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【ES添削 #2】ガクチカ :自分にとっては当たり前の話が、意外と相手には伝わっていない!(23年卒男性・広告志望)
Instagramを通じて学生さん(23年卒・広告関連志望)から”ガクチカ”のご相談を頂きました!有難うございます。しかも同じ関西の大学ということで、東京の学生との情報格差については共感度MAXです。
そして今回取り上げる「就活生ESあるある失敗」は
【”自分にとっての当たり前” を、初対面の相手でも分かるように説明できていない!】
というものです。
前提をちゃんと相手に説明しないまま話が続いてしまって、採用担当者の理解を置いてけぼりにしてしまうケース、結構あります…!
今回は特にそこに焦点を当てて添削しました。
そしていつものように”最強のESフォーマット”を使って添削をさせて頂いた結果、相談者さんにも大満足頂くことができました!嬉しい!
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もしこの記事をご覧になった就活生のかたで添削依頼を頂ける方は、是非InstagramのDMからご連絡下さい!無料で行わせて頂く代わりにnoteの記事(もちろん匿名)にさせて頂ければと思います。
是非instagram、noteともにフォローをお願いします!
ちなみに、改めて私の学生時代の就活実績を記載します:
【このフォーマットを身につけてから…】
・書類で落ちたことがありません。 (ES通過率100%)
<本選考:応募企業4社中 3社内定・1社辞退>
・電通 →内定(辞退)
・博報堂 →内定(辞退)
・テレビ局A(キー局)→内定(入社)
・テレビ局B(キー局)→最終選考辞退 ※A局に内定したため
<1>原文
今回ご相談を頂いた文章がコチラです:
【設問】学生時代に頑張ったことはなんですか。(400文字)
【回答】
3年間セブンイレブンのアルバイトに打ち込んだ。「ななチキ」を通して、転んでもタダでは起きない姿勢の大切さを痛感した。
昨年、人気ホットスナック「ななチキ」を、シフトリーダーの私が誤って大量発注するミスを犯し、廃棄になり店に迷惑を掛けると酷く焦った。冷凍庫の容量を考えると、1週間以内に500個売り切る必要があった。
そこで、店前にバス停があり、主な客層が子育て世代であることから、「駐車場販売」を実施。帰宅ラッシュに合わせ駐車場で揚げたてを販売した。また、冷食の売上が高いことから、同時に冷凍「ななチキ」の販売も駐車場で行い、夕食や弁当での登用を見込んだ。
他の曜日や時間帯のバイトにも協力を仰ぎ、連日立ち売りを続けた結果、5日で全ての「ななチキ」は売れ、ホットスナックの日別最高売上を達成。現在も繁忙期には「駐車場販売」が採用されている。
この経験から、逆境も柔軟な発想で切り抜け、成果を出す自信を得た。
皆様どう思われたでしょうか?エピソードは結構良いものをお持ちだなと思いつつ、まだまだ良く出来そうなので見ていきましょう。
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<2>見るべきポイント
まずはいつものフォーマットに当てはめてみます。
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やはり多くの例と同じく、A:Actionが短くなってしまっています。
しかしそれ以外にも直すべきポイントがたくさんあります。
【Good!!ポイント】
① 失敗から始まる「負けて終わらない姿勢」のエピソードに好感!
失敗から始まるエピソードで自分の弱点を示すことで、逆に自信と素直さが伝わってきます。また、社会人でも失敗、間違い、助け合いの場面は多々あるので、「一緒に働いたら不利な場面でも頑張ってくれそう」という再現性を感じます。これは社会人が読むと好感度が高いです!皆さんも自分の失敗から始まるエピソードがあれば是非一度書いてみてください。
② S.T.A.R.の構成がしっかり守られていて、読みやすい!
過去の記事で説明してきたエピソードトークの基本である
S:Situation(状況)
T:Task(課題・達成すべきこと)
A:Action(行動・その為に何をしたのか)
R:Result(結果)
の順番が守られていることで、内容がとても理解しやすくなっています!
