『数学ギョウザ』
そのギョウザを食べると、異世界と通じられるらしい。
そんな噂を耳にしたのが昨日。そして僕が今立っているのは、まさにその噂の的となっている店「数学ギョウザ」がかろうじて見える位置にある交差点の、道路を挟んだ電信柱の裏側だ。
こちらの様子は向こうからは見えない、はず。それなのに、僕は半身を電信柱と重ね合わせている。...ふと、後ろめたいのかもしれない、と思った。誰に、だろう。
いや、そんなことはいい。僕が今日ここへ来たのは、あのギョウザを食べるため、そしてその先にある未知の門を開くため。なぜ後ろめたいと思うのか、僕の中では明確な答えとして存在しているけれど、あえて言葉にはしたくない。そういうことは沢山ある。たくさん、ある。
また思考がズレてしまった。最近ではこういうことが本当に頻繁にあり、ここにいながらここにいないという感覚になることが多い。なら、いっそ。
というわけで、僕はやっと、異世界への1歩を踏み出した。
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