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節約術の効果
ダイエットと同じくらい節約術の記事は雑誌にもWebにも、どこにでも転がっている。生まれながらのケチである私がその効能を「続けられるか」「家計改善に効果があるか」という視点で考えるよ。
クレジットカードをやめてデビットカードにする
クレジットカードを使うとお金が減った感じがしないから、ついつい無計画に使って、挙句にリボ払いになってしまう、というタイプ向け、と言われている。
しかし私に言わせれば、こういう「金銭感覚のタガが外れてしまっているタイプ」は、たとえ支払い方法を現金のみにしても一緒だ。無計画に使って休日や夜間のATMで手数料を払い、預金残高が100万円を超える日は永遠に来ない。
一方、クレジットカードを作らなければキャッシングやリボ払いをしなくなるだけマシかもしれないので、クレジットカードを使いすぎてしまう自覚がある人は一度解約しても良いかもしれない。携帯や公共料金の支払い手続きが煩雑になるが、そういう手間をかけてでもやってみる価値は少しはあるだろう。
支払い項目別に封筒に小分けにする
主婦が食費を管理する時に推奨される方法。細かく家計簿をつけるくらいなら最初から分けてしまう方が管理が楽だし、目に見えるのでわかりやすいというメリットはある。
そもそも論なのだが、支払い項目別に分ける意義って何だろう?
自分は家計簿は小学生の頃からほぼずっと記録しているけど、支払い項目別に管理したことはない。収入源/支出先と金額と日付、必要なら補足のメモ。これだけしか書かない。会社の経理なら税務署が運営経費か隠れ給与か贈賄か、みたいなことを厳しくチェックするから、目的別に整理する必要がある。けれど家計には税務調査は入らない。
家族でテーマパークに行った帰りに外食したら娯楽費なの?食費なの? 残業で夕飯を作る時間が無いから家族それぞれで夕飯を調達してもらったらコンビニ弁当も外食費扱いなの? スーパーで食品のついでに買うシャープペンシルの芯は教育費として記録すべき? 仕分けきれないあれやこれやに悩みながら細かく記録しても、どうせ抜け漏れはある。レシートをくれない店や、電子マネーで払った分をついつい記録し忘れるから。同じことが封筒小分けのお金にも言える。目的がどっちつかずの支出で悩んで、結局買わずに帰れば節約にはなるかもしれないが、私に言わせれば、費目別家計簿を記録するのと同じくらい、時間と手間の無駄遣いだ。
保険料を見直す
固定費を見直す方がストレスなく節約効果が大きい、という言説と共に紹介される方法。火災保険と自動車保険はマストで、自転車に乗る機会が多いならそちらも必要なので、損保系は削る余地はない。
削減するなら、個人年金保険、学資保険、医療保険、収入保障保険、生命保険であろうか。個人年金保険、学資保険、医療保険は問答無用で今すぐに止めて良い。ただし、その分を使って良いわけではなく、もしもに備える自分保険として貯蓄しておく必要があるし、今後も積立を続けて増やす必要がある。問題は収入保障保険と生命保険。独身なら不要だが、家族持ちで働いていて、金融資産が年間支出の5倍を超えるまでは入っておく方が良い。
家賃を見直す
固定費見直しの筆頭に挙げるべきだが、言うほど下げられないのが住まいのお金だ。家賃の安いところに引っ越すには必要な費用の回収に時間を要する。売買だともっと大変。家賃を20%以上削減できるなら引越しを検討しても良いかもしれない。
安い材料で食費を削る
ダメとは言わないが、多大な努力に割に削減できる規模が小さい。9万円の家賃を7万円に変更するのと同じように、食費で1万円以上の節約をするのはかなり厳しいのではないだろうか。黒毛和牛を週1回は一人300g食べて、一本5千円クラスのワインを常備、みたいな削減余地が大きそうな食事なら、黒毛和牛を鶏胸肉にしてワインはやめることで1万円レベルの節約になるけれど。
買い物の回数を減らす
自家用車で買い物に行く人だったら無駄な努力。徒歩か自転車で買い物をする人なら有効。毎日コーヒーやおやつを買う人は週に一回だけ買い物をやめてみると、自覚しないで漫然とお金を使う習慣に気づくかもしれない。ただ、それは単なるきっかけであって節約につなげるにはもう一つステップが必要だ。
コンビニに行かない・自販機を使わない・ビニール傘を買わない
これは有効。1万円規模にはならないが、計画性の無い消費行動が浪費の原因であることに気づいて改めるという点でとてもわかりやすい指標だ。ご褒美スイーツなど無くても困らないし、家でお茶やコーヒーを淹れて持ち歩けば自販機を使いたくなることも無い。折りたたみ傘は常時携行するもの。
本当は節約より稼ぐ方が効果が大きい
節約は支出傾向次第で効果が変わるので一概には言えない。ただ、よほどの浪費がない限り、節約で捻出できるお金はせいぜい月に1万円程度ではないだろうか。
それなら消費行動を変えるより月一で単発バイトでも追加する方が話が早い。特に若くて体力があるなら、副業も視野に入れる方が良いと思う。また専業主婦ならパートを、扶養の範囲内で働いているならフルタイム勤務を、それぞれ目指すとちまちました節約よりも家計に貢献する効果はぐっと大きくなる。
外で働くストレスが強過ぎる繊細なタイプでなければ、少し多めに働こう。