このSTARは GAFA の採用HPでも、応募者へのヒントとして公式に記載されているほど有効なプレゼンスキルです。
まだ S.T.A.R.をご存じないという方は、コチラの記事を御覧ください。↓↓↓
【更に改善できる!!ポイント】
逆にまだ改善できるポイントは以下の3つです:
① 全体の文字数配分
② 文と文を繋ぐ”接続の言葉”をちゃんと使おう
③ ”自分にとっての当たり前” を、初対面の相手でも分かるように説明しよう
特に今回は、③に注目して書かせて頂きます。
【テーマ】”自分にとっての当たり前” を、初対面の相手でも分かるように説明できてる?
実はこれも多くの大学生のESに多い問題点です。
この「相手の前提知識レベルに合わせて説明を変えられる力」は、ESだけではなく社会人になってからも、物凄く重要な力です。なので今のうちに身に付けておくと、大人になってから強いですよ…!
今回のESでいうと、A:Action部分でこの問題が起きてしまっています。
そこで、店前にバス停があり、主な客層が子育て世代であることから、「駐車場販売」を実施。帰宅ラッシュに合わせ駐車場で揚げたてを販売した。
何となく「店の外に出て販売をしたんだな」という事はわかる…のですが、よくよく考えてみると
・バス停の話はどこにいった?
・「主な客層が子育て世代」だから「駐車場販売」ってどういう意味?
・てかそもそも”駐車場”って何の駐車場?
など、この店舗の周辺環境を全く知らない人間が読むと、ひとつひとつのパーツが全く繋がっていません。
こういった、論理的に違和感がある文章は、
「ん?なんか変な日本語だな?」
≒「論理力が低いひとだな」
≒「頭悪そうな人だな」
という印象を与えてしまいます。
そうなったら、とても損です!
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そこで、このセブンイレブン周辺の位置関係について、相談者の学生さんとZoomで色々聞かせて頂いたところ、文面では理解できなかった大前提が色々と明らかになりました…。それを踏まえて、後ほど Action を修正したいと思います。
このように「自分にとっては当たり前過ぎて、どこが説明不足かわからない」という状態はよく起きます。
それに気づくためには、普段接していない大人に話をしてみるというのが一番効率が良いです。そのために最もわかりやすい方法は、OB・OG訪問です。
<2>修正~第一段階~: 文字数を整える
以上を踏まえて、まずは内容よりも、文字数配分と日本語のスムーズさを整えます。個人的な好みなのかもしれませんが、語尾が「~だ」という文体よりも、「~です・ます」調のほうが良い印象を受けるので、添削後の文章は全てそのように変えます。
1)結論部分
【原文】
3年間セブンイレブンのアルバイトに打ち込んだ。「ななチキ」を通して、転んでもタダでは起きない姿勢の大切さを痛感した。
(58文字)
①「ななチキ」を通して、というのは日本語としてちょっと変
② この2文をつなぐ言葉がほしい。あるいは、ふたつを一文にまとめてしまうということでもいいかもしれません。
③「”姿勢”の”大切さ”を”痛感”しました」というのが少し長く感じるので、「姿勢を学びました」と省略します。
↓↓↓
【修正~第一段階】
3年間セブンイレブンでアルバイトを続け、転んでもタダでは起きない姿勢を学びました。(42文字)
2)S+T 部分
【原文】
昨年、人気ホットスナック「ななチキ」を、シフトリーダーの私が誤って大量発注するミスを犯し、廃棄になり店に迷惑を掛けると酷く焦った。冷凍庫の容量を考えると、1週間以内に500個売り切る必要があった。
(96文字)
①シフトリーダーであることは後のエピソードで出てこないので削除。
(※無理やりでも「リーダー」という言葉を入れたほうが良いのではないかと思う学生さんが多いですが、そんなことはないですよ!)
