深夜3時の壁

その頃、私は日時があまりわかっていなかった。
日付には困らなかったけれど、時間には苦労した。
覚えているのは、深夜に、なぜ昼間なのに電気を消してしまうのかと憤っていた事だ。

それが間違いだと気付いた私は、まず、食事に付いてくる日付が記載された小さな紙を溜め込むようにした。
何月何日 朝食 メニューが書いてあるメモだ。
今、何月何日の朝食を食べた。
昼食を食べた。
夕食を食べた。

そしてまた気付いた。
私が憤るのは、ほぼ深夜3時だった。
それで、なぜかはわからないけれど、深夜3時になったらパンを食べる習慣をつけた。
なぜかというと、深夜の真っ暗な病室で本当にパンやお菓子を食べていたからだ。

それから毎日時間のグラフをつけた。
何時に朝食を食べた。
何時にシャワーした。
何時に談話室で電話した。
何時に先生が来た。
何時に寝た。
3時にパンを食べた。

パンを食べる時は夜中の3時と決めた。
この習慣付けで、深夜3時の壁を乗り越えた。
必ずグラフを書く事で、時系列に対しての自分への信ぴょう性を上げた。

そうすると、夜中を昼と間違える事がなくなった。
見当識障害を乗り切った。

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