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那覇市中心部の建築(その1)沖縄県庁舎行政棟

こんにちは、Akiです。
建築好き通訳ガイドの視点から、建物の魅力について紹介しています。
今回は沖縄最大の都市・那覇市中心部の建築についての記事(その1)です。

那覇市のメインストリート「国際通り」とそれに隣接する官公庁街は、那覇の顔ともいうべき場所で、大型の建築が立ち並び、有名建築家が手がけた建物もあります。その中からまず、「沖縄県庁舎行政棟」についてご紹介します。

なお、私と沖縄の関係ですが、初めて沖縄を訪れたのが1985年。以来、本土にはない沖縄が持つ独特の雰囲気に魅了され、旅行者として毎年のように通っています。

沖縄県庁舎行政棟

沖縄唯一の鉄道である沖縄都市モノレール「ゆいレール」県庁前駅を降り、国際通りへ向かうと見えてくる「沖縄県庁舎行政棟」(1990年竣工)は、那覇中心部でもひときわ大きく、存在感のある建物です。

設計は世界的に有名な建築家・黒川紀章氏。黒川氏は日本発の建築運動「メタボリズム」の中心的人物で、中銀カプセルタワーや国立新美術館など多くの有名な建築で知られています。

沖縄県庁舎行政棟は細長い2つの建物をくっつけて少しずらしたような形をしており、中心部は吹き抜けになっています。

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沖縄県庁舎の模型(中央:行政棟、右:議会棟、左:警察棟)

建物の両端は丸みを帯び、その上部は切妻破風を思わせるような三角形で、屋根全体が切妻屋根のような形をしています。

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沖縄県庁舎行政棟(西側側面)

屋根部分の特徴的な窪みは、近くにある琉球放送のアナログ放送電波を、豊見城市の旧NHK沖縄放送局の施設に届かせるために設けられました。現在、アナログ放送は終了しているので、機能的な意味はなくなりましたが、デザインのアクセントになっているといえなくもありません。

建築とは直接関係ありませんが、完成当時は先進的な構内ネットワークシステムを導入したことで話題になった建物でもあります。

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沖縄県庁舎行政棟(最上部)

外観は異なる3種類の仕上げ材料が使われているため3層に見えます。低層の部分の黒い付け柱のようなところには、シーサー像が置かれていて沖縄らしさが強調されています。伝統と現代の共生を目指した建物だそうです。

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沖縄県庁舎行政棟(南側外壁)

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沖縄県庁舎行政棟(外壁のシーサー)

建物の両側からのアプローチに対して、柱で建物を持ち上げるピロティが開かれており、黒川氏らしい都市スケールを感じるデザインとなっています。

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沖縄県庁舎行政棟(北側ピロティ)

入口ホールの空間は広々としており、南国沖縄らしい雰囲気です。

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沖縄県庁舎行政棟(入口ホール)

建物中央の吹き抜け部分には枯山水庭園のようなものがあります。

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沖縄県庁舎行政棟(吹き抜け部分)

最上階の14階には展望室があり、海側の那覇市街を見渡すことができます。

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沖縄県庁舎行政棟(展望室から那覇市街の眺め)

旧琉球政庁舎

この県庁舎が立つ場所には、以前の県庁舎(旧琉球政庁舎:1947年竣工)がありました。
現県庁舎に写真が飾られていましたが、これを見るとインターナショナルスタイルのとてもカッコイイ建物です。
松田平田設計による、戦後沖縄で初めて日本人が設計した公共施設でしたが、残念ながら現庁舎建設のために取り壊されてしまいました。

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旧琉球政庁舎(1947年竣工: 松田平田設計)

※沖縄県庁舎の写真は2017年9月に撮影したものですので、現状とは異なる可能性があります。

沖縄県庁舎行政棟 データ

所在地:那覇市泉崎1丁目2番2号
構造:SRC造14階 地下2階
設計者:黒川紀章建築都市設計事務所・沖縄県建築設計監理協同組合
建設:大成建設JV
竣工:平成2(1990)年

参考資料

「Design Magazineウェブサイト」
「黒川紀章建築都市設計事務所ウェブサイト」
「松田平田設計ウェブサイト」

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