② 「廃棄になり店に迷惑が…」の部分は、語尾を「ミスを犯して”しまった”」とするだけで十分焦りは伝わります。
③【重要】”一週間以内に500個”という数字が入っているのは話がイメージしやすくてGood!しかし欲を言えば、比較できる普段の数字も書かれていると、どれだけ大変な発注個数ミスだったかが伝わります!
↓↓↓
【修正~第一段階】
それは昨年の夏、人気ホットスナック「ななチキ」の仕入れを、私が誤って大量発注してしまった時の事です。大量に届いた商品を廃棄にしないためには、普段の週間販売個数が約200個のところ、500個売り切る必要がありました。
(106文字)
※Zoomで相談者さんに確認して「普段は一週間で200個程度」と伺ったので、比較のために200個という数字を入れました。
3)A:Action 部分
【原文】
そこで、店前にバス停があり、主な客層が子育て世代であることから、「駐車場販売」を実施。帰宅ラッシュに合わせ駐車場で揚げたてを販売した。また、冷食の売上が高いことから、同時に冷凍「ななチキ」の販売も駐車場で行い、夕食や弁当での登用を見込んだ。他の曜日や時間帯のバイトにも協力を仰ぎ、連日立ち売りを続けた結果、
(153文字)
<概要>
先程解説した通り、(1)バス停(2)客層が子育て世帯(3)駐車場販売 という3つが上手く繋がっていません。そこで相談者さんに確認したところ、次のような前提がわかりました:
① そもそもこのセブンイレブンは、住宅地の真ん中にある。
②店の目の前がセブンイレブンの駐車場になっており、それが道路に面している部分にバス停がある。
→帰宅ラッシュ時に仕事帰りのサラリーマンが店の前にバスから降りてくるため、彼らを店で待つのではなくバス停の目の前まで捕まえに行って販売するべきだと考えた。
③ 店の真横に保育園がある。
→お迎えに来る親達は、帰ってから晩御飯の準備もあるため、その親達のおかず用に冷凍のまま売るのはどうかと考えた。
従って、ポイントは、
① バス停から降りてくる帰宅サラリーマン
→バス停の目の前まで売りに行く
② 隣の保育園に迎えに来る親達
→”晩御飯のおかず”+”翌日の弁当”として冷凍『ななチキ』を販売
という2つ。つまり、実は駐車場自体は関係ないのです。
正確に言うと、売っている実際の場所は「駐車場」ですが、意図としては「店の前=バス停近く」で売ることなのです。
そのため、「駐車場」ではなく「店の前」という表現にしたほうが、「バス停?駐車場?ん?何がどこにあるの?」という混乱が避けられます。
逆に不足している情報は、①立地が住宅地であり②隣に保育園があるということ。これを書かないと「客層がファミリー世帯」ということが理解できません。
また、A:Action部分で伝える内容を駐車場販売に絞るために、最後の一文「他の曜日…」は削ります。
(※相談者さんがこれを書いた意図としては、「”自分がシフトに入れない曜日”」という意味だったようです。これも「自分は決まった曜日にしかシフトに入らない」という自分だけの常識を、無意識に使ってしまっています。)
このように、混乱を招きそうな情報を排除し、必要な情報を足すと、Actionはこんな風に書けるのではないでしょうか。
↓↓↓
【修正~第一段階】
そこで、店の立地条件を最大限活かしたいと考えました。その店は住宅地にあり、目の前にバス停、隣に保育園があったからです。考えた末、店の前で屋外販売を開始し、バスを降りる帰宅の会社員と、保育園のお迎えに来た親達を、店内で待たずに捕まえに行きました。特に保育園に来た親向けには冷凍のままでも販売し「夕食や明日のお弁当に!」と大声でアピール。そして他の店員とも協力し売り込んだ結果、
(184文字)
※文章の最初に、位置関係の説明と意図を書いたことで、全体のストーリーが理解しやすくなりました。
4)R:Result 部分
【原文】
