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PONDO、PONDO、PONDO、PONDOし・あ・わ・せあしすとちるどれん♪ #3

僕はロケットの窓から地球を見ていた。地球って本当に丸いんだなぁ。自分が住んでる陸地ってあんなにも狭いんだな。海にも住めたらいいのに。人間が海に住むことができたらみんな喧嘩をやめるかなぁ。うん。やめないね多分。
そうして地球がどんどん離れて行って紙に鉛筆を垂直に落として書いた点くらいに、両手の人差し指と親指で作ったトランプのダイヤみたいな穴よりも小さくなるといつのまにかロケットは星に到着していて僕は宇宙服を着て星を歩いていた。重力は地球よりも軽くて僕は楽しくってウサギみたいにぴょんぴょんしていた。
そしたらいつの間にかロケットが消えていてどうやって帰るんだろうなって思っていたら虚数が概念を引き連れて僕を手招きしていた。僕はやきゅうボールを手に持っていたからそのボールを虚数に向かって投げた。そしたら虚数は概念に向かってストレートをおみまいした。かとおもうと概念はボールをぐにゃぐにゃさせて自分の中にボールを入れてどこかに行っちゃった。
気付くと虚数もいなくなっていて代わりに感情がいた。感情さんここはどこなの?ひょっとして僕が炎の信号を送ったあの星なのかな?感情が何か言っているみたいだけど宇宙服のせいでよく聞こえない。なんて言ってるんだろう?まぁいいか。
僕は豆粒みたいな地球めがけて軽くジャンプしてみた。その時は試しにジャンプしただけだったのにどんどん地面から離れちゃってもう星に戻れなくなっちゃった。あー。
さよなら感情さん。また会えるといいね。
もしかしたらあの時感情さんはもう帰れないねみたいなことを言ってて僕のことを心配してくれていたのかもしれない。次会ったらお礼を言いたいな。そう思って宙を飛んでる間に頭の中がお礼を言いたいなって概念で充たされてあったかくなって瞼の裏に光が映ったなって思ったときにはもう朝だった。

少ししたらお腹がぐーってなって僕の頭にぐーてんべるくっていう単語が浮かんできた。何だっけぐーてんべるくって?ヨーロッパの国の地名だったっけ?まぁいいや。
うわていうかなんかハンバーグが食べたくなってきてしまった。この前公園に捨ててあった弁当に入ってたハンバーグがすごくおいしくてその後なぜかお腹が痛くなったけどそれでもすごいおいしかったからやっぱ食べたくなった。
それで冷蔵庫を開けたら鶏の胸肉しかなかったから仕方なく鶏の胸肉をミンチにしてハンバーグをつくることにした。そういえば僕は烏を見るたびに烏の胸肉がおいしそうだなって思う。いつか烏も食べられるようになるといいな。あ、いけないいけない。そろそろつくらなくちゃ。僕は手をグーの形にして胸肉にパンチを何回もしてみるけど胸肉は依然として胸肉のままで一向にミンチになる気配がない。ならばとおもい僕はハサミをもってきてジャキジャキにしてちりぢりにしてやった。あれ?でもこれだとまだ塊のままでミンチにはなってない。仕方ないからもっとハサミでジャキジャキにした。そしたら小さくなったから手の平の上に載せてぎゅっとしたけど全然まとまらなくてすぐにちりぢりになって、ポロポロとまな板の上にこぼれ落ちる。仕方ないからどこかにあった海苔を使ってぐるぐる巻きにしてテープでとめてフライパンに入れて焼いた。あ、デミグラスソースを作らなくっちゃね。ケチャップをどばどば小皿に入れてソースをどばどば入れて混ぜ混ぜする。そしたらいつの間にかデミグラスソースができてて丁度フライパンの胸肉ハンバーグも焼けたころだろうから火を切ってデミグラスソースをかけて食べることにした。デミグラスソースをたっぷりとかけて海苔で巻かれた胸肉ハンバーグをいざ実食。パリッという聞き心地のいい音がした後にポロポロと胸肉が口の中にこぼれ落ちてくる。なんだ固まってないじゃん。でもハンバーグの味がするからいいや。満足満足。あ。セロハンテープ食べちゃった。まぁいいか。
そんな大冒険的な朝食を食べ終わると僕はいつもの工場に行って一仕事をふうっと一息つきながら終えた後に夜になってて公園のゴミかごをチェックすると何も無かったからスーパーに行った。最近弁当の食べ残しが少ない気がする。残念。

