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【タスキ】秋田に戻って事業承継します⑥先代とのタイプの違いは気にしない
事業承継の大きな論点として「先代」の存在があります。私で言えば父ですが、母という人も義理の父・母という人も、その他血縁関係、または全く血縁関係のない人もいると思います。
私は幼い頃から自分が父親っぽくないことに悩んできたというか、コンプレックスを感じていました。
私の父は見た目はみのもんた氏に似ており、職人気質の昭和の親父という感じです。白黒ハッキリ付けるタイプで、物事ズバズバ言います。あと、色黒です。
一方、私は幼い頃は特におとなしい性格だったし、色んな価値観があって良いよなぁタイプで白黒ハッキリって感じでもありませんでした。あと、色白です。
そんなことから自分は父のようになれるのか?父のようになれなければ会社を継げないのではないか?と子供心に思っていました。
ただ、今になってそんなこと考えても仕方ないなぁと思うようになりました。なりましたというかなれました。大きく二つのきっかけがあります。
一つは社会に出て、色んな経営者とお会いしたことです。本当に皆さん多種多様な価値観をお持ちで、一概にタイプとかカテゴライズとかそんなのが出来ないくらい色んな人がいるのを見てきました。
本から得た学びもそうで、楠木建さんという方の書籍に「好き嫌いと経営」というものがあります。この中にアパレルの経営者としてユニクロの柳井正さんとユナイテッドアローズの重松理さんが出てくるんですが、価値観が全然違うんですよね。
なんかタイプとか考えてるのが無駄だなと思えたのは大きな経験でした。
もう一つはもう少し身近で祖父の話を聞いたからです。私の祖父は父方(これから承継する企業の創業者)も母方も会社を興しています。この例がまあ、参考にならないんですよ。
まず父方の祖父は戦争に行って、中国兵に捕まって、捕虜になる位なら死んだ方がマシだ!と言って、捕虜にされると向かう電車から飛び降りてたまたま助かったらしいんです。
その後、比較的親日な中国人の一家に拾って頂いて、一時はその家の婿にならないか的な話があったそうなんです。言ってしまえば命の恩人じゃないですか。それなのに私の祖父はあっさり日本に帰って来るんですよ。
帰ってくるんかーい。
しかも、帰って来てからは来てからで元々農家だったのを、農家なんて食ってられねぇと言い放って事業を立ち上げます。
その事業も元々は人の事業を手伝っていたところ、オレの方が上手く出来ると勝手にやり始めた挙句、元々手伝ってた人の仕事を取ってしまって喧嘩別れになるとまあ破茶滅茶な人だったらしいです。
母方の方も母方の方で、こちらは存命なので直接話を聞きました。
一時は北海道に出稼ぎに行っていたという話があり、それはさぞかししんどい経験だったのだろうと聞いてみると、楽しかったとか言うんですよ。
曰く、やればやった分だけ稼げて面白かったと。母方の祖父は燃料系に目を付けてリヤカー引っ張って灯油を売るとこから始まり、今は私の従兄弟が事業承継の真っ最中です。
まあ、なんですかね。生きる力がめちゃくちゃ強いんですよ。一方で、この時代でいけばなんとかハラスメントの嵐です。
つい、先代くらいだと比較しがちになるんですが、先先代ともあると最早違いが大き過ぎて逆に比べるのがバカバカしくなるのでおすすめのライフハックです(違う)。
いずれにせよ事業を始めてしまったら一番見なきゃいけないのは結果を出せてるかどうかなので、タイプが似ている似ていないはあまり問題でないというのが実際な気がしています。
最後にこれは認めたくない時もあるんですが、自分じゃ全然似てないと思っていても、案外要所要所で似ているものらしいですよ。