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金木犀の花言葉
「赤黄色の金木犀」という、フジファブリックの曲が好きだ。とても落ち着かない気持ちにさせられるメロディと、後悔してしまいそうなことがないかしきりに不安になる歌詞。一瞬で通り過ぎていってしまう感情の波、でも確かに感じる、焦る気持ち。胸が騒ぐ秋を見事に表現された曲だと思う。
といいながら、金木犀=秋ってイメージが私の中で定着したのはつい最近のこと。実家の近所で何故かほとんどなくて。しかも秋に激しく失恋したことも人生転落劇もなかったので(大抵真夏か春先に起きている笑)。
今日、職場の近くで芳香が漂ってきたおかげで、本当に久しぶりに曲を思い出した。
金木犀の花言葉は「陶酔」らしい。遠く離れた人を魅了する香り、という意味のよう。
大事に思っていた人にはもう会えることはないのに、本当の気持ちを、伝えたかった言葉を、いつかまた伝えられると信じてしまう自分がいる。生きる希望にも、癒えない傷にもなりうる、誰かに魅了された人間だけが陥る感情があるんだと、気がつかされる。
冷たい秋風と、イヤホンから流れてくるメロディに、置いてけぼりになったままの気持ちを照らしてみる。せっかくの青空なのに、なんだか胸が騒いでしまう、帰り道。秋はますます深まっていく。