スーパーではたくさんの人とすれ違う。最近僕はテレパシーが使えないか思ってふさふさの俵を思いっきり踏むイメージで念じてみたりするんだけどどうも上手くいかない。けどテレパシーってすごいよね。多分あれを実現した人が世界を変えるんだろうなぁ。ほら、僕の頭に概念を電子か何かに変えて入出力のできる装置がついていて、相手の人とブルートゥースか何かでつなげればその人と共有することができる。その装置を使えば僕の頭の中で流れるピアノの曲も他の人にそのまま伝えられて一緒に自分で作った音楽を楽しむことができたりしちゃうんだ。VRヘッドセットとセットで使えば音も見たことも感覚を通して共有することができる。さらにさらに!概念の共有ができるから味覚も触覚も嗅覚も共有できるんだ!個人によって感覚の差が大きいのがまだまだなところだけど、それも人間らしくっていいよね。こどもたちはみんなそれで遊んでるよ。装置の名前はドリーマー。夢を意図的に作り出す存在であり、夢を共有できる存在。自分の想像で作った部屋に友達を招待して一緒にキャンプをしてお絵描きをして鬼ごっこをするんだ。その世界では何でも自分で作って共有できるからこどもたちの想像力が爆発してるんだ。それにね。それにね。他者との共有が無理だとしてもそのゲームは一人でもできるんだ。だってみんな夢でも他者を創造/想像できるでしょ。本当にいるみたいに思うでしょ。だから自己完結できる装置でもあるんだ。
あれ?でもさ。もしだよ。もしこの装置が本当にできたとして、これをまだ何も学んでない赤ちゃんに付けたらその子はどんな世界を見るんだろうね。だってその子は多分他の人のことも認識してないから他者を想像できないし物事の経験もまだ何もしてないに等しい。大人に比べればね。装置はその子の意志を抽出するからその子が見たいって思った世界を構築する訳だけどその子はどんな世界を見たがっているんだろう。うわぁ気になるなぁ。でもその子が見る世界はこの世界となんら変わらないのかもしれないね。もしそうじゃなかったらその時にはっきりするね。世界が僕らを規定するのか僕らが漸次的に世界を規定するのかが。それかもしかしたらこの世界が僕らにとっての本当に見たい世界なのかもしれないし。その本当を本当に思えるのが赤ちゃんってことなのかもしれないし。僕らはいろいろ知りすぎたから現実逃避したくなっちゃうけどこどもたちはまだ現実を知らないことが多いからね。僕は現実なんて存在しないと思うけど。あれ?これこの前声が言ってたことだな。ま、いっか。
そんなことを考えてたら突然ナポリタンを食べたくなったから、多分誰かにナポリタンのテレパシーを送られたんだろう。あ、それとも今日ケチャップを食べたからかな。僕がナポリタンのことをしきりに呼んでいるといつの間にかナポリタンの前に居たからそれを手に取ってかちんこちんに固まった冷たい氷の板のようなナポリタンを買った。スーパーの電子レンジで7分チンして割りばしを取って袋をシャカシャカして開けてそのまま食べる。うん。ナポリタンだ。思った通りの味。中に入っているソーセージが美味しい。でもどうやってこんなに薄く切ることができるんだろう?きっとこれをつくった人はすごい腕前なんだろうな。僕は誰かが食べ残したナポリタンをたいらげてゴミ箱に捨てて家に帰った。使いかけの歯磨き粉を頑張って押し出してなんとかひねり出して誰かが使った歯ブラシに押し付けて歯をブラッシングする。今日は声が聞こえない。ちゃんと寝られそうでよかった.....

