もう少しだけ待って
ある日、声が出なくなった。
厳密に言うと声が出なくなった訳では無い。
ある特定のシチュエーションと特定の人の前で
話そうとすると、なぜだか声が出なくなる。
でも僕は頑張って声を発する。
なぜなら、言葉を発さないといけないから。
もう少しだけ待って、お願いもう少しだけ時間が欲しいと思えば思うほど、声が出ない。
人はこの症状をなんと呼ぶか分からないけど、
僕はこの症状に名前をつけたくない。
あー多分ちょっと心がおかしくなっただけかもしれない。
みんなの前で話すのが大好きな子供だった。
学級委員は率先してやったし、大勢の前で英語のスピーチを披露するのもなんてことなかった。
いつからだろう、いつからこんなに存在を消して生きていきたくなったのは。
いつからだろう、声を発するのがこんなにも困難になったのは。
とあるイベントで出会った人が言ってた言葉が印象的だった。
「人の話を最後まで聞く、そんなことができる人ってこの世にどれだけいるのでしょうか。」
もう少しだけ待って
もう少しだけ待って
もう少しだけ待って
もう少しだけ待ってくれる世界になるために
今日も僕は喋る
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