幸せな思い出

緊張した初めてのデート。

ふと隣を見て合わさった暗闇の中の視線。

繋いだ手がしっくりきたこと。

汗をかいた背中を抱きしめた時の匂い。

どんな話も楽しくできたこと。

ただ歩くだけで特別な時間だったこと。

ぎゅっとしてもらうだけで不安が消し飛んで

髪を撫でてもらうだけで愛情を感じたこと。

彼との思い出が愛おしくて、切なくて
ふと思い出す度に、苦しいほどの幸せがここにあったんだ、と思う。

少しずつ薄れていく声に、匂いに、顔に。
私は今日も幸せだった時間を

ふと、思い出してしまう。