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フクロウだって、人間だって、フクロウ(その人)らしさがある。

 先日、人間の世界で嫌な気持ちになる事があって、でも周りにはあんまり共感して貰えない出来事があった時に、あるフクロウとの出会いを思い出した。

 フクロウカフェに行ったのは、何年前だろうか。友人からまず誘われたのだが行けず、その話を妹にしたら、「いってみたい!」となった。妹がまだ元気だった頃になる。

 フクロウカフェは、K市のはずれにある。飲み物や食べ物を摂りながら、お気に入りのフクロウを指名して、なでたり腕に乗せたりする事が出来る。フクロウはとても繊細なので、何回も同じ子を指名は出来ない。疲れてしまうからだ。

 妹は、顔がまんまるに白くて、手足がちょこんとしたビジュアルがとても可愛らしいフクロウを選び、室内で頭や背中を撫でた。フクロウは机に乗り、大人しく、撫でられるとうっとりしていた。その姿形や様子も、可愛いなあと思って眺めていた。

 私は、腕に乗せてみたくて、戸外に出る事になった。大人しくて可愛い子がいいなあ。と、フクロウの顔を見比べながら少し目がギラギラとした、ちょっとばかり猛々しさのある子を選んだ。「この子をお願いします」と、お店のお兄さんに伝える。すると、少しだけニヤリとした気がした。

 外に連れ出す時点で、私が選んだフクロウは、バサバサと羽を何度も広げながら、お店のお兄さんの言う事さえも全く聞かない。
「はい」と、お兄さんが私に確か腕にサポーターみたいなものを付けてくれたような。その辺はまるでよく覚えていない。

 とにかく大暴れで、腕には乗るが私に対しては怒りの眼差しを向けるフクロウ。お兄さんが、「あのね〜、メスは気性が激しいのが多いんだよねー」と
言っていた。そうなんだ?それ、今言うんだね?

 と、こころの中で思いながらもフクロウのバサバサは止まらない。
「お兄さん!おに〜いさん!助けてください〜!!」と私は必死に伝えたが、お兄さんは、私に背中を向けてガードレールに座って煙草をすいながら、ニヤニヤしていて、全く助けるつもりも無さそうで、(だって、そういうフクロウじゃん)と、思っているのが、背中の雰囲気から伝わってきた。

 その時にふと、そうだ、お店の人にとってみれば、そのフクロウが暴れん坊なのも、他のフクロウが静かなのも、特別に変わった事ではないし、日常なんだなと思った。私が選ぶ前に「この子は、凄い暴れます」などはあえて言わなくて良かったのだ。だって、それがフクロウなんだから。

 その一日はなんだかぐったりしてしまったが、それで良かったのだと思う。

 そして、最近の人間の中でのいざこざに重なって感じた。その人を知る前から「この人は、こういう人だよ」なんて、言う必要はない。判断するのは自分なんだから。

毎日暑いですね。

 

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