『卒業生には向かない真実』ホリー・ジャクソン(著)服部京子(訳)
三部作完結! ホリー・ジャクソンよ、最後になんてことをするんだよ!
読書でこれほどの衝撃を受けたのは久々だよ。是非はともかく、凄いよ。
出だしから、ピップがPTSDと不眠で不正に眠剤を購入してたり、レイプ魔に名誉毀損で訴えられそうだったりと、前巻以上に鬱展開でしんどすぎる。
さらに今度はストーカーがピップを狙う。その手口を調べると、すでに犯人は服役中。またも冤罪で、警察の不手際がピップを襲う。
本書は三部作というより、上中下なので、前2作のキャラや関係を覚えてないと読書が大変。下記一覧に大いに助けられた。
283ページまでいくとあらましがまとめられてて、これも助かった。しかしできれば登場人物一覧みたいに、シリーズ概要も欲しかったな。
https://twitter.com/yurindou/status/1516748371683209216
そんなこんなで、ストーカーの調査を始めるとやっとエンジンがかかってくるのだが、あっさり中盤でストーカーが姿を表し、直接対峙を迎えてしまう。この本、結構分厚いのに後半どうするんだ? と思ってたら、まさかの展開に心底吃驚。えぇ~~? はぁ~~? まじで? と語彙が消えた。
後半、ピップの人生をかけた大勝負が始まるが、勝っても負けても地獄。胸が締め付けられて読むのが辛かった。
もし、ピップのメンタルがまともで、有り余ってるスマホで録画したり、録音したりする頭脳が残っていたなら…。と思わずにおれない。
しかしこの展開、必然というより、作者が作品で私怨を晴らしてるだけとも感じられ、なんか、残念かな…。
以下、ネタバレ。
ストーカー(連続殺人鬼)に拉致られたピップがなんとか脱出するも、これを警察に言っても信じてもらえないのでは? たとえ逮捕されても、またマックスみたいに無罪になるのでは? そう思ってしまったピップはストーカーを後ろから撲殺する。
まぁ、まだ、これはわかる。警察も司法もまったく当てにならないことを、前2冊で証明してるから。殺人にしてもギリギリ正当防衛。
問題はこの後。
証拠を隠滅し、全ての罪をマックス・ヘイスティングスになすりつける。
薬を盛ってスマホを盗み…という描写が後半延々続く。
これには閉口した。よいのかそれで! いけるのか?! と動悸が止まらないよ。
計画が成功するのか、なにかヘマが見つかってしまうのか、最後の最後までドキドキがつづく。
個人的に、ポストイットがキーになると思っていたので、気が気ではなかった。
まさかヒーローのお話ではなく、ヴィランのお話だったとはね。ヒーローは個人の才能だけど、ヴィランは社会が生むのだね。
ピップの行動で考えさせられるのは、自分の運命を、人生を、他人に任せられるか? というところ。それが身内とよべる真に愛してる人達なら任せられるが、警察や司法といった他人、ただ仕事でやってるだけ、という人たちならどうか。
日本ならどうか。自分ならどうか。しんどすぎる問いだわ。
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