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フィクショニズム File00

人生は物語。
3年前、この世界が極限に無いという可能性が示唆された。
ネオ虚数(虚数と無限を混合した新たな虚数)の使用によってこの世界の全ての事を説明できることが証明された。そしてこれは世界が極限に無いという可能性を示唆することとなった。
その2年後。ネオ虚数でしかこの世界のあらゆる問題は解決されないという証明がなされた。
ネオ虚数は簡単に言うと「極限に無い」ことを意味する。
つまりこの世界は虚無であることがわかった。
そして1年前、私はその際証明に用いられたネオ虚数を使用してこの世のありとあらゆる物語を定式化することに成功した。つまり簡単に言ってしまえば物語を単純な数式で表すことができたということだ。
自分で言うのも何だが、私は大きな功績を残した。
物語の定式化によって、自然界においてのありとあらゆることが緻密に予測できるようになった。
なぜそんなことが可能になったのか?それはこの世界も物語の一部であることが証明されたからだ。
人間もまた個体でなく集合としての行く末なら予測が可能である。
私の証明により、多くの研究が終点を迎えた。

中略

近年目立つのは、フィクショニズムの台頭である。フィクショニズム(虚構主義)というのは私の証明によりこの世界も物語の一部であることがわかったことで、隆盛した思想である。昔で言うところのシミュレーション仮説に近いものだ。

おっと、少ししゃべりすぎたかな。
そろそろ私の物語も終わりが近づいてきたようだ…

二十年後――


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