ネッ友、リア友、ズッ友
20年前くらいにホームページを作っていた。
元々、自分の小さい頃からの将来の夢が漫画家だった。
将来の夢にしては高校〜20代で実際に完成させて投稿した作品は5作品程度の本当にThe子供の甘っちょろい夢で、今となっては描くどころか漫画を読む事自体殆どなくなってしまった。
ただ、あの頃は単純に描くのが好きで、話をつくるのが好きで、どこかで発表したい気持ちがあった。
自分のホームページをつくればプロではなくても自分の作品を発表出来るじゃないか!自分が描いたものを世に出して誰かにみてほしい!!といういうのがホームページを始めようと思ったきっかけだった。
当時まだパソコンはデスクトップが主流でフロッピーに保存して、みたいな時代だったので会社のネットに詳しい同僚にプロバイダーとの契約の仕方等教わりながら、始めていった。
ド素人なのでホームページのつくり方の本を買ってHTMLとか覚えながら、手探りで。
結局、簡単に作れるソフト的なものに頼ってどうにかつくってみたが、ホームページ制作と同時にインターネットの楽しさ、というか丁度ドハマりしていたバンド、エレファントカシマシの掲示板(BBS)というものに夢中になっていた。
朝起きてチェック、仕事帰ったらチェック、寝る前にチェック。ずっと張り付いていた記憶がある。ただカキコ(懐ぃ)するには勇気のいる、ヒリヒリした掲示板だった。
エレカシというバンドがそうさせていたのか硬派な書き込みが多く、わーキャー的な発言は割とバッサリ斬り捨てられたり放置されていて、たまに自分も書き込んだ後はレスの緊張が凄かった。(あの時、自分はエレカシの掲示板しか知らなかったが、おそらくどの界隈でも同じような状態で、皆が平等&平和な場所はないかもしれない。)
日常的に掲示板上で議論が起こっていたし、炎上案件も多かったけど自分はそういう事には参加せず距離をとった書き込みだけしていた。
本質の部分は、なんとか開設した自分のホームページの方で書くことにしていた。(もう、その頃は漫画どころか、エレカシが主なコンテンツになっていた)
けど、勘違いかもだけど、武道館ライブのアンケート、あん時、私がやってた「あいうえお作文」パクったよね?JAPAN関係者。
自分的にナイス書き込みだったけど、その後すぐに「高緑の嫁(妻だったかな)」さんの書き込みがあって本人かどうかって大盛り上がりで自分の書込み企画は、完全にぼやっとなったなぁ。
掲示板には何人も常連さんがいて、会ったこともないのにハンドルネームと書き込みの言葉の感じだけで勝手に人物像をつくっていた。
自分勝手な人物像で気が合いそうとかそうじゃないかを決めて苦手な人とは絶対絡まないように気をつけていた。逆に自分の好きな常連さんと絡めたりレスもらえたらすごく嬉しかった。
そのうちネット上だけの付き合いのはずが、実際に会う、オフ会というものに参加するようになった。掲示板で知り合った後、ホームページをみてくれて個人的にメールのやり取りして同じライブの予定ならライブ前後に集まろう、みたいな少人数の集まりから徐々にデカくなって、絡んだこともない、例の掲示板で名前をみたことない人達も大勢いるオフ会にも何度か参加した。
実際会うと苦手意識が強かった方と気が合ったり、逆に勝手にがっかりしたり、相手は自分を知ってくれてるのにこっちがピンとこなくて申し訳なく思ったり、毎回それなりに楽しかったが、同時にとても疲れてきた。
掲示板以外でも派閥的なものが出来上がっていたり、思う事が増えてきてオフ会はもういいかな、どっかのライブ会場には誰かが居て、何となく会わないように気をつける感じも疲れていた。
丁度その頃、結婚して自分の環境が変わったこともあってライブ参戦も減り、ネッ友達とも徐々に疎遠になった。
ネットだけじゃなく普通に手紙のやりとり等していた人達もいたけど、ほぼ疎遠になった。
今となっては(お互いに)、本名はおろかハンドルネームも朧気な人が多いなか、ただ1人あの頃からのずっと今でも(といっても野音か武道館しかかぶる会場はないけれど)掲示板時代からの知り合いで、メールや手紙、今はラインで普通に家族の事や近況報告をし合っている仲の方がいる。
あの殺伐とした掲示板で、バツグンの言葉選びと小気味良いセンス&テンポの文でかなり自分好みの書き込みをしていた憧れの方で、当時の大規模オフ会の時からチラッと顔を見せる程度(でも皆知ってる有名人)の付き合い方をされていてカリスマ的な存在だった。
相変わらず、手紙やラインでもテンポ&センスの塊で今でも憧れの人だ。
エレカシの人気があの頃とは違うレベルになって野音とかチケットがとれなくなった中で久しぶりにお互いに2016年の野音が当たった。
正月の武道館など日程が合う時は会っていたけど野音で会うことはほぼ皆無になっていたので
超久しぶりに野音で会って開場まで懐かしい話で盛り上がってたら偶然にも当時の掲示板の別メンバーを発見して(ビジュアル的に有名人&特徴的だったからかまさに発見!って感じ)一緒に声をかけに行って「おおおおおっ!!」ってなった。
近くの若者が大盛り上がりの自分達をみてクスクスしていた、「インスタとかTwitterでやり取りしてて会場で初めてあった3人組」みたいに思われてるんだろうなぁ、と思った、皆明らかにハンドルネーム呼びだし😅
「いや、違うのよ、昔、BBSっていう掲示板があってな、何年ぶりかに再会したのよ、元々ネッ友ではあるけど昔からの知り合いなのよ」って言いたい気分だった。
で、それは、いつの時代の話ですか?って、もっとクスクスさせたかった。
彼女と会えるライブの時は開場ギリギリまでひたすら盛り上がれるのに、終演後は会うこともなくバラバラで帰途、解散っていうところも長続きしている理由かもしれない。一切のベタベタがない感じ。
掲示板以降、ネット上で知り合った方と実際会ったり、やり取りをするのをやめた。
ライブ開場でSNSで知り合ったであろう人達を大勢みかける。なんなら今の方が多いと思う。
自分はライブやイベントにはひとりで行くし、集まってワイワイしている集団をみるのは楽しそうで好きだけど、自分には無理だな、と思う
結局、当初の目的で始めた自作の漫画を載せることはなくホームページは閉鎖したけど、ホームページをつくってなければ、あの時、掲示板を知らなければ、ネット上で知り合ってこんなにも長く付き合える存在に出会えることもなかった。
私達は当然お互いの家族の事とかも知っていたりするのに今だにハンドルネームで呼び合う謎の関係だ。