夢で会えた父
父の四十九日が過ぎました。法要などは行なわないのですが、
ゴールデンウィークの前半で故郷に帰って納骨します。
写真を見て、父が愛用していたセーターを思い出し、同じ柄で組紐を作りました。納骨の際にこの組紐を結ぼうと思います。出棺の際には、病院でもらった浴衣のままで少し心残りはありましたが、自分で着せ替えてあげることは出来なかったのでそのままにしました。特に服装にこだわりはなかったけれど、このセーターをよく着ていたなと思っていたのでした。
新年度の慌ただしさで、昼食すら取れず、睡眠時間も不足がちの日々。そんな中で、初めて夢に父が出てきました。父は足を切断し、少し小さくなって実家の和室で寝ていました。話しかけると、表情は暗くなく、肉付きもそう悪くないので、ほっとしました。そんなにしんどくないのだと父は言いました。わたしは、仕事の話をしました。「なるべく単純に考えたいんだよね」とわたしは言いました。「単純なのがいい」と父は同意してくれました。ほっとしたところで、目が覚めました。わたしは父の同意を求めていたらしいと気づきました。
組紐が組み上がりました。
父は最後、食べることができなかった、話すことも、体を動かすこともできなくなって、ただ死を待っていました。そんな中で、あまり会いに行ってあげることもできずに、たった一人で死んでしまいました。たくさんの後悔があって、それでも許してくれそうな父です。亡くなってから、ずっとお骨の一部を紙に包んで持ち歩いています。亡くなって、父は近くなりました。
会いたいなと思います。もうどうにもならないと思います。
でも、生きていたときもどうにもなりませんでした。
誰にもどうにもならないのが生きることと死ぬことです。
父は立派に生き切りました。最後まで生きようとし、命をまっとうしました。せめて夢の中で労いたいと思っていましたが、夢の中でさえ労うのでなく、労ってもらっていました。父らしいなと思いました。そして、私らしいなと思いました。