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大好きなあの子
1週間前、甥っ子が隣の駅に歩いていくところにたまたま出会い、見送った。最近歩く事が好きらしく、どこまでも歩いていく。ベージュのロングコートを羽織り、中は黒のVネックセーター。「すっごくカッコいい!」と私が言うと「そうかな?」と首を傾げながらあっさり行ってしまった。最近以前よりもお洒落になって、でも顔はぽっちゃりとした可愛さも残っている中学2年生の彼とは小さな頃とは違い、以前のようには喋れなくなってしまった。
この有り余る愛情をストレートに表現することで、身内からは嫌そうな顔しかされない。母からは「もう小さな子じゃないんだよ、中学2年生として扱ってあげなきゃ可愛そうじゃないの。」と言われる。わかってはいるが、「年相応の扱い」ってどんな風にすれば良いのだろうか。
実家に帰った時に、父が約10年程前の丸々とした甥っ子を膝に乗せた写真を出してきて「こんなの出てきたぞー」と私が喜ぶと思ったのか、見せてくれた。「可愛い!!可愛い!!」絶叫する私を見て、自分から出してきたものの、めんどくさくなったのか、後悔の色を見せる父であった。
週末は大抵実家の一階のこたつで、ゲームをしているかゴロゴロしながら過ごしている、甥っ子。「最近、中学生って何が流行ってるの」「別に流行りとかないんじゃないかな」会話は一往復で終わってしまう。自分の家から着てきたのか、水色のスカジャンがハンガーに掛けられているのが見えた。「これ、着てみてくれない?」と、私が言うと、そのリクエストには「うん、いいよ」と意外にも、あっさりOKだった。
水色のスカジャンを着た姿は本当に可愛く格好良かった。「写真撮らせてくれない?」「それはだめ!」「そっか、だめか〜」がっかりしながらも、「ファンクラブ出来ちゃうね、こんなにカッコ良いと」「そんなのないない」「だって、こんな格好良い中学生いないよ?」と言うと、笑いながら「それは身内だからそう思うの!」とバッサリ言われてしまった。
「今日は、話せて嬉しかったよ!」と言うと「うん…」と仕方なく返事をしてくれた。玄関の靴を見て、とんでもなく大きな足になったのに、拳ぐらいの小さな靴を履いていた事を思い出して涙が出そうになる。
以前、知り合いのお母さんに戸外で遭遇した時に「〇〇君元気ですか(息子さんの名前)」と言うと、「もう大きくなっちゃって、小さな頃のあの子が、ここら辺から出てきてくれないかな、とたまに思ってしまって」と、自身の横あたりを指差しながら言って、ちょっぴり寂しそうな顔をしたのを見て、「ああ、私だけではないんだな」と思いながらも、離れた場所から成長を見守る難しさを感じる今日この頃。
しかし、「大好き大好き」ばかりではなくて、「見守る」「信頼する」事を大切にしながら、成長をジトっと見守っていきたい。(激重)