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奄美大島の経済発展を妨げている【たったひとつの要因】

はじめに

こんにちは。ヤナサンと申します。鹿児島県の奄美大島でITコンサルや講師として活動してます。日々営業活動をするなかで、地元の企業や事業者の方々とお話をする機会が多くなりました。

その中で、おそらくすべての人の共通認識としてあるであろうテーマが「奄美大島、経済やばい問題」ではないでしょうか。

事実、奄美大島にはいくつかの地政的な課題があります。そもそも離島であるがゆえに物流コストが高く、観光客と地元事業者の需給も最適な状態とはいえない。少子高齢化が進み、労働力不足も深刻です。こうした一般的に指摘される問題について、まずは整理してみましょう。


一般的に言われる経済発展の阻害要因

「奄美大島の経済発展には何が必要なのか?」

シンプルな問いですが、非常に重要なテーマです。

多くの人は「奄美=観光業」というイメージを持っているかもしれません。しかし、実際には農林水産業、土木建設業、製造業、物流業、サービス業、医療福祉、公務員、防衛関連など、幅広い業種が存在しています。

奄美群島全体では約10万の人が暮らし、決して小さな市場ではありません。それにもかかわらず、多くの人が「なかなか経済が伸びない」と感じているのはなぜでしょうか?

その理由として、よく挙げられるのは物流コストの高さと人手不足。そしてその結果、奄美の経済は衰退し、地元の資本が外部に流出してしまう構造が固定化されているのが現状です。

確かにこれらの課題は存在します。しかし、今の時代、これらはICT技術の活用によってある程度カバーできる部分も多いのではないでしょうか。

モノが高い

例えば、物流のコストはECプラットフォームの工夫や共同配送によって下げられる可能性があります。ただし、これは単にデジタル技術を使えば解決する話ではありません。結局、物流コストを決めるのは船と飛行機の便数と効率です。つまり、島の物流を効率化するには、単なる「個々の工夫」ではなく、「島全体での戦略的な取り組み」が必要になります。

例えば、現在は各事業者がそれぞれ独自に仕入れを行っていますが、特定の商品については島内で共同発注を行うことで、送料を削減できる可能性はないか探る。また、各業者の物流を統合し、共同配送の枠組みを強化する。地元の商店同士が連携し、ECを活用して共通の仕入れプラットフォームを作るといった工夫も考えられます。

ヒトが足りない

少子高齢化と人口流出が進む奄美では、あらゆる業種で慢性的な人手不足が課題になっています。特に現場仕事や力仕事は応募が少なく、事業を続けたくても働き手がいない状況に直面している事業者も少なくありません。しかし、ここで大切なのは、「本当に人が足りないのか?」という問いです。

そもそも、人手不足と言われる業界の多くは、労働環境や待遇が厳しく、求人を出しても「働きたい」と思われていないのが現実です。では、どうすれば島で働く人を増やすことができるのか? 詳しくは後日、別の記事で書こうとは思いますが、以下のことを行っていない状態で人手不足を嘆くのは怠慢です。

① 求人情報を戦略的に出す(マイナス面も含めてリアルに伝える)
② 教育システムとキャリアビジョンを整える
③ 労働基準法ギリギリの待遇をやめ「選ばれる職場」にする

しかしこんなことは誰でも思いつく話。みんな気づいてるし、官民一体になって様々な施策を膨大な予算をかけてやっているのに、奄美の経済はよくなっているように見えない。

なぜなのか?

それでも発展を阻む「たったひとつの要因」

ここまで述べてきたように、奄美の経済発展を妨げる要因はいくつかあります。しかし、島の特性上、ある程度の制約があるのは避けられません。それでもなお発展が遅れているのは、別の根本的な要因があるのではないでしょうか。

そこで、多くの事業者と話をする中で、ひとつの共通した問題が見えてきました。

それは、「新しいことを始めると悪い噂を流されるのでは」と気にしてしまうマインドです。

そして、さらに深刻なのは、噂の有無ではなく、「噂されるかもしれない」と気にして、挑戦そのものを諦めてしまうことなのです。

多くの人が「島では目立たないほうがいい」と考え、現状維持を選びます。しかし、経済が発展するためには、新しいビジネスや取り組みを積極的に行う必要があるというのは言うまでもありません。

「島で稼ぐ人たち」はなぜ嫌われるのか?

奄美で実際に稼いでいる事業者の多くは、少なからず批判を浴びています。

新しいことを始めれば「うさんくさい」と言われ、結果を出しても「昔からのやり方を壊すな」と反発を受ける。「あんな目立つことして恥ずかしい」と後ろ指をさされることもある。

しかし実際に噂をされる当人たちはそのことを全く気にも留めず、今日も元気に稼ぎ続けてます。

「稼ぐこと」と「嫌われること」は、本来リンクするものではありません。しかし、島では「目立つ=悪いこと」と捉えられがちです。

だからこそ、島で成功する人は「噂されることを受け入れる覚悟」を持っているのです。

※ちなみに嫌われてる本当の理由は、労働基準法を守らなかったり、従業員や下請け業者から搾取していたり、酒の飲み方が汚かったり、普段の態度が尊大だからであって、稼いでいるからではないんですよね。

未来の奄美のために:「挑戦する勇気」を持つ

新しいことを始めるのは、簡単ではありません。特に、この島のような環境では、目立つことで余計な詮索や批判を受けることもあるでしょう。しかし、それを恐れて何もしなければ、何も変わりません。

実際に、奄美で挑戦し続ける人たちは、周囲の声を気にせず、自分のやるべきことに集中しています。最初は疑いの目で見られたり、陰で何か言われたりすることもあるかもしれません。でも、結果を出し続ければ、いつの間にか周囲の態度も変わっていくはずです。

挑戦する人が増えて、それが普通になり、やがて「新しいことをやるのは当たり前」という空気が生まれたらいいなと思います。だからこそ、一人ひとりが「まずは自分から」と思い、小さくても一歩を踏み出してほしいです。

奄美の未来を変えるのは、誰かではなく、ここにいる私たち自身です。何かを始めれば、最初は必ず批判される。それでも動き続けた人だけが、結果を出してきました。

批判を恐れず、まずはやる。そして、手を動かし続ける。そうした人が増えれば、島の空気も変わっていくはずです。

本当に島を愛しているなら、やるしかないのです。

余談ですが

私は島に移住した当初、近所の人に某国の工作員ではないかと噂されていたそうです。
理由は以下の3点
・名前が珍しい(本名が日本でも相当レアな1文字姓)
・やたら人当たりがいい
・家にパソコンがあってしかも画面が2つ

🤔…。

まさかモニターの数でスパイ認定されるとは思いませんでしたが、今のところ諜報活動よりも、こうして記事を書くほうが忙しいので安心してください。

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