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「かくれた次元」 (エドワード・ホール著) その1
「人間は自分の体の延長物(Extension)と私が呼ぶものを作り出したという事実によって、他の生物と区別される。人間はこの延長物を発展させることによって、さまざまな機能を改良したり特殊化したりすることができた。コンピュータは脳の一部分の延長であり、電話は声を延長し、車は肢を延長した。言語は体験を、記述は言語を時間・空間内に延長した。人間は彼の延長物をあまりに作りだしすぎたので、われわれはともすれば人間の人間たるところが彼の動物的本姓に根差していることを忘れがちである。人類学者のウェストン・ラ・バールが指摘するとおり、人間は真価を自分の体からその延長物のほうへ移行させ、そうすることによって進化の過程をおそろしく早めたのである」
(p.7 「かくれた次元」エドワード・ホール著 みすず書房)