無職日記82 転院
■前回までのあらすじ
親父が腹痛で入院!がんかもしれない!
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「君の膵臓をたべたい」のヒロインが「わたし、死ぬの!」と叫ぶ。リビングの空気が重い。空耳アワーを見ていたらエロ映像だった時と同じような気まずさがある。悲観する母親とは裏腹に、僕は比較的フラットな感情だった。というか楽観も悲観もしないコトにした。
親父が入院してから、色んな人の話を聞いた。お兄さんが膵臓がんで、見つかった時にはもう余命数週間だった人、かたやお兄さんが末期ガンを宣告されたものの医大にかかっていたコトと本人のポジティブ思考で延命している人、色々居た。「まあ人はいつか死ぬしな~!!」とか言われてちょっとケンカしそうになったりもした。とにかく「膵臓が悪い」コトがわかっただけでもまだマシだし、これ以上はもうお医者さんの領域だから僕らにはどうしようもない。ヘンに一喜一憂するよりは「どちらの感情にも応えられるような心構え」を持つコトにした。
とはいえ一番悶々としているのは親父本人のはずで、じゃあどうしようと色々手をつくした結果、がんセンターにセカンドオピニオンにかかるコトにした。まだがんかはわからないけど、がん専門の先生にかかれば何かわかるかもしれない。親父が動ける状態ではないので、レントゲンなどのデータを病院から預かり母親を連れてがんセンターへ。
がんセンターにつくとかなりの人が居て、本当に身近な病気なんだなと感じた。同時にそれだけ研究も進んでいるわけで、克服できる所も多いのだろうとも感じた。外来受付でしばし待つ。
名前を呼ばれて入り、早速先生がレントゲンを見る。母親は震えた声で状態の説明をする。先生の結論としては「多分がんですね」と。この時点でほぼ膵臓がんが確定。続けて「見た感じ大きくはなっていない」と。つまり手術するなら早めがいいというコトだ。今入院しているところでも手術はできるけど、どちらにするかは本人と話し合って決めるコトになった。というところでセカンドオピニオンは終了。30分で1万円(税別)!
人間「わからない」状態が一番怖いと思う。腹痛の原因が「膵臓がん」と名付けられただけで、じゃあ次はどうしようと考えるコトが出来る。ようやっとそこまで辿りついた。
翌週に親父を連れて再度がんセンターへ。診察の結果、あっという間に転院が決まった。しかも診察の翌日にすぐだった。いつもベッドが混んでいるらしく、すぐ入れるのはラッキーだった。
つづく。