう…。」
普通席替え楽しみになるのに…。
双子って見た目は似てても、中身は違う。一卵性なのにな…。
双子は双子でも一卵性と二卵性がある。一卵性は見た目がそっくりで、二卵性は見た目が全く違う…みたいな。
同じクラスの黒瀬兄弟も一卵性。兄・黒瀬玲央と弟・黒瀬真央はそっくりだけど、ピアスで見分けられる。
私達はあみこみの位置。私は利き手の左側、加奈は右側。私達は一卵性だけど、ちゃんと見分けがあるんだ。
「私先行く」
「あ、待って〜!」
急いで追いかける。
✽ ✽ ✽
「順番にくじ引いてけよー」
担任の上田先生が言う。
私はなんだろうなー♪
くじ引きって、自分の運、だよね!
最後の一人が引き、自分のくじを開く。
やった!
席は窓側から2番目の一番後ろ。
引いた席に、移動する。
「前加奈!?」
「うるさい…」
「えへへ。嬉しくて」
前が加奈で嬉しさを隠せない。
「よろしく。緋宮さん」
声の主は黒瀬玲央、そしてその後ろは黒瀬真央だ。
「W双子席だな。覚えやすい」
先生がそう呟いた。
確かにW双子…か?
うん、分からない。
思考がピピーと停止する。勉強してる時みたいに。
まぁ、いっか。