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カナダの医療制度は日本と結構違う。 

日本でだと「皮膚科」とか「産婦人科」とか「内科」とか、自分で振り分けてお医者さんに会いに行けるけど、こちらだと「全般を見てくれる医師」にまず会って、彼らが必要だと判断すると専門的な医師に紹介してくれる。

で、その「全般を見てくれる医師」への会い方は、檀家制度に似ている。
自分が檀家さんになっているクリニック(ファミリークリニックとよばれている)に行くか、ファミリークリニックにまだ自分が登録されていない場合は一見さんでも行けるクリニック(ウォークインクリニック)に行って、お医者さんに診断してもらう。

私はまだファミリークリニックを見つけていないので、近所のウォークインクリニックに行っている。

ここから産婦人科に紹介してもらう流れ。

クリニックから産婦人科への紹介がもらえる前に初期の検査を終わらせなくちゃいけないらしくて、今時間を見つけてはちょこちょことやっている。 
血液検査とかエコーとか。 

エコーとかは、クリニック内ではできなくて、医者からの紹介を受けて近所の検査機関に行ってやる。
この日はウォークインクリニックのぐったりした医者に、エコーをするため検査機関に行って来いと言われて行ってきた。

カナダだと8週目までエコーはしてもらえないと聞いていたので、もうしてもらえるのかと拍子抜け。 
検査機関ですごくロシア語訛りのある初老ぐらいの検査技師さんに「なんでこんなに早いタイミングで来たの?
多分何も見えないからクリニックからもう一度来いって言われることになるよ。心拍が見えなくても心配しちゃダメよ。」と言われ、「だよね、私カナダの時間枠だとすごく早いタイミングで検査に来ているよね?!」となんだか混乱。

この国には、このぼんやりしたタイプの混乱が、なんとなく多い気がする。

「まぁ来ちゃったしやるか」とロシア語訛りの検査技師さんを筆頭、そして非常に美しい中東系カナダ人の学生さんが助手になって私の腹の中を覗くことになった。

検査技師さんが何かを言うごとに学生さんが言直す。 訛りが強いから、私が分からないんじゃないかと思って気を使っているらしい。

「ダメだ!生徒さん!そういうことをすると、上司からの好感度下がるよ!」と老婆心でハラハラする。 同時にその問題がありそうな場合に先回って解決しようとする出しゃ張り方は非常に好ましい。

「お前、きっと良い社会人になるよ」と思いながら腹を差し出す。
学生さんがゴリゴリとお腹の中を超音波で探っていく。
最初はお腹の上からだったんだけど、次に膣の中から覗いてみましょうと、棒を突っ込まれる。 
おお〜〜〜。

それを突っ込まれるときに学生さんが恥ずかしいからか、よく見ないでゴリゴリ押してきて「そこ穴じゃない!イタタタタタ!」となった。 先生が「よく見ろ!」と言っていて、なんかすごく面白くて笑ってしまった。

この「練習中ぐらいの人」って一番心理的に距離が近い。 自分も数年前までそれぐらいの立場だったし、今それぐらいの年齢の子たちと一緒に働いているし。
だから痛い目に遭いつつも「相手に対してサポーティブであろう」とする自分がおりまして、「大丈夫ですよー」って態度を貫いた。

膣の中にカメラ突っ込まれつつ、「学生さんがんばれ!」って雰囲気を出しつつ、腹のなかを覗かれるって、ああ、私の人生、なんか広がっていっているなぁ。

結果としては、この段階の検査で確認しなくちゃいけない項目の全ては見えなかったらしい。 
「もうちょっと経ってから検査仕直しになると思うけど、そのことで落ち込んだり心配しすぎたりしちゃダメよ。まだ見えないんだから何も判断しようがないんだから。」と強く念を押されて、解散。

その後会社に行ってから、直属の上司兼社長に妊娠を報告。 タイミングとしてはとても早いけど、あまりにもバタバタと休んだり病院に行くために遅刻したりしていて、これは報告しないとお互いに気まずいなと。

「やっぱりな!そうだと思ってた!」と言われた。 バレてたか!

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