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【かぞくのかたち】「母子共に健康です!」はテンプレじゃなくて奇跡だと思った話①

前回のお話はこちら→【かぞくのかたち】親、はじめました

コウノドリ 5巻より引用

「母子共に健康です!」ってよく聞くし、何なら自分でも使う気でいたし、いわゆるこうテンプレ感がありました。

コウノドリ、漫画が好きで結構読んでたんですけど、漫画という特性上何かが起こるじゃないですか。

風疹とか20週代での出産とか奥さんが癌になったりとか梅毒とか、最近は同性カップルの代理出産とかもありました。

出産は当然のことじゃないと思えるきっかけにはなったし、特に風疹とかは私も早い段階で抗体の検査を受けたりして、とてもためになりました。

でも、やっぱり自分の中では漫画の話であって、産科医で受診中も母子ともに極めて健康だったので、そこまでの心配はしていませんでした。何ならウチの奥さんは妊娠に向いているんだなぁと思ったくらいにして。

どちらかと言えば、出産に至るまでの大変さを想像していたんですよね。陣痛とか会陰切開とか情報も多いし。だからか出産後なんてまるでノーマークでした。
出来ると思ってましたカンガルーケア。
撮れると思ってました3人の写真。

それが全く持って出来ませんでした。

娘が無事に出てきた後、妻は切開部分の縫合や胎盤の処置等をしていました。娘は娘で検査があり、私は写真等もオッケーとのことで娘に夢中でした。早くも親バカのアクセルを踏みまくりでした。

それが1時前位のこと。妻のご両親も駆け付けてくれたので、2人を分娩室まで案内したり、妻も元気に色々話をしたり、絵に描いたようなしあわせな時間。今思えばここまでは良かったんです。

私が娘に夢中になって写真やら動画やらを撮っていると、後ろからおかあさんが妻を何度も呼びます。なんだろう?と振り返ると妻の顔に血の気が全くない。特に唇は色という色が抜き取られたみたいになっている。

最初は出産で体力を使ったから一時的なものかと思っていたんですが、顔色は全く良くならない。そして、妻が呼び掛けに応じなくなります。意識が飛んだんです。

しかも、その時に限って助産師さんがいなくて、病棟内をめっちゃ探し回って走りました、それでも助産師さんの姿は見えないし軽くパニックでした。

そうこうしていると助産師さんが戻って来て、処置のためにと我々は退出を求められました。助産師さんが戻ってきた時には妻はうっすらと意識を取り戻していたんですが明らかに元気がない。

退出間際妻に『私、死なないよね?』とかすれた声で言われ、『死ぬ訳ないだろ!大丈夫だよ!』と答えながら、産まれたての娘を前にこんなドラマのようなやり取りをするなんて、現実なのにフィクションのような気持ちでいました。

正直なところ最悪のことを思わなかった訳ではなくて、意識が飛んだ時、もう目を開けなかったら?このまま意識が戻らなかったら?その時の怖さったらない。

その時に強く思いました。
私は子供そのものが欲しいという気持ちでいた訳じゃない。他でもないこの人との家族をつくりたかったんだ、と。

産まれたての娘ももちろん愛おしいけど、妻のいない家族としての生活を全く想像出来なくて、やっぱりそれは3人が揃ってのことなんだと。誰が欠けてもいけない。そんな風に思っていました。

処置の間も気が気でなくて、妻のことはもちろんですが、私はあんなに頑張った妻がまだ娘を抱けていないことがどうしても気になりました。

次に助産師さんに呼ばれてからの話は長くなりましたのでまた次回に。

#かぞくのかたち #出産 #立会い #家族 #子供

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