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書籍『楽しいの作り方』#12 遊び場運営スタッフにともかく遊べ!と言う2つの理由

#11からの続きです。

マルシェなどのオープン型イベントにおける遊び場の運営スタッフに僕が「あまり働こうとするな」と言う真意は、スタッフが子どもと遊んであげすぎると大人が一緒に遊ぶスキマがないので、つきっきりで遊んであげるのではなく、よきところで去りなさいということだとお話ししました。

具体的なエピソードを交えて書いてますので、まだ読んでない方はこちらから先に読んでみてください。

じゃあこの運営スタッフは一体遊び場で何をしたらいいんでしょうか?

たまに額面通りちゃんと受け取って本当に働こうとしない奴もいますが、そういうことではありません。要はアナタの仕事はそこじゃなくてここですよ!ってこと。遊び場を運営しようと思ったらスタッフにはこんなことをさせたいいよってことをいくつか挙げます。

1.遊び方を教える
これがまず基本の仕事です。僕が行うあそびラボパークを始めとする遊び場運営では少なくとも10種類以上の遊びものがその場にあります。しかも、見たこともしたこともないようなモノばかり。だから、まずスタッフは遊び方を覚えてもらって、そして来場者に教えてあげます。

ここで気をつけとかないといけないのが、あくまで「遊び方の一例を教えてあげる」だけということです。「これはどうやって遊ぶもの?」と聞かれたら「基本はこうやって遊ぶもの」というのを教えてあげるだけで、別にそうじゃないといけないわけではないということを絶対念頭に入れてもらいます。

たまに遊び方を学んだら、絶対にこうして遊ばないとダメ!と決めつけてしまう人がいます。しかしここは”遊び場”です。遊びとは自主的に自由にするからこと不確実性が生まれるもの。それが醍醐味なんです。だから、決して基本の遊び方に拘り過ぎない事。

2.自分自身が遊ぶ
スタッフには遊び場に人がいない時間もともかく自分自身が遊んで!と僕は言います。そう言う理由は2つあります。まず1つ目は自分が遊び方を覚えないといけないからです。初めて参加するスタッフはもちろんのこと、僕はしょっちゅう新作の遊びものを投入しますので、いつものスタッフだろうと初めましての遊びものが大抵あります。それを覚えないといけないし、やりかたのコツなんてものは自分がまずやってみた方が教えるのも上手くなります。

あそびラボパークで人気の遊びものの一つに中国コマ(ディアボロ)があります。

右の少年がしている紐の上でコマを回す遊びもの

これは初見の人はまず何をするのものなのか分かりません。分かったとて簡単にはできません。しかし、ちょっとした始め方のコツを教えてあげるだけで3歳児でもできるくらい簡単に遊べます。

そしてやればやるほど上手くなり、次第には技(トリック)などもできるようになります。こういったものはスタッフがまずは覚えて、自分が上手くなればそれを来場者に伝えてあげればいいだけです。だからともかく遊べ!です。

そして2つ目の理由は遊び場に人が来やすくするためです。子どもたちは遊びものや自分が見たことないものに対してとっても敏感です。すぐに反応して寄ってきます。それに釣られて親も一緒にやってきます。

だから遊び場に人を集めるには「遊び場やってるよーーーーー!」と大声を上げるよりよっぽど常にその場で遊んでる人が居る方がいいんです。だからスタッフには遊び場にお客さんがいなくても自分で遊んでもらってます。

しかし、ここでの問題は大人の目線です。大人から見たらもしかしたらスタッフ同士が自分たちだけで遊んでいたり、なんかくっちゃべってるというという状況はあまり印象が良くないかもしれません。内輪ノリみたいなところには近づきにくいですよね。

だから僕は遊び場を運営する時にスタッフにはスタッフウエアを着させていないですし、ビブス的な分かり易いものを着てもらってもいません。動きやすい自前の服でそのまま運営してもらいます。だからおそらくふらっと近付いてきた人からするとスタッフなのか一般のお客さんなのか分かりません。

でもそれがいいんです。ここがお客さんを遊ばせてあげるサービス提供の場ではなくナチュラルな遊び場環境という風になるためにはその方が違和感がありません。

イメージとしては公園でお兄ちゃん・お姉ちゃんが遊んでいて何やら楽しそうだから子ども達が寄ってきて教えてもらって遊んでみる。そんな空間をちゃんと設計して作ってるという感じです。

でも、スタッフが誰だか分からないと来場者が困るんじゃないの?誰に遊び方を聞いていいか分からないんじゃない?と思う方もいると思います。特にこの手のものを主催する人からすると不安ですよね。そのために遊び場運営スタッフには働いてもらいます。ここがキモです。

#13へ続く

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原田 光
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