5日で全ての「ななチキ」は売れ、ホットスナックの日別最高売上を達成。現在も繁忙期には「駐車場販売」が採用されている。
(58文字)
①本来この部分は32文字程度に収めることが理想的なので、多くても40文字程度までは削る必要があります。
②結論部分で3つの話が書かれています:
・ななチキ完売 ※エピソード本来の結果
・日別最高売上達成 ※おまけ結論①
・現在も駐車場販売は採用 ※おまけ結論②
③ 削減しなければいけない文字数を考えると、おまけ結論①②のどちらかを丸々削除する必要があります(なんなら Action 部分の文字数を増やすために両方削ってもいいかもしれません)。どちらを残すか考えたとき、①は「ななチキ」完売から容易に想像がつく一方、②はその後も継続されているという点で時間軸的な広がりを感じるため、アイデアの良さを証明している付加価値があります。そのため、今回は②を残そうと思います。
↓↓↓
【修正~第一段階】
5日間で完売達成。現在も繁忙期には店頭販売が採用されています。
(31文字)
5)再び結論 部分
【原文】
この経験から、逆境も柔軟な発想で切り抜け、成果を出す自信を得た。
(32文字)
微妙なニュアンスの問題かもしれませんが、
■逆境 =不運(自分が原因ではない)
■失敗 =自分が引き起こした悪い状況
という違いがあるように思います。そのため、今回は「逆境にもめげない話」ではなく「失敗しても挽回する話」になります。するとこのままだと、エピソードと結論にズレが起きています。従って以下のように変更しました:
↓↓↓
【修正~第一段階】
この経験で、失敗しても諦めず考え行動することで、挽回できる自信を得ました。(37文字)
<3>完成版
そして完成したのがこちらです。
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【完成版】
3年間セブンイレブンでのアルバイトを続け、転んでもタダでは起きない姿勢を学びました。
それは昨年の夏、人気ホットスナック「ななチキ」の仕入れを、私が誤って大量発注してしまった時の事です。大量に届いた商品を廃棄にしないためには、普段の週間販売個数が約200個のところ、500個売り切る必要がありました。
そこで、店の立地条件を最大限活かしたいと考えました。その店は住宅地にあり、目の前にバス停、隣に保育園があったからです。考えた末、店の前で屋外販売を開始し、バスを降りる帰宅の会社員と、保育園のお迎えに来た親達を、店内で待たずに捕まえに行きました。特に保育園に来た親向けには冷凍のままでも販売し「夕食や明日のお弁当に!」と大声でアピール。そして他の店員とも協力し売り込んだ結果、5日間で完売達成。現在も繁忙期には店頭販売が採用されています。
この経験で、失敗しても諦めず考え行動することで、挽回できる自信を得ました。
(400文字)
いかがでしょうか?
最初よりも随分と読みやすくなったのではないでしょうか?いつもであれば、それぞれを修正したあとで全体を通じて読んだときに、日本語としておかしくなっていないか確認するのですが、今回は問題なさそうです。
相談者さんとZoomで話したあと、「視野が広がりました!」という言葉をもらったときは、僕も嬉しかったです!
<4>今回の添削のポイント
それでは最後に、あらためて今回の添削のポイントをまとめます。
① 全体の文字数配分を徹底して意識しよう
② 文と文を繋ぐ”接続の言葉”をちゃんと使おう
③ ”自分にとっての当たり前” を、初対面の相手でも分かるように説明しよう
です。就活生の皆様は、今回のESと同じようなミスをなるべく避けるため、是非なんどでもこのnoteを見返してください!
以上で今回の添削を終了します。
この note では引き続き ES の添削を募集していきます。
是非、この note のコメントでも、インスタのDMでも構いませんのでご連絡ください!