なぜか惹かれる映画

「リリィ・シュシュのすべて」
公開時、既に大分大人だった。
市原隼人、蒼井優、伊藤歩、田園風景、全てが瑞々しすぎるし痛々しい。
終始何かがつっかえたまま息苦しさが続く。
誰にも共感できないし何一つ分からなくて救いがない。けど、また観たくなる作品。

自分が中学生の頃に作品に出会っていたら逆に何も感じなかったかもしれない、ああいう感覚も経験も自分はなかったからかな。
多感な時期に鈍感な田舎の学生で呑気に過ごしていたのは幸せな事だと思う。

歳を取る毎に拗らせたからか、中二の息子より中二病(厨二病?)だと自覚している、イタいおかんは、自分の子供達の文化祭で合唱コンクールとかキュッとなってざわざわして勝手にしんどくなって、みて(聴いて)られなくなる。
「リリィ・シュシュのすべて」のせいだ。

「誰も知らない」
公開当時からカンヌだなんだ、で話題の作品だったけど、多分テレビ(地上波)では放送なかったと思う。(是枝監督の作品でも「万引き家族」とか「そして父になる」とかは何回か地上波であったと思うんだけど。)

話題でもあったし、なんとなくあらすじも知っていたうえでなかなか、みていなかった作品で、というか、なんなら柳楽優弥の事があんまり好みではなかったし興味がなかったのだが2016年公開の「ディストラクションベイビーズ」をみて、めちゃくちゃ遅ればせながら、
柳楽優弥すげーーーーーーっ!!!!てなって、改めて、というかその頃(2016年)に、レンタルで初めて借りて観て、返却まで何度も観た。しんどいなと思いながらなぜか何度も観てしまった。
YOUがYOUなのにYOUには思えなかった、、

「誰も知らない」は、映像をみていてにおいを感じた(気がした)初めての作品だった。
子供達の部屋や服から何日も風呂に入っていない特有のにおいが(気が)した。

フィクションかノンフィクションか分からなくなる感覚。リリィ・シュシュの時と同じ感覚。

「あー!良かった!スッキリ!面白かった!」が1ミクロンもない、どっちかといえば見終わってもずっとモヤモヤを引きずるふたつの作品になぜか吸い寄せられてしまう。

このふたつの作品は、この先も何度も観てしまうんだろう。