人工衛星で駐車場の収益シミュレーションをしてみた(1)
はじめに
人工衛星のデータを可視化出来るウェブサービス「EO Browser」を使って、「駐車場の混雑状況」を見える化して、コインパーキングや駐車場シェアサービス、月極駐車場などの収益シミュレーションに活用できないか、挑戦してみました。
前回のおさらい
前回はシリーズ第一弾として、「EO Browser」の概要をご紹介しました。
今回は?
今回は、実際に「EO Browser」を利用して、操作方法などをご紹介したいと思います。
主な手順
「EO Browser」へアクセスする
まずはじめに、以下リンクから「EO Browser」へアクセスしてください。
※日本語設定はないため、言語設定は英語で進めていきます。
調べたい地域・エリアを指定する
マップの初期位置が、イタリア > ローマとなっているため、自分が調べたい地域・エリアを指定します。
下記のように日本語表記の住所を入力しても問題ありません。私の場合は、いつもGoogleマップの住所をコピー&ペースしています。私は名古屋市在住なので、名古屋の「大名古屋ビルヂング」周辺を指定しますね。
表示された候補から住所を選択すると、マップが下記のように指定された住所を中心に自動で変わります。
しかしこのままでは、どこが駐車場なのか全くわかりません。そのため下記のようにGoogleマップの航空写真などと併用しながら、駐車場位置を確認します。
調べたいエリアが確認出来たら、そのエリアを「Create an area of interest」メニュー(右側メニュー > 上部)にて範囲選択します。今回のエリアは斜めに傾いているので、自由にエリアを指定できるペン型のメニューを選択し、範囲選択します。
これにて、「調べたい地域・エリアを指定する」は終了となります。
利用したい「人工衛星」を選択する
次に、利用したい「人工衛星」を選択します。駐車場の混雑状況を知るため、「地表面形状」を観測できる「Sentinel-1」を選択します。
※「Sentinel-1」の特徴は下記の通り↓
利用したい「画像データ」を選択する
次に、観測データを選択します。
下記ページより、「Sentinel-1」は2機体制にて、6日間隔で観測を行っているようですね。
次に取得したい「データ」形式を選択します。
今回は、「VV - linear - gamma0」を選択します。
人工衛星は観測の際、レーダーを発射し、その反射波を受信してデータを取得します。このとき、偏波という性質を利用して地表の特性を解析します。偏波とは、電磁波が振動する方向のことで、衛星データでは水平偏波(HH)と垂直偏波(VV)の2つがよく使用されます。英語で、垂直を「Vertical」、水平を「Horizontal」と言いますよね。この頭文字の組み合わせで、表現されています。
VVは、垂直偏波の発信と受信の組み合わせで観測されたデータを指します。
このVVは地表や地物に対して特定の特性を持つ反射波を生成し、それを衛星が受信して解析することで、地表の構造、地物の形状、表面の粗さなどを推定するのに使用されます。
また「linear」は線形値(絶対値)、「decibel」は相対値を表します。色々な駐車場で比較をしたいため、今回は「linear」を選択しています。
「データ」形式を選択すると、下記のようにマップが白と黒の画像に置き換わります。
白い部分と黒い部分では、以下のような違いがあります。
黒:電波が跳ね返って、センサーで受信できる → 表面に凹凸がある
白:電波が全反射して、センサーで受信できない → 表面に凹凸がない
今回のエリアは真っ白ですね。つまり反射する車がなかった可能性を示します。
指定した「画像データ」の時間推移をグラフで示す
右上の「グラフ」メニューを押すと、時系列データを見ることができます。
この数値(VV)が高いと白、逆に低いと黒を指します。
つまりVVが大きいほど、地表の表面が滑らかで反射特性が均一であることを示しています。しかし、地表の物質や構造、地形の起伏などの要素も考慮する必要があるため、必ずしも「VV値が高い=駐車場が空いている」訳ではありませんので、注意が必要ですね。
このVVを駐車場の混雑状況を見ていきたいと考えています。
次回予告
今回は「EO Browser」の使い方を中心に、ご紹介いたしました。
次回は、「EO Browser」のデータを活用して、駐車場の混雑状況を推定する方法について、考察していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。