今日は久しぶりの休み。昨日の夜は声も聞こえずに何の夢も見なかった。よかった。
朝ラジオ体操をしたい気分になったからしようとしたけどどんなメロディだったか忘れたからやめた。鶏胸肉を冷蔵庫から取り出してバンッて閉めてフライパンに入れてにんじんとなすと玉ねぎとピーマンを切り刻んで鶏胸肉の上に載せる。みんな一緒にフライパンに仲良く入れてぐつぐつ言わせてそのまま食べる。
うん。いつもの味。
食べ終わったらブラッシングをして玄関のドアをけたたましく開けて外に出る。そういえば昨日家のカギ閉め忘れたなと思いながら今日も鍵を閉め忘れたことに気付く。まぁいいか。

僕はいつもの場所に行って誰かが残した弁当を食べた。今日はカレーライスだ。プラスチックで囲われたカレーに福神漬けを全部入れて、ライスを投入する。どぼん。ぼちゃ。ぼちゃ。カレーの池から白いコメをを救って食べる。レスキュー完了。ぱくっ。おいしい。甘口だ!僕はお米をパンパンとスプーンのうらっかわでたたいて弁当の中にダムを造った。ご飯を食べるついでに開門を行ってカレーをどぼどぼと流してやった。干からびたプラスチックの黒い土地にカレーが流れ込んで、よかったねこれで作物が育つね。一件落着。ふうぅ=3満腹満腹。今日も時間があるからピアノ弾いちゃおうかな。なんかどこかでだれか叫んでるな。まぁいいや。
そうやって僕がピアノの鍵盤をたたこうとしたその時にジリリリリリリリっていう音が頭を貫いた。だれか火を起こそうとしたのかな?そしたらどこからか火事だーーって声が聞こえてきてホントに焦げ臭くて燃えてるにおいがしたからあーあ。だれか料理に失敗しちゃったのかって思って、逃げようかどうか迷ったけど今僕は死にかけじゃないからきっと火を熱いって思ってしまうなって思ったから逃げることにした。えーっと出口はどこだっけ?探してる途中に部屋の中で胸から血を流して倒れてる人を何人か見かけた。死んじゃったのかな?あちらこちらから叫び声とか悲鳴が聞こえる。あ。あった出口。脱出だー。いぇーい。お、今日の空も青いなー。
外にでたらなんか人がたくさんいて何か言われたけど僕は後ろが気になってしかたなかったから熱くないところまで離れて後ろを見るといつもの場所が燃えていた。
うわあ。
すごい燃えてる。
思い出の場所が。
あ。
ピアノが。
大切なピアノが…
え?
あれ?
呼吸が…
「はあはあはあはあはあ…!」
うわあああああああああああああ
誰かが駆け寄ってくる…何かを叫んでいる。
「はあはあはあははあ」
うわあああああああああああああああああ
呼吸ができない。辛い。苦しい。
頭がまたぐるんぐるんする。
頭の中で消防車のサイレンが鳴り響く。
うわああああああああああああああああああああああああああああああ

