資産は株と現金だけで良い
何度か不動産投資を検討したことがある。職場の固定電話にワンルームマンション投資の勧誘電話が頻繁に来てた2000年代の頃。もちろんそんな勧誘には乗らないが、不動産を持って家賃収入で暮らすというシミュレーションを、何度かはやってみた。
えーっと、まずは不動産を買うでしょ?
当然ローンだから家賃収入の大部分を返済に充てるじゃん?
完済して家賃が純然たる収入になるのが、ローン返済後だから20年とか30年あとで、その頃には大規模リフォームでまた1千万?
ってダメだこりゃ。なんという自転車操業。儲かるのは銀行と管理会社だけじゃん。
その後も、株式投資で小金が貯まると「港区あたりに無借金でマンション買って貸してみたら?」みたいなことを夢想したが、自己資金で買えたとしても回収まで10年単位なのは一緒。とても買う気になれない。株ならヤバいと思えばさっさと逃げられるけど、不動産はそうはいかない。
父は、借金なしで老後の家を建てたあと、もともと住んでたボロ屋を格安で貸してたが、設備更新やらで手間とお金もそこそこかかってた。そのまま子どもの誰かに相続したいというのが父の希望だったけど、入居者がいない空き家状態が何年も続いて、ようやく売った。売却手取りが1千万円で、その後その住所を住宅情報サイトで検索したら更地になって1800万円で売られてた。不動産売買って儲かるんだね。
相続で得た土地の有効活用なら不動産からの不労所得を期待もできるが、物件を入手するところからスタートでは圧倒的に不利。それでも売買で転がしていくなら儲かることもあるかもしれない。たとえば趣味のいいリノベーションをして付加価値を付けて売るとか、競売物件を安く仕入れて、いい感じのリフォームをして売るとか。
でも、大抵の不動産投資は賃貸業だ。空室リスクや経年の修繕費は容易に想像できるけど、伽羅さんによれば、非常識な入居者や不法投棄も無視できないリスク。
私に経済のことを教えてくれた山崎元さんは「個人投資家が持つべき資産は株と現金だけ。不動産は値崩れしにくい安定感は魅力だが現物は分散が利かないのでREITが良い」と再三言ってた。私もそう思う。今年持ち家を買ったけど、私が死ぬ頃には築60年くらい。更地にして売ってさっぱりしてくれれば良いかな、と思ってる。下手に土地を活かそうなんて考えると大変よ。狭小住宅しか建てられない面積だし。
不動産投資を勧める人はとても多いけれど、有料noteやYouTubeは、その情報を売ること自体が彼らの商売だ。本当に儲かるなら情報を独り占めして黙々と投資すれば良いのだから。
不動産投資のセールスも、売る人が儲かるからやってることだと認識しておかないといけない。不動産投資して賃貸するより、銀行や不動産屋や管理会社の方がリスクは低い。だから、彼らは物件を売り込む。そんなにおすすめなら自分で買って貸せば良い。
そういえば、賃貸物件退去時に管理会社の方と次の住まいの話をしたら、「賃貸に出す時はぜひ我が社に管理をお任せください」と言われたなあ。入居時・退去時・トラブル時以外は特に何もしなくても家賃の3%が毎月チャリンチャリンと入ってくるのだから、管理物件は増やしたいだろうねえ。管理会社の担当者さん自身は良い方だったけど。
というわけで、現金を基本に、リスク資産を持つ度胸が付いたら株の投資信託、さらにリスクを取る覚悟ができたら生株、他の投資はNG、というのを我が家では家訓としている。不動産は、仮に自分用でもできるだけ持たない方が経済的には有利。買うなら消費と割り切る。