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ご縁
現代の大小さまざまな原単位のコミュニティで暮らす私たちの悩み・・その多くが、自分は誰かの役に立てているんだろうか、という無力感。たまたま要領よく波に乗れている他人をみて、妬み、羨み、憤りが募る不公平感。
思い出してみると、じいちゃん、ばあちゃん、そして亡くなった父の誰からも、そんな悩みのかけら一つも感じなかったのはなぜだろう。思い出を美化しがちなじいちゃん、ばあちゃんはともかく、大学退官後に自身が立ち上げた事業が他人によりかき回され、結局乗っ取られてしまった父と、意識がなくなる前にわずかなに交わせたやり取りを思い出しても、まったく羨み、憤りを感じさせないその発言と態度に、むしろ私と母はそんな父に腹をたてたくらいでした。
そんな父が執着したただ3つのこと。盆暮れに必ず家族を連れて見に行く「男はつらいよ」で一貫して表現されている「不器用でいい、人をどこまでも愛するだけでいい」という世界観、自らの生業であった放射線医学の追求、そしてご先祖様とのつながり。。
いまを生きる、ともすると無力感や不公平感に襲われる自分と、父の間にまだ何かギャップがあるとしたら・・
それは、「ご縁」を水平方向にばかり求める自分と、人智を超えた「なにか」を介してすべての生命が「ご縁」で結ばれていることを身体で理解している父の違いなのか・・
ちょうど来週はお盆、今年は父の13回忌。時節柄、大々的なことはできないけれど、家に帰ってくるだろう父の魂と会話することにします。いや、もう会話が始まっているのかな。父さん、今の僕はどうですか?生前ほとんど話をしてくれることがなかったあなたですが、亡くなってからのほうが会話できてますね(笑)。
明日からは多くの人がお盆休み。一人一人を守ってくださるご先祖様と過ごす、年に一度のわずかな時間が、素敵なものになりますように。
TGIF、そして、素敵なお休みを!