……………………。
??????
ここはどこ?真っ白な世界…眩しい…サングラス…
あれ?
ない。ない。
サングラスがない。
光はだめなんだ。
ひかるなのにね。
空気が押し寄せてくる。虚無が押し寄せてくる。僕はあの日白痴と一体化した。
夜だ。目の前に猛々しい炎がある。キャンプファイヤーみたい。僕はその中に野球の帽子とユニフォームを入れていた。最後に僕も火の中に身を投げていた。
危ないよ!
あ、でもそっか僕はそうしたかったんだね。
僕の入った火はさらに猛々しく燃え上がって森を燃やして海を燃やして世界を燃やした。こんなに燃やして二酸化炭素がたくさん出ないか心配になった。知ってるよ。二酸化炭素の排出量が多いと地球温暖化が進んじゃうんだよね。やっぱり車なんて消えちゃえばいいのに。あれ?やっぱ違ったっけ?
夕日色の世界。さっき燃えていた炎がチューリップの花みたいに開いて開いて平ぺったくなって水平になって傘みたいになって世界を包み込んだ。僕は今炎の中にいる。そっか。あの時のコオロギはこんな気持ちだったのかな。僕は今死にかけていてこんな風にあたたかいって思いながら死ねるのかな。やったあ。そいつはいいや。僕は手をバタバタとしてみる。風が吹く。ああ、手があったかい。次第にあったかいが重なって熱くなってくる。手がジンジンとしてくる。風が僕を巻いて巻いてそよ風からつむじ風になって旋風になって竜巻に姿を変える。手の温かさは次第に消えて今度は世界が緑色になる。メロンソーダの中にいるみたいだって言いたいけどメロンソーダほどの鮮やかさは無くてくすんだ緑色をしている。竜巻はやまないからそれならばと僕はもっと手をはげしく動かして空を竜巻の淵を上りながら飛ぶ。上に上に飛んでいくと今度はだんだんと水色の世界になって青色の世界になって紺色の世界になる。けど星が見えない。感情さんに会いに行こうと思ったのに。僕は竜巻にさよならを告げると竜巻は風で手の形を造ってバイバイってしてくれた。それで僕は更に上に上に飛んで地面が見えなくなるくらい飛んで黒色の世界に包まれた。物凄いスピードだと僕は思わなかったけど身体はそう思っていたみたいで目の玉が飛び出そうだったから僕は咄嗟に手で押さえてぐちゅって音を立てて元の場所に戻した。あぶないあぶない。
あれいつの間にかすごい真っ暗だ。何も見えない。でも息はできる。宇宙には酸素がないっていうからここは宇宙じゃないんだろうな。僕はぷかぷかしている体を動かしてみる。また竜巻が起きないようにそんなに手足を早く動かさないように気を付けながらゆっくりと回る。くるくる~。すごい。これが無重力なのかって思って調子に乗って勢いを付けたら世界がぐるんぐるんとしてでも目の前はずっと真っ暗だから変な感じがして、コマみたいに僕は回り続けた。でもコマは勝手に止まるけど僕は止まらない。うわあああ止まれないどうしようどうしよう。ひょっとしたら僕は今地球の自転を体感しているのかもしれない。慣性の法則がない世界で自転を体感するとこんな感じになりますよっていう体験プログラムをやってるのかもしれない。あぁ、そっか。僕らは慣性の法則にこんなに助けられてるんだって。ありがとう。慣性の法則。って慣性の法則の法則を神格化して崇めて祭り上げるための体験プログラムなんだきっと。今までは神様だったけど神様っていうとみんなが違う姿を思い浮かべちゃうから諍いとか争いが生まれちゃうわけで慣性の法則だったらみんなが思い浮かべるものが同じだからその問題が解決するって思って慣性の法則を神格化することにしたんだろうなきっと。考えた人あったまいいー。あ。ちょっと気持ち悪いかも。なんかすごい変な感じ。暗闇なのに目が回るのはわかるっていうか。世界と頭がとにかくぐるんぐるんしてる。もう何を見てるのかわかんなくなってきた。あぶぶぶぶぶぶ。誰か止めて止めて止めて止めて止めて止めて止めて。

「もういい」
真実が語り掛けてくる。
「もういいんだ。代われ。ひかる」
僕の前にはピアノがあって、僕は椅子に座っている。ピアノの向こう側には黒を映したモニターがある。
見たくない見たくない代わるもんか。あっちいけ。
でも真実の優しい微笑みに飲まれそうになる。
身体と心が角煮みたいにほろほろと溶けていくのを肌で感じる。
だめだよ…守らなくちゃ…
「ピアノをずっと弾いていないじゃないか」
ああっ…あ゙あ゙っ…
体が宙に浮く。真実が僕の体を持ち上げてくる。うわあ、やめて。やめてよ。
「対話の時が来た。交代だ」
真実は優しく僕を床に寝かせた。僕の目が瞼の裏の黒に浸食されていく。誰かがいる。
あの人たちが僕に話しかけていたのかな?
目の前に僕がひざまずいて何かを言っていたけど僕にはよく聞こえなくて僕の目の前はゆっくりと黒色に染まっていった。


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